風営紳士録2.0

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時短・罰則強化で夜の街はサイレントナイト

お願いから行政処分へ

 

皆さん、こんにちは!

東京都新宿区の風俗営業専門やたべ行政書士事務所です。

東京都での新規感染者数が888人と過去最多を記録しました。

収束が収まらない聖なる夜に、東京都知事もサイレントナイトを呼びかけました。

昨日、23日開催の政府分科会後の会見では、営業時間短縮の更なる前倒し強化と罰則制定に言及があり、収束が見えない東京都の感染拡大状況への次なる打ち手が検討されています。

シナリオ3と呼ばれる「感染拡大継続地域」に現在の東京都は該当していますが、東京都だけに特に注意喚起すべき事項として「飲食店などの営業時間のさらなる短縮」が強調されていました。

また、営業時間短縮や休業の要請を行う際、実効性を担保させるための法改正を行う必要性にも触れていました。

現状の「お願いベース」から、「行政処分」ができるようになることを意味します。

「行政処分」とは、国民の権利や義務に直接具体的に影響を及ぼすことを法律的に認め、権利を付与したり、義務を課したりすることです。

菅総理も24日に開催された講演でこの点に触れていました。

 

狙うべき急所はどこか

 

たしかに、法改正されて厳格化されれば財政的支援としての営業補償は充実するかも知れません。

ただ、現状の協力金の相場や、営業補償に対する官僚からの意見をマスコミで見る限り、法改正によって間違いなく風俗営業事業者にとっては厳しい状況になると予想します。

今回の会見で尾身会長は「急所を抑える」ことを強調していましたが、ひと頃のような「夜の街」の風俗営業などにフォーカスした対策ではないことも明言していました。

以下の動画で記者との質疑内容にご注目下さい(1:36頃)

 

「特措法の改正に対する提言としての記載なので、『夜の街』云々ということではないですよ」と尾身会長はコメントされています。

尾身会長の優しい人柄が出ているやりとりでもあり、飲食事業者や経済・産業界に配慮しているのを感じます。

もっとも、尾身会長の優しさで流してしまいそうになりましたが、記者の指摘箇所は法改正時の議論で十分に検討されるべきことだと思います。

現行の特措法45条2項による使用制限では、床面積千㎡を超えるものに対象を限定しているのが原則です(措置法施行令11条

したがって、一般的な個店に対して特措法を発動することは特措法は想定していなかったのです。

たしかに、おおまかに括るのではなく、面積要件を緩和することで感染症対策を怠っている店舗を狙い撃ちできるようにすることは公平に資することになるかも知れません。

ただ、一方で今回の特措法改正がなされれば深夜帯をメインにする風俗営業許可・届出店は圧倒的に不利になる面があると思うので、改正法の議論で検討すべきと考えます。

なぜなら、罰則は個店を狙い撃ちでくるのに対し、規制は営業時間などの一律規制となる可能性が高く、深夜帯がメインである時点で無理ゲーとなるからです。

もし、財政支援としての補償金として通常営業時の売上を十分に補うことが出来るなら別ですが、おそらく潤沢な予算は確保されないはずです。

また、「行政処分」の罰則規定の程度によっては、一度でも狙い撃ちされたら再起不能となるペナルティを科されるくらいなら廃業した方が良いと悪質な違反店の自主廃業を促す一般予防も期待されていると思います。

 

 

真面目な事業者が損?

 

現在は「お願いベース」の要請ですから、従うか従わないかは最終的に事業者の判断に委ねられています。

開店していてもお客さんが一切来なければ自粛要請に応じるところでしょうが、実際にはコロナ関係なく出向く人々は必ずいます。

また、馬鹿正直に自粛要請に従ったところで、営業している店舗に客が流れ、短縮時間での客離れにまでつながってしまってはやるせないでしょう。

皆さんは夏に「新常態のための業界ガイドライン」が作成された時のことを覚えていらっしゃいますか?

