風営紳士録2.0

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新しい資本主義下での行政書士サバイバル術

祝!行政書士試験合格

 

皆さん、こんにちは!

東京都新宿区の風俗営業専門やたべ行政書士事務所です。

先日、行政書士試験の合格発表がありましたね。

コロナ禍の大変な状況の中で見事に合格を勝ち取った皆様、本当におめでとうございます!

普段は風俗営業事業者向けに発信している本サイトですが、今回は新合格者で行政書士開業を検討されている方に向けてです。

ちなみに、私やたべは、本年2022年に行政書士開業30周年を迎えます。

風俗営業だけでなく、産廃、入管などを手掛けてきましたが、30年間一貫して行政書士業務一本だけでやってきました。

令和の時代に行政書士を志される皆さんに何かしら気づきを与えられれば幸いです。

 

 

開業前後で訪れる変化

 

さて、行政書士として開業される皆さんの多くが独立開業の前後でいくつかの変化が現れると思います。

その一つとして政治への関心が高まるということが挙げられます。

といっても、もちろん政治活動に熱心に取り組むようになるということではありません。

選挙のような権力闘争への関与を高めるということではなく、時の政権による行政政策に対して感度が高くなるという意味です。

行政庁への許認可申請業務を基幹にしている行政書士である以上、これは当然と言えば当然です。

会社員時代であれば政治なんかまったく興味なかった方でも、行政書士として取り組んで行く以上は許可権者である行政庁の動向には敏感にならざる得ません。

例えば、建設業許可では一昨年2020年10月から社会保険への加入が許可要件に加えられました。

建設業界の一人親方をはじめ、フリーランス・個人事業主に対する社会保険制度のあり方に対する意識が高まったことを受けた制度変更です。

コロナ禍以前は、少子高齢化に直面する日本の労働生産性を高める為、外国人技能実習制度が強力に推進されていました。

ディスコ・ナイトクラブの深夜営業を認める風営法改正や訪日外国人観光客による民泊需要取り込みの為の住宅宿泊事業法新設もナイトタイムエコノミーや観光立国での経済振興を狙った行政政策の一環です。

補助金業務を手掛ける場合、予算規模がどの程度確保されているか、申請採択率の前提となる行政政策の力の入れ具合などには常にアンテナを張っておかなければならないでしょう。

新聞・TV・インターネットで目にする社会・経済ニュースが、即、自身の業務対応に直結するようになってくるので、自身に関わる生きたニュースとして飛び込んでくるようになるのが変化の一つです。

 

 

新しい資本主義とは?

 

では、ここで質問です。

岸田政権の成立以降、日本国内企業の株式時価総額はどのように変化したかご存知でしょうか。

実はこの3カ月で100兆円近くも時価総額を吹き飛ばしています。

高い支持率を誇っている岸田政権ですが、いったいこれはどうしたことなんでしょうか?

実は、東京証券取引所での投資主体の大半は外国人投資家です。

岸田政権は日本国民には支持されていても、外国人投資家受けは極めて悪いということです。

決して、現政権批判をしたくてこのような話を持ち出したのではありません。

行政書士が許認可申請の支援をするとき、営業許可や更新といったビジネスの節目に関わることが一般です。

ナイトタイムエコノミーのど真ん中である風俗営業産業はもとより、シェアリングエコノミーの宿泊・デリバリー事業など、新しいビジネスが勃興する際、海外からの投資を呼び込めるかがビジネスの趨勢を決します。

日本の経済・金融政策として外国人投資家フレンドリーでないと、それだけ外国資本の事業投資チャンスを失うことになり、行政書士の活躍の場も少なくなることになります。

ちなみに、岸田政権は「新しい資本主義」を政策の柱として掲げており、この政策の下では株価だけを気にするのではなく、株主・従業員、取引先、地域など全てのステークホルダーに貢献することを目指しています。

株価を意識して企業が株主還元ばかりに注力してしまうと、利益が賃金や投資に分配されずにイノベーションが起こらないので、国策として「新しい資本主義」を掲げて国家が民間企業の利益分配に対して道を示そうという理屈のようです。

