風営紳士録2.0

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深淵を覗く時、深淵もまたこちらを覗いてる

翼ある者と翼なき者

 

皆さん、こんにちは!

東京都新宿区の風俗営業専門やたべ行政書士事務所です。

真っ青な夏の空をブルーインパルスが駆け抜けてから、あっという間に東京オリンピックは閉幕しました。

あれから1カ月、昨夜は東京パラリンピックも開幕しました。

東京オリンピックでは「スポーツには、世界と未来を変える力がある。」との大会ビジョンが掲げられ、「多様性と調和」を基本コンセプトにしていました。

そして、昨夜開催された東京パラリンピック開会式では、「WE HAVE WINGS(私たちには翼がある)」をコンセプトに、競技場を空港に見立てて、人生の逆風に立ち向かって翼を広げるパラ選手をイメージした片翼の飛行機が空に飛び立つ挑戦を演出していました。

 

互いに認め合う共生社会の実現を目指す「多様性と調和」を描いた素晴らしい演出でしたが、皮肉にも世界ではこの願いが叶わない悲しい現実が報道されていました。

 

公安調査庁が国際テロ組織として名指ししていたイスラム教スンニ派の過激派タリバンがアフガニスタン全土を制圧したことから、撤収する米軍機での亡命を図ろうとアフガニスタン市民が殺到しました。

米軍機が離陸を強行したことで、離陸後に機体から振るい落とされるアフガニスタン市民のショッキングな映像も報道されていました。

報道によれば、タリバンによるアフガニスタン首都制圧の前にアフガニスタン前大統領のガニー氏は国外に脱出していたとのことです。

大統領には翼があっても、一般市民には翼がない”WE HAVE NO WINGS”

冷酷なまでの世界の現実を目の当たりにさせられました。

極限状況での人間の行動ゆえ、軽はずみな評価は憚れますが、一国の大統領として国を捨てて生きながらえても、芥川龍之介『蜘蛛の糸』のカンダタと同じ運命が待っているような気がしてなりません。

仏教辞典サイトより引用

 

 

多様性と調和を求めて

 

TOKYO2020大会が掲げる「多様性と調和」なるコンセプトは、人種、肌の色、性別、性的指向、言語、宗教、政治、障がいの有無など、あらゆる面での違いを肯定し、自然に受け入れてお互いを認め合い、尊重し合うことの大切さを訴えています。

人権、自由、民主制など、日本で暮らす我々にとっては当たり前の価値観も、世界ではひとつの考え方にすぎません。

そもそも、人権にしろ、自由民主主義にしろ、あくまで人間が考えた概念でしかありませんし、当然に備わっている自然権として考えられたのも長い人類史で見るとほんの数百年です。

今回の記事でカバー画像に用いたのは旧タリバン支配下でのアフガニスタンの公開処刑場の画像です(Wikipediaより引用)

(タリバンなりの解釈を伴った)イスラム法にもとづいた法の実現が公開処刑なのです。

処刑される人が本当に罪を犯したかどうか、本当に処刑に値する罪なのかどうかは別に、タリバンなりにこれが正義の実現であると信じていることは間違いありません。

かく言う日本も世界的には55か国程度しか存在しない死刑制度存置国の1か国です。

公開処刑こそされませんが、死刑判決も出され、執行もされており、事実上の廃止もされていません。

イスラム法であれ、刑法であれ、法の解釈・適用を行う者が人間である点では同じなので、冤罪や誤審の可能性が存在するのは同じです。

アフガニスタンの報道は、我々が当然としている人権や自由民主主義とは異なる価値観に対してどのように共生していくべきかという非常に難しい問題を改めて突きつけました。

今回のアフガニスタンでの政権転覆の直接の引き金となったのはバイデン大統領のアフガニスタンからの米軍撤収判断だと言われています。

空港に殺到するアフガン市民の映像が世界で報道されアメリカの対応が批判されたことから、撤収期限の延長も議論されていたようですが、8月31日の撤収期限を超えることによるタリバンからの報復を警戒して、期限延長を否定しているようです。

