性風俗従事者に持続化給付金は認められるか
性風俗従事者への給付
皆さん、こんにちは!
東京都新宿区の風俗営業専門やたべ行政書士事務所です。
国の持続化給付金、東京都の感染拡大防止協力金の支給が開始されました。
GW前に最速申請した方から順に給付されていくようですが、申請開始から考えるとかなり早いペースですね。
さて、本日5/12の参議院財政金融委員会の質疑で性風俗産業に従事する個人事業主に持続化給付金が認められる旨の回答がなされました。
【性風俗事業者への給付】
「法人」最大200万円・・・NG
「個人」最大100万円・・・OK
※後半の性風俗従事者向けの質問から再生されます
店舗経営などをはじめとした性風俗関連ビジネスを営む「法人」には認められないが、エステ嬢・デリヘル嬢など性風俗に従事する「個人」には認められるとのとこで、法人か個人かで結論が正反対に分れることになりました。
ただ、ここでいう「個人」というのは個人事業主のことであって、性風俗関連の法人に雇用されている従業員は持続化給付金の対象とはなりません。
わかりやすく表現すれば、「給与・給料」としてもらっている人は対象にはならないということです。
「給与・給料」としてもらっている人は、雇用契約にもとづく労働者として雇用調整助成金などより厚い保護があるからです。
性風俗に限らず、接待飲食店など風俗営業の現場では、キャスト・ホストの多くは雇用契約ではなく、業務委託契約として従事しているケースが少なくありません。
この場合は「個人」として持続化給付金の対象になり、その業種が性風俗関係であっても給付対象となることが確認された訳です。
なお、持続化給付金の詳細についてはコチラをご参照ください。
個人の給付申請には?
ただ、実際に個人事業主として申請するにはおおまかに以下3つの要件が必要になります。
【申請が認められるには】※5/13時点
1.個人事業主として開業している
2.確定申告を行っている
3.性風俗収入を「事業収入」としてしている
多くの方はこのどれかでひっかかるのではないでしょうか。
まず、税務署に開業届を提出して初めて個人事業主として認定される訳ですが、そもそも性風俗に従事する人の中には開業届を出していない人もいるはずです。
個人事業主となっていなければ確定申告も行っていないませんから、2019年度の確定申告書も存在しないはずです。
個人事業主として確定申告していない以上、納税もしていないことになります。
また、本年2020年度の性風俗収入減を昨年2019年度の性風俗収入との比較で証明する訳ですから、性風俗収入を「事業収入」としての確定申告していることが必要です。
ここまででひっかかりを覚えなければ問題ないと思いますが、多くの性風俗従事者の場合、ここの段階であきらめてしまうと思います。
性風俗従事者に対する差別をなくし、福祉国家実現を全ての層に行き渡らせる理想は素晴らしいと思います。
ただ、諸事情で性風俗に従事せざる得ない者も少なくない中で、性風俗を事業として確定申告し、今後も事業継続させる目的の給付金として、実名で申請してもらうという制度の下で、果たしてどこまで本当に必要とする層に公金が届くか、少し疑問にも感じました。
きゃりーと麻生大臣
ところで、ここ数日でSNSでのトレンドとなった「検察庁法改正」抗議ツイートでは、市民や野党議員だけでなく、著名人も政治的メッセージを発信し、話題となりました。
特にきゃりーぱみゅぱみゅさん本人とみられるツイートは話題となりました。
きゃりーさんのツイートに対する政治評論家の加藤清隆氏のリプが炎上したようです。といっても、炎上したのはリプの指摘内容そのものではなく、こちらの物言いに対してです。
「歌手やってて、知らないかも知れないけど」
歌手のきゃりーぱみゅぱみゅさん、検察庁の件で頑張って抗議ツイートしたのに速攻で矛盾晒されてツイ消し、、(´・ω・`)これに懲りずに勉強して、また頑張ってほしい。 pic.twitter.com/DPVCN1oEc1
— 犬の警察官 (@haikakingame) May 11, 2020
正直、指摘内容が的確過ぎたがゆえに、この「歌手やってて」というのが「歌手=世間知らずで簡単に陰謀論に騙される」といった印象をさらに強くしてしまったようです。
実は、本日の参議院財政金融委員会での麻生太郎財務大臣の回答でも同じような言い回しが確認されました(笑)
立て板に水のような音喜多議員の質問に対していかにも官僚的口調できっちり回答した官僚とは対照的に、麻生大臣特有のべらんめぇ調の回答は素朴なんですが、実は国民感情にもっとも近いものではないかなと妙に感じ入りました。
「性風俗関連特殊営業に公的資金入れて、誰も文句言わねぇのかって話だよな?」
「ストリップがダメで、クラブが良いって、どこが違うんだよ?」
「(経産省の官僚は)答えられるほど経験ないのが多いからよ」
「俺はここは(音喜多議員の指摘は)大事なとこだと思うよ、線引きは疑問だ」
※【再掲】正確な発言内容は動画でご確認ください
私には麻生大臣の回答はきゃりーさんの炎上ツイートに通じつつも心温まるものを感じました。
「官僚やってて、知らないかも知れないけど、キャバクラは良くて性風俗はダメって線引きなんなん?」
麻生大臣がこのようにリプを飛ばしたようで痛快でもありました!
風俗営業マウント合戦
麻生大臣が経産省官僚は遊興の遊びを知らないとリプしたというのは冗談ですが、実は風俗営業業界の方々も線引きを厳格に求めたがる方もいらっしゃいます。
特に2016年以前の旧風営法3号許可であるダンスクラブ関係者は、風俗営業とくくられることに拒絶反応を示す方も少なくありませんでした。
はっきり言って、これは世間的なイメージとして「風俗営業」というと「性風俗サービス」をイメージさせるからだと思います。
なので、彼らは2016年の改正の際も、ダンス営業を「特定遊興飲食店営業」と別枠にすることに拘っていました。
ダンスは文化であり、文化が生まれる空間としてのクラブやライブハウスなどの音箱は、パチンコ・麻雀・接待飲食店・性風俗店などの他の風俗営業とは異なる高次のものとして位置付けていたように感じました。
実際、改正時にロビー活動を行っていた識者にも風営法改正を目指しているけど、性風俗関係者はあまり巻き込みたくない、彼らと一緒にはされたくないからとまで言っていた識者もいます。
改正後の今も、「特定遊興飲食店営業」は風俗営業ではないということに拘っており、あやふやな理解で「風俗営業許可ですよね」というと「知らないかも知れないけど、3号なくなって風俗営業じゃないから」とリプを飛ばされることになります。
このような選民意識からすると、性風俗とダンスクラブの線引きは当然なんでしょうが、どちらも法令で認められた営業権という意味では麻生大臣の素朴な感覚こそがバランスが取れているのかもしれません。
いずれにせよ、性風俗に従事する個人事業主に持続化給付金が認められることが確認されました。
見過ごされそうな社会の隙間に光を当てていただいた日本維新の会・音喜多駿参議院議員に感謝ですね!
それでは、また!
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