風俗営業への立入り強化を菅官房長官が宣言
菅官房長官の発言
皆さん、こんにちは!
東京都新宿区の風俗営業専門やたべ行政書士事務所です。
本日7/19の報道番組で、菅官房長官は特措法改正に言及すると同時に、法改正前までの対応として風営法による立ち入り検査を強化すると発言しました。
「警察が足を踏み入れる形で厳しくやっていく」https://t.co/0UVNz5jRep
ホストクラブなど接待を伴う飲食店へ、風営法に基づく立ち入り検査を進める意向を表明。
— 産経ニュース (@Sankei_news) July 19, 2020
対応の本来の目的は「夜の街」での感染拡大防止ですが、現行の特措法では防止義務違反に対する営業停止などが行えないことから、立法されるまでは風営法に基づいて立ち入りを「思い切ってやっていく」と発言しました。
対象となるのはホストクラブ、キャバクラ、性風俗(橋下弁護士の発言)を筆頭に、風営法上立ち入りが認められる営業所ということになります。
警察職員は、この法律の施行に必要な限度において、次に掲げる場所に立ち入ることができる。ただし、第一号、第二号又は第四号から第七号までに掲げる営業所に設けられている個室その他これに類する施設で客が在室するものについては、この限りでない。
一 風俗営業の営業所
二 店舗型性風俗特殊営業の営業所
三 第二条第七項第一号の営業の事務所、受付所又は待機所
四 店舗型電話異性紹介営業の営業所
五 特定遊興飲食店営業の営業所
六 第三十三条第六項に規定する酒類提供飲食店営業の営業所
七 前各号に掲げるもののほか、設備を設けて客に飲食をさせる営業の営業所(深夜において営業しているものに限る。)
感染・社会状況の変化
3か月前の緊急事態宣言が発令される際、安倍首相の会見でのジャーナリストの江川紹子さんとの質疑応答を本ブログでもご紹介しました。
新型コロナウイルスによる感染拡大防止目的のために、「別件逮捕のような形での警察行政権発動として風営法の立ち入り調査が行われることはない」との回答が当時は成されましたが、3ヵ月の感染・社会状況の変化を経て国家No.2である菅官房長官からは真逆の方針が示されることとなりました。
緊急事態宣言解除後に新規感染者数が急増していることからすれば、このような警察行政の運用を行わざる得ない状況にあり、「夜の街」での感染予防対策を行わない店舗に対する世論も反映したものだと思います。
ただ、番組内での菅官房長官の発言では以下のような言及もありました。
「『夜の街』と一緒くたに言ってますけど、まったくその(感染の)心配のないところもあります」
「夜の街」と言うと幅広い業種・業態が含まれるため風評被害を受けている店舗も発生している現状を踏まえ、「夜の街」での社会経済活動を維持するためにも風営法に基づく立ち入り調査を活用していくということでしょう。
風評被害と注意喚起
このような風評被害を招く表現については、現在のような状況下でバランスを取ることは難しいと個人的に考えています。
「夜の街」の全てが感染の危険がないのと同じように、「社交飲食店」だって、「接待飲食店」だって対策を取っている店とそうでない店が混在している状況です。
まったく同じ業種・業態で、同じ営業許可区分でも、「深夜酒類提供飲食店」などはJAZZが流れる空間でしっとりと囁き合う深夜バーもあれば、ママさんが愚痴・人生相談に乗ってくれるスナックなどもあります。
飛沫感染の危険性だけでなく、感染予防対策への取り組み姿勢でも、営業許可区分が同じでもかなり差があるのが現状です。
さらに言えば、一般国民に対して感染予防としての注意喚起のための情報提供を行うという側面では、法律上の営業許可区分や業種・業態で表現したところで果たして本当に必要な情報が伝えられるのかということも考えなければなりません。
私のような風俗営業を専門とする利害関係者であれば「夜の街」表現での風評被害にフォーカスをあてるべきでしょうが、一方で感染予防に対する国民意識への影響を考えると理解しやすい注意喚起とのバランスを取ることも重要だと考えるからです。
風評被害と注意喚起のバランスが崩れた最たる例が、今回のGoToキャンペーンでの「東京除外」でしょう。
歌舞伎町至近の新宿・大久保に事務所を構え、風俗営業を専門に行っている弊所などはまさにど真ん中ですが、同じ東京都民といっても多摩地域などは補助という福祉サービスを受ける上で風評被害を受けたと言いたいところかも知れません。
一方で、地方からすれば東京・城西地区などと言われてもピンときませんから、「夜の街・繁華街」を抱える東京と表現した方が情報伝達が確実でしょう。
法律用語など知らない一般市民への注意喚起として、感染予防対策の実効性を考えると、「夜の街」と表現することや「東京都」をキャンペーンから除外したことの判断は不本意ながらも仕方がない対応だったのかも知れません。