「アフガン市民の為に米国民が犠牲になる必要はない」

バイデン大統領の本音が見え隠れします。

中国ウイグルや香港での対応など、これまでもアメリカは人権侵害に対する諸外国政府に対する批判を行ってきました。

それに呼応する形でこうした人権侵害の疑いがある国家での生産活動に関与している産業に対しても不買運動などが展開されてきました。

ツイッターなどでもNIKEやコカ・コーラの不買を宣言する方をひと頃はよく見かけました(パフォーマンスだった多くは通常運行に戻っていますが)。

ただ、これらの取り組みはあくまで自国産業の利益に関わる国家での人権侵害だったからというケースが殆どです。

自らの利害関係に関わるサプライチェーン上での人権侵害や環境問題は殊更大きく騒ぎ立てます。

でも、自らの利害関係に関わらない問題には首をつっこみたくないというのが国家でも、人間でも本音です。

アフガニスタンだけでなく、中南米やアフリカなど、目を覆いたくなるような問題を抱えている国は少なくありません。

そして、それらの問題のほどんどは報道されることが無く、光が当てられていません。

アフガニスタンの現状は悲劇ですが、その惨状に世界の目が向けられているということは不幸中の幸いと言えます。

自分にとって都合良い考え、心地よい意見を受け入れるだけなら「多様性と調和」は大して必要ありません。

自らが理解できない、賛同できない考えや意見にこそ目を背けずに「多様性」を認め合い、「調和」できる共生社会を実現することが必要です。

大仰しく語ってしまいましたが、コロナ禍に見舞われてからの1年半、常に私が感じてきたことは「多様性と調和」と同じです。

自らの存在理由を自身に問い続けながら闘い続けてきたのは、アスリートも「夜の街」風俗営業事業者も同じではないでしょうか。

アスリート同様に「多様性」ある風俗営業に携わる人々と社会が「調和」することで、世界と未来を変える力になると私は信じています。

 

 

世界と未来を変える力

 

東京オリンピック・パラリンピックが掲げた大会ビジョンは「スポーツには、世界と未来を変える力がある。」です。

風俗営業の「多様性と調和」を追い求めてきた私としては、「風俗営業にも、世界と未来を変える力がある。」とも主張させて貰いたいです。

先週末は、横浜市の市長選挙が行われました。

横浜市民の民意として「”真の”カジノ阻止候補」を謳っていた山中竹春氏が大差をつけて当選されました。

前回の横浜市長選挙から11.84ポイントも高い投票率であったことから、横浜市民有権者の今回の選挙への関心の高さが伺われました。

選挙争点となっていたのは横浜市へのIR誘致でしたが、それ以上に新規感染者数が急増していた神奈川県の現状から政府与党はじめとした行政のコロナ対応に対する審判が下された選挙だったとも言えると思います。

もちろん、コロナ対応に関しては医療体制はじめ最重要課題であったと思いますが、風俗営業専門行政書士としては横浜でのIRが頓挫したことは非常に残念です。

大阪はじめ他のエリアもあるのでしょうが、はっきり言って関東圏でやらなければ観光産業での経済効果は大幅に低下するはずです。

そもそも、コロナ禍でIRカジノ誘致を議論すること自体が合理的判断をミスリードするように思います。

レジャー・エンタメ・風俗営業関連産業はコロナ禍では完全に裏目に出ます。

私だってコロナ禍であればIR施設など自らの生活圏内に誘致して欲しいとは思いません。

ただ、コロナ禍が収まった後、デルタ株はじめ変異株などの脅威が収束した後の経済復興を考えれば、IRカジノが関東エリアで消えてしまったことは大きな痛手となるように感じます。

ここは東京都民として乱暴に言ってしまいますが、大阪はまだしも、長崎や和歌山なんかまったく話になりません。

東京ディズニーランド(正式には千葉県・舞浜)が出来てからUSJが大阪に出来たはずです。

マクドナルドだって、スターバックスだって最初の1号店は東京の銀座です。

水は高いところから低いところに流れ、風俗は中心から周縁へと伝播します。

風水で言うお金の象徴である水(富)が地下にあるカジノに流れるホテルの通り、プールが地下(地方)ではダメなのです。

「スポーツには、世界と未来を変える力がある。」と言うとき、それはオリンピック・パラリンピックに出場して活躍する選手の姿からパワーが伝播することを意味します。

大前提として、パワーを与える選手はオリパラ大会に出場しなければなりません。出場していなければ観衆としては知り得ず、アフガニスタンの惨状同様に世界が注目し得ないからです。

同様に、IRカジノやレジャー・エンタメ・風俗営業などの産業も体験価値を提供するものなので、まずは大会に出場すべく、これらの産業の魅力が十分に理解できる形での議論をしてもらいたかったと思います。

今回の横浜市長選候補者の殆どがIR誘致反対派で、IR賛成派は様子見しながら終盤に手を挙げた現職などだけです。

なされた議論もコロナ禍前はギャンブル依存症や治安悪化、コロナ禍後は外国人観光客らの人流の高まりによる感染症への懸念です。

前述したスターバックスだって、当初は500円もするコーヒーで商売が成立するはずがないと既存産業者からは相手にされませんでした。

蓋を開けてみれば、コーヒーを味わうだけでなく、あの店内の内装・匂い・音楽に魅せられ、スタバカップ片手にマックブックを広げる体験価値に毎日のように課金する潜在顧客層を掘り当てました。

IRカジノだって、日本ではまだ知られていない体験価値を提供できる産業です。

コロナ禍の今だからこそ「世界と未来を変える力」を発揮して議論してください。

是非、これからの候補地で議論される際には、IRカジノの本来の魅力を深掘りした上での誘致判断をしてもらいたいと願います。

 

