風営紳士録2.0

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風俗営業許可における損害賠償のリスク

損害賠償請求を受けるリスク

 

私たち行政書士仲間には、損害賠償責任を負って多額の支払いを続けている人や、仕事をやめていった人たちがいます。

 

宅建業や建設業などの許可の更新申請を請け負い、許可期限内に仕事が終了せず、許可を切らせてしまった場合などがあります。

 

許可期限を切らせてしまった場合には、新たに許可を取り直せばいいのですが、新規の許可を取得するまでには数カ月の空白期間、つまり無許可期間が生じてしまいます。

 

建設業や産業廃棄物処理業などの許可を要する業務では、無許可の状態では「入札」に参加することができなくなってしまい、その結果、公共工事などのビッグ・プロジェクトに参加できなくなったり、継続していた役所からの仕事が打ち切られたりしてしまいます。

 

そのように、企業の大切な許認可を行政書士の重過失によって切らせてしまった場合、大きな利益の損失に対する損害賠償の請求がなされてしまいます。

 

現在、風俗営業には許可の更新制度がありません。一度許可を取得してしまえば、違反をして許可を取り消されたりしない限り、経営者が業務をやめるまで、業務を継続することができます。

 

従って、私たち行政書士の業務の中では、風俗営業の許可を切らせてしまうというミスはありません。

 

しかし、それでも、風俗営業の許可申請業務に携わって消えていった行政書士を何人も知っています。賠償金を分割で払い続けている仲間もいます。

 

風俗営業の場合、新規許可の申請時に事故が起こります。マージャン店やパチンコ店、ゲームセンター、バー、クラブなどを開始しようとする時に、事前の調査を怠ったがために許可の下りない場所を借りてしまうことがあります。

 

内装を施し、マージャン卓などの機械設備を設置してしまったにもかかわらず、許可が取れないのであれば、大損です。

 

今まで許可を取っていた店舗を居抜きで借りたとしても、現在の状況が許可取得時と変わっていて、例えば、許可取得後に、隣に入院設備のある診療所ができてしまったとか… …。

 

許可申請前の地域調査は、慎重に、確実に実行されなければなりません。

 

地域調査の大切さ

 

風俗営業の許可申請をする時にいちばん気を付けなくてはならないことは、その場所が許可が下りる場所かどうかということです。

 

「そんなことは当たり前のことじゃないか」と誰もが思うでしょうが、意外や意外、プロであるはずの行政書士がミスを犯して損害賠償責任を負っている場合があるのです。

 

今まで許可を取っていた店舗を居抜きで借り、新しく許可申請をする時でも、必ずしも許可が下りるとは限りません。前の店が許可を取得した後で近くに学校や病院、入院施設のある診療所などができた場合や、法令の改正などで、許可が下りない場所になるということもあるのです。

 

従って、その場所で以前、許可を取っていたり、近くに風俗営業の店があったとしても、必ずしも現在、許可の取れる場所であるとは断言できないわけです。

 

新しく風俗営業の許可を取ろうとする時は、信頼のおける行政書士に調査を依頼した方が安全です。

 

警察官 OB で行政書士になっている人は多いのですが、そういう OB が自分の事務所のある警察署管内で失敗した例もあります。

 

依頼を受けたその場所が明らかな商業地域だったので安心してしまったのでしょうか、これから店舗を借りようとしている人に「そこは許可が下りますよ」と言ってしまったために、賠償金を支払うことになってしまいました。近くの小さな診療所に入床施設があるのを見落としてしまったのです。

 

また、ある行政書士は、神奈川県内での申請依頼であるのに、東京都の距離制限だけが頭の中にあって神奈川県の基準(※注)を忘れるという初歩的なミスで失敗をしてしまいました。

 

さらに、影も形もない幼稚園の登録によって、「申請→不受理→損害賠償」ということになってしまった行政書士の場合は、とても気の毒な例です。

 

申請場所の近くには学校や病院がなく、お寺が近くにあったものの、それは保護対象施設ではないため許可を申請しました。ところが、そのお寺には昔、幼稚園があり、申請時にはとっくに閉園して影も形もなかったのに、登録は抹消されずに残っていたため、不許可になってしまったのです。

 

最近の事例では、マージャン店の多い東京駅八重洲口前でさえも、不許可の案件が出てしまいました。

 

 

※注=東京都では近隣商業地域で学校・児童福祉施設などから 100 メートル以内、大学・病院などから 50 メートル以内の制限が、商業地域ではそれぞれ 50 メートル以内、20 メートル以内に緩和されるが、神奈川県では学校についての緩和がなく、商業地域でも 100 メートル以内。

 

実際の損害賠償額

 

新宿駅西口や東京駅八重洲口のようにオフィス街に隣接している地区には、マージャン店がひしめき合っています。

 

そういった地区では、廃業する店ももちろんあるのですが、代替わりや、全くの新規開店という申請も、しばしばあります。

 

セットマージャンの店を出そうと計画した時、そこが激戦地区であったとしても、顧客の絶対数が多い地区だからと選択することは当然、考えられます。

 

東京駅八重洲口での不許可案件は、まさにそのような立地条件のもとで起こってしまいました。

 

大多数の人は、その地区にマージャン店や風俗営業の店が多く存在しているのを見ると、まず、その場所で「許可が取れない」とは考えないものです。

 

少子化現象や不景気にも影響されているのでしょうが、最近、各大学は社会人をターゲットにサテライトキャンパスや大学院を増設しています。

 

当然、会社員が勤め帰りに立ち寄れる環境が望ましいため、大学は主要駅の近くにサテライトキャンパスを設けます。その一つが、八重洲口にオープンした埼玉大学の教室だったのです。

 

大学の施設とはいっても、校庭があるわけでもなく、オフィスビルの一角を教室として賃借しているだけなので、よほど注意しないと、そこに大学があるとは気付きません。

 

出店を計画した人も、大きなターミナル駅前の商業地域でマージャン店の許可が取れないとは思いもよらなかったのでしょう。しかし、現実は、そう甘くはありませんでした。つい昨日まで許可が下りていた場所でも、学校や病院ができてしまうと、次の日からは許可が下りなくなるのです。

 

東京都の場合、商業地域内であっても、20 メートル以内に大学や病院などがあると、風俗営業の許可は下りません。

 

八重洲口の件も、まさにその実例で、店舗契約を済ませて内装を施し、マージャン卓などの設備を設置して許可を申請しましたが、申請は受理されなかったようです。

 

許可が下りない以上、それまでの労力や、設備にかけたお金が無駄になってしまいました。申請者は、おそらく店舗を借りる前から行政書士に相談していたのでしょう。その結果、申請を受託した行政書士に 2000 万円余りの障害賠償責任が生じたようです。

 

新規の許可申請をする時には、充分な地域調査が必要不可欠だという一つの実例です。

 

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