風営紳士録2.0

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西村大臣のシグナルから狂気の夏がはじまる

都議選7日後の世界

 

皆さん、こんにちは!

東京都新宿区の風俗営業専門やたべ行政書士事務所です。

7月4日の東京都議会議員選挙から1週間が経過しました。

結果は都民ファーストの会が議席数を減らし、都議会自民党が議席数を増やしましたが、事前予想からすると都民ファーストの会は議席減を抑え、自民党は伸び悩みました。

 

都議選を意識していた訳ではないのでしょうが、選挙終了直後から東京都の新型コロナウイルス新規感染者数が急増し、政府は4回目の緊急事態宣言を発令、東京五輪では無観客での開催が決定しました。

 

昨年2020年の米大統領選挙でのワクチン開発成功報道でも感じましたが、今回の都内での新規感染者急増があと数日早く報道されていたなら、今回の都議選結果も違った結論になっていたのかも知れません。

参考【ワクチン開発の成功による風俗営業への影響】

 

無観客開催を掲げていた都民ファーストの会や五輪の中止・延期を掲げていた立憲民主党や日本共産党はさらに議席を伸ばしたのではないでしょうか。

いずれにせよ、都議選後の1週間で世の中の流れが大きく変わったように感じます。

ちなみに、やたべ行政書士事務所が所在する新宿選挙区では都議会自民党の幹事長・総務会長なども歴任した実力者でも落選しています。

秋田先生は東京都議会の警察消防委員会委員長も務められていたので、私も風俗営業行政に関する意見交換を含めて行政書士会としてお話しさせて頂いたこともありました。

エンタメ産業の業界関係者もロビー活動を行っていたのでご存知だった方もいらっしゃると思います。

 

こうした働きかけを含めて、今回の都議選において一つの民意が示されました。

都議選の結果を受けて、この1週間で国政含めた様々な意思決定がなされたことは間違いありません。

そして、「夜の街」風俗営業に関わる政府の意思決定として話題となっていたのが西村大臣の発言でしょう。

 

 

西村大臣のシグナル

 

西村大臣の発言に触れる前にまずはこちらのツイートをご覧ください。

渋谷センター街です。

 

もちろん新宿歌舞伎町だって似たようなものです。

 

「夜の街」がもつ魔力が最も発揮されるのが夏の夜だとすれば、酒類がその魔力にさらに潤いを与えていることは間違いありません。

政府としてはこの魔力を加速してしまう酒類を何としても封じ込めたいのでしょう。

 

特措法令に基づく要請だけでなく、酒類提供飲食店と取引のある酒類販売事業者や金融機関を通じた働きかけにも言及したことから、世論の反発を招きました。※その後、撤回されています。

これに対しては露骨な飲食店イジメだと批判する意見も多く見られました。

このブログでは昨年1月から既に1年半に渡ってコロナを巡る「夜の街」風俗営業を取り上げて来ました。

その中で識者と呼ばれる専門家をはじめ、政治家の発信内容にも注目し続けて参りました。

その中にあって西村康稔経済再生担当大臣は、その時々のコロナ感染状況を把握し、各種法令や制度を正確に理解した上で、国民に向けて確かな情報を発信し続けている信頼できる政治家の一人であると確信しております。

もちろん、今回の金融機関を通じた働きかけ発言に対する世論の反応と言うのは自然であり、理解はできます。

ただ、西村大臣は今回の発言よりもっと過激な内容も発言されており、本ブログでも紹介しておりました。

参考【年越しイベントの中止と風俗営業の涙と笑い】

 

要するに「本来お願いする必要はない、憲法12条の公共の福祉による制約としてコロナ対策上の強権施策を取ることも出来る」ということなんだと思います。

憲法12条の「公共の福祉」を内在制約と考えるなら、営業補償など端から必要ないという解釈だって成立しますよね、ということでしょう。

発言内容の是非はともかく、しっかりと方向性を示し、言いにくいこともはっきりと発言するからこそ信頼できる政治家であると思っています。

おい西村!飲食店イジメはやめろよなどと耳障りの良いポジショントークをするのは簡単です。

TVのバラエティ番組でもメディア報道の在り方を見直す発言も見かけました。

はっきり言って特措法要請違反の事業者は法令順守を軽んじ過ぎていると私自身も思っています。

しかも上場企業までもが堂々と法令違反上等と要請を無視し続けています。

これでは真面目に法令順守している事業者があまりにも可哀そうです。

 

今回の西村大臣が発表した金融機関を通じた働きかけは、冒頭で紹介したエンタメ関係者によるロビー活動と全く同じ思考回路です。

行動を起こして貰いたい相手に効果的で影響力のあるステークホルダーに働きかけさせるという意味で。

もっとも、西村大臣の場合は効果が効きすぎて世論が過剰反応してしまいましたが。

ただ、今回の一件で西村大臣の場合、明確な結果を出しました。

金融機関への働きかけはアキレス腱であり、極めて強力な威力を発揮することを認識させました。

その証拠に「過料上等」と前のめりになっていた事業者ほど、陰湿な飲食店イジメだと騒ぎ立てていました。

 