 

怪物と闘う者の正体

 

私は前回のエントリーで今年の夏は「狂気の夏」となると投稿しました。

参考【西村大臣のシグナルから狂気の夏がはじまる】

オリンピック開催期間中から急増した新規感染者数や全国に広がる緊急事態・まん防対象地域など、図らずもクレイジーサマーとなってしまったと思います。

特に東京都での医療体制のひっ迫状態を1カ月前に予見できていれば、西村大臣の酒類提供産業への自主的規制取り組みも許容されたのではないかとさえ思えます。

そんな複雑な思いを抱きながら風俗営業専門行政書士の主戦場たる歌舞伎町を駆け回っている中、ふと目を上げるといつも目に入ってきた光景がありました。

ちょうど、この夏に歌舞伎町TOHOシネマではこの二大スター共演の作品が公開されていました。

ところで、こちらの作品、ゴジラとコングではどちらが正義でどちらが悪役なんでしょうか?

タリバンでは否定されている民主政は、我々自由主義圏に生きる者にとっては正義とされています。

タリバンの公開処刑には強烈な憎悪を感じても、一般市民を巻き添えにした事件で指示役の親分に死刑判決を出した裁判官には法律家としての正義を感じてしまいます。

炎天下の歌舞伎町でこんな素朴な疑問を感じたのは、当時の五輪関係者バッシングに対して同じように感じていたからです。

特に酷かったのは小山田圭吾氏による過去のイジメ告白記事でした。

 

遠い記憶の中で、小山田圭吾氏がそのような鬼畜告白をしていたような薄い記憶はありましたが、改めて記事を読むと胸糞悪く反吐が出るような内容です。

よし、俺も糾弾すべき怪物を見つけたぞ!

小山田圭吾の野郎とんでもねぇ奴だな~などと思ってSNSを見れば既に血祭状態にされ、オリンピックはおろかその他の活動でも完全に息の根を止められている状態でした。

なかには小山田氏の出身校まで挙げて、学生運動が激しかったから危険思想を輩出している学校なんだろうなどと差別意識丸出しの発信をしている輩もいました。

フリッパーズギターと共に渋谷系を代表したオリジナルラブの田島貴男氏も同系列の私立大出身ですから、90年代渋谷系は左翼思想に侵されていたカルト集団だとも言いたいのでしょうかね笑(言ってない)

・・・なんだよー業務で忙しくてクソリプ飛ばしている暇がなかったから、暇な奴らが調べつくしてクソダサイ差別論で小山田をイジメ尽くしていたか。

せっかくここぞとばかりに幼き頃のルサンチマンをぶつけてやろうと思ったのにな、、、なんて毒づいていてハッと気づいたのです。

 

「実は、私自身が怪物なのではないか、、、」と。

「怪物と闘う者は、その過程で自らが怪物と化さぬよう心せよ。おまえが長く深淵を覗くならば、深淵もまた等しくおまえを見返すのだ。」『善悪の彼岸』フリードリッヒ・ヴィルヘルム・ニーチェ 

 

「ゴジラとコング」どちらが正義でどちらが悪なのかは分かりません。

でも、どちらもが自らを守り、自らの正義を貫くために戦っています。

同様に我々人間界でも、誰もが自らの正しさを信じ、求めているはずです。

風俗営業はじめ、飲食娯楽サービス業に携わる皆さんは、コロナ禍での不要不急論で散々虐げられていると感じている方も少なくないと思います。

ウイグル問題に過敏に反応して不買運動を展開したパフォーマーのように、さも産業側を代表するかのように正義面している専門家もいます。

ただ、私が観察する限り、この手合いはポジショントークとして、要するに自分の商売ネタとして自らの利益のために発言している方が殆どです。

こうしたポジトークに呼応して、一緒になって行政へのクソリプ垂れているだけでは何ら自分の問題は解決されません。

それどころか、マイナスエネルギーが自分にも伝染して、いつしか自分自身が「怪物」となってしまいます。

タリバン政権下では、酒はもちろん娯楽自体が禁止されています。

日本で風俗営業を行えることに最大限感謝して、自分が出来ることを精一杯やろうではありませんか。

最後に私がオリンピック東京大会でもっとも感動し、「世界と未来を変える力」をもらったシーンをご紹介します。

共に同い年で、2人ともソマリアから難民として亡命し、別々の国からオリンピックに出場し、東京大会決勝で運命の邂逅を果たしたのです。

まさに自由への疾走、そう、翼が無ければ走れば良い!

自分の大会記録タイムなど顧みずに、アブディ選手を何度も振り返り「頑張れ」と励まし続けるナゲーエ選手に魂が揺さぶられました。

やたべ行政書士事務所は風俗営業に携わる皆さんをいつでも応援しています!

それでは、また!

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