現岸田政権で経済再生担当を担う山際大志郎大臣も出演したTV番組でも「株価は意識しない」と明言していました。

 

 

実務家と評論家の違い

 

投資家のみならず、上場企業の経営者からも岸田政権の「新しい資本主義」は社会主義かと批判されています。

 

繰り返しになりますが、政権批判や株価低迷を問題視したくて取り上げたわけではありません。

政策の是非を評論をするのが実務家ではないからです。

ただ、事実として現政権が「新しい資本主義」なる政策を示したことで、凄まじい勢いで株式市場から資金が抜け、新たな投資先に移動していることは確かです。

その資金の移動先、これから新興する産業のど真ん中で、規制や許認可のあり方を予測して事業者を支援するのが実務家たる行政書士のあるべき姿だと信じています。

「新しい資本主義」では、全てのステークホルダーへの貢献を謳っています。

具体的には、株主・債権者向けの財務情報などの数値に表れる情報だけでなく、数値化できない非財務情報を重視することを打ち出しています。

実は、行政書士会は長年にわたって非財務情報によって企業価値を測る「知的資産経営」の推進・拡充を謳ってきました。

政治団体としての行政書士政治連盟による陳情・予算要望には、毎年必ずこの「知的資産経営」に関する項目が含まれてきました。

一方で目立った成果を得れないまま、補助金申請や融資の参考資料に盛り込む程度でしか実現してこなかった現実もあります。

ただ、今こそ行政書士会は政権が掲げるど真ん中を射抜く政策要望として「知的資産経営」での実績をアピールすべきです。

民泊でもそうでしたが、こうした活動には“旬”があります。

鮮度が失われると全く話題にならず、時代の風に乗ることも出来ません。

行政書士会執行部や政治連盟は絶対にこの好機を逃してはなりません。

同時に、これから開業を予定している新人の方にとっても、こうした新領域はチャンスです。

私のような30年選手も、開業初年度の新人も、新領域では皆スタートラインが同じです。

時代を先取る実務家として、新領域での挑戦を目指してみてはいかがでしょうか。

 

 

プロと素人が語る違い

 

加えて、もうひとつ新人開業者の皆さんにお伝えしておきたいことがあります。

それは「プロは兵站を語り、素人は戦略を語る」ということです。

出典に関しては諸説ありますが、戦争にまつわるこの格言は経済・ビジネスにおいても繰り返し引用され続けています。

兵站とは、戦場の前線へ食糧や武器弾薬の補給、整備、兵員の展開など、軍の後方諸活動を総称したものです。

どんなに士気を鼓舞されても、弾丸切れ、食糧切れさせては兵士は戦えません。

行政書士に限らず、独立開業する事業者全てがこの事実を強く意識しておく必要があります。

志高い街の法律家として、成年後見や法教育などの社会貢献事業を専門に取り組みたいと理想に燃えている方もいらっしゃると思います。

ただ、一方で行政書士事務所経営も事業である以上、しっかりと利益・キャッシュフローを回していく必要があります。

その為には、確実な需要の見込める許認可業務でまずは事業の基盤を作ることをお勧めします。

今の時代、YouTubeやインスタなどのSNS集客や、セミナー・コンサル業務などで収入源を多角化されている行政書士も少なくありません。

でも、5年、10年と生き残っていく行政書士はやはり核となる許認可業務をもっている方が殆どです。

あえて乱暴に言い切ってしまえば「プロは許認可業務を語り、素人は非許認可業務を語る」です。

もちろん、仕事の価値としては民亊法務も、コンサル業務も価値あるものですが、行政書士としての生き残りを決定する要素は許認可業務をおいて他にないと思います。

実務の世界で志高き新人の皆さんとお会いできる日を楽しみにしています。

 

「たったひとりしかない自分を、
 たった一度しかない一生を、
 ほんとうに生かさなかったら、
 人間、生まれてきたかいがないじゃないか。」『路傍の石』山本有三

 

やたべ行政書士事務所は風俗営業に携わる皆さんをいつでも応援しています!

それでは、また!

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