参考【風俗営業がガイドラインを守ることの功罪】

 

以下の団体がガイドライン作成に立ち上がって取り組んでいました。

【ガイドライン作成に関与した業界団体】業種別一覧参照

1.接待を伴う飲食店
全国社交飲食業生活衛生同業組合連合会

2.ライブハウス
一般社団法人 ライブハウスコミッション
NPO法人 日本ライブハウス協会
日本音楽会場協会

3.ナイトクラブ
一般社団法人 ナイトクラブエンターテイメント協会
西日本クラブ協会
ミュージックバー協会

 

これらの業界団体の店舗で現在の「年末年始コロナ特別警報」発令下での営業時間短縮要請に応じている店舗は何割あるでしょう?

自ら主体的にガイドライン作成に立ち上がっていた事業者でさえ今回の時短要請には応じていないのが現状です。

もちろん、日本水商売協会のように業界の為、社会の理解を得るために誠実に取り組み、啓発活動されている団体もあります。

 

 

罰則に実効性はあるか

 

ガイドライン作成事業者を含め、多くは応じたくても応じられないというのが現状だと思います。

では、これらの店舗・事業者団体に罰金を科すようにすれば時間短縮に従うでしょうか?

例えば、ナイトクラブで考えてみてください。

夜22時で閉店するナイトクラブで商売が成り立つと本気で思いますか?

ナイトクラブに限らず、接待飲食店なども、そもそも「二軒目」のビジネスモデルです。

一軒目で食事して肩慣らししてから繰り出すための空間を提供する事業者に対して、夜22時閉店でないと罰金と言うなら、それは事実上の廃業勧告と同じです。

仮に罰則金が5万円程度なら、罰則金を支払ってでも深夜営業を継続する店舗だって出てくるかもしれません。

分科会の尾身会長も飲食業界はシナリオ3にある感染拡大の原因は飲食であり、その上流での原因が下流に至ると家庭内感染としての結果に表れていると現状分析しています。

都民ファーストの会のおじま紘平都議も下記のようなツイートをされていました。

ちなみに、おじま都議は都内ライブハウスで感染症対策に真面目に取り組んでいるライブハウスを紹介する為、実際に現場に足を運び、事業者を生の声を聴き、コロナに関する都民向けの情報を日々情報発信されています。

 

 

新常態への適応可能性

 

仮にニューノーマルとしてのナイトクラブカルチャーとして、かつての芝浦ジュリアナのように夜19時から盛り上がる、あるいはかつての新宿CODEのように早朝からのサイケトランスパーティのようなビジネスが成立するとして、それなら改正特措法に抵触しないと許されるでしょうか。

 

・・・そんなことはあり得ないと思います。

なぜならクラブ営業では「密集」「密閉」「密接」という3密全てがパーフェクトに整った状態がビジネスの基本構造に組み込まれているからです。

飛沫感染の危険性がある以上、何時に営業しようが関係なく、営業行為そのものが規制対象となるだけです。

ウイルスにとっては時間などは関係なく、感染リスクが高まる状態であれば、いつ・いかなる場所でも人類にとって「急所」となる訳です。

参考【新しい生活様式で岐路に立つ3密の風俗営業】

 

 

サイレントナイト

 

コロナウイルスが医学的に克服されない限り、措置法が改正によって接待系、ダンスクラブ系の風俗営業産業はかなり厳しい状況に追い込まれることになると思います。

だからこそ、風俗営業はじめ「夜の街」歓楽街でのビジネスモデルの独自性を踏まえた人権、営業の自由を踏まえた措置法改正を議論して頂きたいということです。

製品を製造するメーカーだけでなく、その後の製品を運ぶことを生業とする物流業だって立派なビジネスモデルです。

同様に22時に切り上げられる飲食店だけでなく、その後の二軒目需要で価値を創造しているビジネスが風俗営業関連業種です。

業界を敵に回したくない政治家が言えないないなら、せめてサイレントナイトに言わせてください。

二軒目需要をメインにする深夜帯ビジネスモデル店舗に対して、罰則をもって時間短縮要請を迫るくらいなら、財政的支援を行った上で営業停止・事業転換を求めた方が良いと思います。

少なくとも、一軒目向け飲食ビジネス前提で営業時間などの一律規制を行うのは、体重制限の階級を無視してボクシングの試合をさせるようなもので、最悪死につながります。

風俗営業はじめ飲食・娯楽サービス業の経済的自由の人権の独自性を理解して議論して頂けるよう願います。

やたべ行政書士事務所は風俗営業に携わる皆さんをいつでも応援しています!

それでは、また!

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