もっとも、今回の菅官房長官の風営法による立ち入り調査強化が実行されていけば、少なくとも風俗営業許可・届出にあたらない飲食・娯楽サービス業への風評被害は抑えられていくものと思います。
立ち入りへの備え
一方で、菅官房長官が名指しした「ホストクラブ」「キャバクラ」などの接待飲食店は感染予防対策に加え、風営法順守を万全に行っておくよう注意して下さい。
ここで改めて菅官房長官の発言を確認させてください。
橋下弁護士:「(感染防止の)対策義務違反のお店には営業停止もかけれないから現場の知事が困っている立法すべきだ」
菅官房長官:「(立法されてない現段階で)現に、今なにをどうするかというと風営法の立ち入りを思い切ってやっていく」
橋下弁護士は「営業停止にしたいけど出来ない」と問いかけたのに対し、菅官房長官は「風営法の活用」と回答しているところからすると、今回は単なる巡回として行うのではなく、営業停止処分を下すための風営法立ち入りになることを示唆しています。
感染予防対策違反への行政処分として風営法を使うことの是非は弁護士や研究者の方に譲るとして、予防法務の行政書士の立場からはこれだけは言わせてください。
「営業停止処分を下すには風営法に違反していなければならない」ということです。
どんなに感染予防対策を怠っていたとしても、風営法をしっかりと順守していれば営業停止処分を下すことは出来ません。
逆に言えば、業界ガイドラインに従って感染予防対策を万全に行っていたとしても、風営法に違反していれば行政処分が下されます。
おそらく警察の立ち入りでは感染予防対策状況が確認されると思いますが、実際の行政処分は風営法違反事実に対してしか下し得ません。
従って、まず最優先で行うべきは風営法の義務である許可証掲示・従業員名簿・照明・店舗構造などの備えを万全に行ってください。
具体的な立ち入りでの対応、狙われやすいポイントはこちらの記事を参考にしてください。
そして、もちろん感染予防対策も万全にお願いします。
あえて乱暴な言い方をしますが、風俗営業店舗でこちらの「感染防止徹底宣言ステッカー」を掲示していない店舗は「どうぞ風営法の立ち入り調査で行政処分してください」と宣言しているようなものです。
東京都の専用サイトにてチェック項目を確認し、実施すれば入手・掲示できる訳ですから、やらない理由はありません。
対策せずに警察立ち入りウェルカムな店舗は、照明から、座席位置まで申請時の図面と寸分違わぬ状態になっているか、お金を払って行政書士に確認して貰ってください(笑)
未来に繋げる宝物
この週末は悲しいニュースも目にしました。
三浦春馬さんのことは詳しく存じ上げなかったのですが、訃報を目にして改めて調べた際、こちらの記事が目に留まりました。
この春、インタビューをさせていただいたばかりでした。
謹んで哀悼の意を表します。https://t.co/PDwhEB2CZm
— 好書好日(こうしょこうじつ) (@BOOK_asahi_com) July 18, 2020
三浦さんは、多忙なスケジュールの中で47都道府県を訪ね歩き、未来に残したい日本をテーマに取材していたそうです。
インタビューの中で、広島の原爆体験者「ヒロシマを語り継ぐ教師の会」の梶矢さんとのエピソードを紹介したくだりがあります。
「同じ火でも、あの時は原爆の火から逃れて走ったけど、今回は“未来を繋げる”という意味で聖火を持って走れるから、とても嬉しいんだ」とおっしゃっていたと聞き、僕もすごく嬉しかったです。それはやっぱり、この取材で実際に梶矢さんにお話をうかがったという事実と、あの時間の繋がりがなければ、こんな風に血の通った何か、みたいな思いを感じ取れなかった気がします。
東京オリンピック・パラリンピックの聖火ランナーに梶矢さんが選ばれたことへの喜び・共感を表現したものですが、このインタビューを読むだけでも三浦さんの人間性が伝わってきます。
三浦さんを失っても、三浦さんの言葉や作品はこうして人々の心に残り続けます。
本当に惜しい人を亡くしました。ご冥福をお祈りいたします。
三浦さんが紹介する言葉の「未来に繋げる」火を絶やさないよう、希望をもって進みましょう。
やたべ行政書士事務所は風俗営業に携わる皆さんをいつでも応援しています!
それでは、また!
『 C.h.a.o.s.m.y.t.h.』
*タイトルの“h.”は「春馬」を表すと言われています
時が経ち老いていっても
かけがえのない宝物は
目に見えぬ 形じゃない
大切なメモリー
これから先もずっと 一生ずっと
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