 

期限の利益喪失条項

 

皆さんは「期限の利益喪失条項」というのをご存知でしょうか。

お金を借りて融資契約を結ぶと金銭消費貸借契約と呼ばれる契約書を交わしますが、この契約書には必ずこの条項が盛り込まれます。

これはお金を貸した側である貸主・金融機関側の利益を守るための条項です。

例えば、借主・債務者が破産した場合や担保となる物件を滅失してしまった場合など、金銭消費貸借契約を維持する上での信頼や前提を欠くような事態になった場合、「期限の利益」が喪失して一括返済を迫られることになります。

もちろん、貸主・金融機関側の利益の為なので、返済を滞っても債権者である貸主・金融機関が主張しない限り発動されません。

ただ、この「期限の利益」を喪失する事項として、「反社会勢力に該当する」「申告内容に虚偽がある」「法令違反行為を行っている」などの契約を維持する上で信頼関係を壊すような信義則違反事由も含まれているのが通常です。

今回、「法令違反上等!過料ぐらい払ってやるわ」と前のめりに営業している事業者が、金融機関に対して意見を求めたら100%の確率で「法令順守して事業を行ってください」と言われるはずです。

法令違反事業に対して融資しているとなると融資担当者はもちろん、金融機関としての企業責任も問われることになります。

もちろん、金融機関だって貸し倒れになることよりも営業を継続して返済を行ってもらった方が良いと本音では考えているでしょうが、所詮は国家から許可を得て事業を行っている立場です。

西村大臣は金融機関からの働きかけの考えは撤回しましたが、金融機関上層部は間違いなく西村大臣のシグナルを受けとめたと思います。

また、テクノロジーを活用したモニタリングについても効果的で影響力あるメディアを選択したという点では同様です。

飲食店の集客においてグルメサイトの口コミ評価は欠かせないでしょう。

SNSを通じた監視活動というと聞こえが悪いですが、真面目に取り組んでいる事業者と法令違反事業者をしっかりと区別したいというシグナルは共感できます。

参考【密告・監視社会化する「夜の街」の風俗営業】

 

 

狂気の夏がはじまる

 

今回の都議選でもっとも有名になった当選者として木下ふみこ都議がいます。

本人としては「免許ありと勘違いしていた」と主張していますが、免許停止中の無免許運転だったようです。

この報道を受け、即刻議員辞職すべきと厳しい世論に晒されています。

不幸中の幸いで、事故の相手は軽いけがで済んでいるとのことです。

自動車を運転している以上、事故を起こしてしまう可能性は誰にでもありますが、無免許と言うのは100%本人の責任で社会的にも非常に厳しい批判に晒されます。

もう私の言いたいことは分かって頂いていると思います。

風俗営業はじめ飲食・娯楽サービス業に携わる事業者の皆さんは、しっかりと営業許可を取って事業を行ってください。

軽い事故は仕方なくても、無免許だと厳しい社会的制裁が加えられます。

よく弊所にも「〇〇というような事業を行いたいのだが風俗営業許可を取らなくても大丈夫ですよね?」といった問い合わせを貰います。

そうした問い合わせの殆どは、木下議員同様に事故を起こした時の重大さを全く理解できていません。

本気で許可なしで大丈夫だと思っているなら、堂々と所轄警察署に訊けば良いではないですか。

ワンチャンいけるんじゃねぇか?なんて気持ちで相談されても、警察行政の現実をお伝えするのが私の務めです。

もっと言わせて貰えば、西村大臣のシグナルを私なりに解釈するなら、金融機関や業務用酒類販売事業者よりも、遥か前から所轄警察署には働きかけ要請が行われていると思います。

「夜の街」風俗営業では法令違反事業者の摘発が続出しています。五輪開催期間中は一切手を緩めないと思います。

 

イベント業界でもステークホルダーからの働きかけを受け、ROCK IN JAPANが今年も中止となりました。

総合プロデューサーである渋谷陽一さんはコロナ禍にあって医療関係の方の協力と理解は絶対に必要なもの、医師会からの要請に十分に応えることが出来ない以上、中止以外の選択肢はないとコメントされていました。

2年連続で苦渋の決断でしょうが、来年こそは必ずや素晴らしい夏の日を取り戻してください。

明日から緊急事態宣言下での五輪を迎える夏がはじまります。

昨年の夏が「特別な夏」だとすれば、コロナとの闘いの最終戦で五輪開催する今年は「狂気の夏」だと思っています。

最後に3年前のROCK IN JAPANでヘッドライナーを務めたサザンオールスターズのメッセージで締めたいと思います。

 

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ROCK IN JAPAN このステージに立たせてくれて

素晴らしいひとときを ありがとう

ROCK IN JAPAN このステージに立たせてくれて

素晴らしい夏の日を 忘れはしない

いつの日か この場所で 逢えるなら やり直そう

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やたべ行政書士事務所は風俗営業に携わる皆さんをいつでも応援しています!

それでは、また!

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