風営紳士録2.0

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風俗営業許可が必要になる「接待」とは?

秋の夜長には

 

こんにちは
東京都新宿区の風俗営業専門
やたべ行政書士事務所です

 

だいぶ秋らしくなってきました

 

あまりの猛暑だった今年の夏は
ビアガーデンなどへの客足も少なく
飲料酒類も逆に売れなかったそうです

 

ただ、その分、今ぐらいの時期は
本当に涼しくて秋風が心地よいです

 

月を眺めながらのお酒が楽しめる
そんな秋の夜長がやってきました

風俗営業をはじめとした
飲食・娯楽サービス業の皆様にとっては
これから年末にかけての後半戦は
売上を伸ばしていけるシーズンです

 

一方で年末にかけては繁華街での防犯を兼ねた
警察の取締りも多く行われてきます

 

昨年も9月中旬から六本木の繁華街を中心に
風俗営業店を対象とした
大規模な一斉立ち入り調査が行われました

 

 

2017年9月の立ち入り調査

 

2017年に実施された六本木での立ち入りは
麻布警察署と警視庁関係部署の合同で
総勢50名の捜査員を導入して行われました

 

六本木の繁華街を中心とした麻布署管内では
2017年だけで300店以上の店舗が立ち入りを受け、
指導だけでなく指示処分や営業停止処分など
具体的な行政処分も行われています

 

飲食店であっても
DJブースが設備として常設されている店舗には
特定遊興飲食店営業を取るよう指導がありました

 

 

立ち入り調査が入る基準

時間外営業

 

昨年の六本木での立ち入り調査の理由は
ダンスクラブ営業の摘発です

 

ダンスクラブは2016年の風営法改正に伴い
深夜営業が認められるようになったばかりです

 

「特定遊興飲食店営業」と呼ばれる
新しい許可がダンスクラブ向けに新設されました

 

ただ、この新しい許可は用途地域と呼ばれる
店舗の所在するエリアによって
許可の対象となるならないが
非常に厳しく規制されています

 

許可対象とならないエリアに所在する店舗は
風営法も改正されたので大丈夫だろうと
無許可でダンス営業を行っていたのです

 

警察が問うていたのは
店舗の営業としての「実態」です

 

よく世間では「ガサ入れ」などと言われますが
思い付きで立ち入り調査行っている訳ではなく
警察はしっかりと内偵調査を行ってから
相応の人員で立ち入り調査を行います

 

一番ありがちなのは付近住民からの苦情です
騒音や泥酔客の迷惑行為などで
日頃からの不満が爆発し
警察に通報を受けることが典型的です

 

風俗営業をはじめとした
飲食・娯楽サービス業の皆様は
是非ご近所住民との関係構築も
心がけて頂きたいところです

 

「接待」行為

 

ただ今回フォーカスをあてたいのは
そういった迷惑行為ではなく
店舗内での「接待」行為です

 

考えてみればとても不思議ですが
通常の飲食店も接客サービスが行われ
「おもてなし」サービスなどとして
日本のサービス産業の売りになっています

 

訪日訪日外国人向けのサービス産業でも
「おもてなし」「接待」は利用満足度を図る
重要な指標となっているのに
あえて「接待」だけを切り取って
許可制にしている理由ってなんでしょう?

 

いわゆるキャバクラ、ホストクラブ
ラウンジ、高級クラブなどの「接待」が伴う
飲食店は「接待飲食店」と法律上呼ばれます

 

「接待飲食店」となると
営業許可は非常に厳しくなります

 

先ほどのダンスクラブと同様に
出店できるエリアも限定されますし
営業時間も厳しく制限されます
店舗の内装から従業員名簿管理まで
事細かに確認しないと営業を許可されません

 

通常のバーやスナック、ガールズバーなどは
「接待飲食店」の許可を取っていません

 

出店エリアや面積、営業時間などの基準を
クリアできない場合がほとんどだからです

 

なぜここまで厳しいのか?

それは「接待」が行われるからです

それだけ「接待」にあたるかどうか
というのは重要なんです

 

なぜなら「接待」こそが
お客さんの満足度を決定づけ
財布のひもを緩めさせるもの、との考えに
基づいて許可対象としています

 

 

実際「接待」行為の違反を理由にした
立ち入り調査は少なくありません

 

営業として「接待」は行われていないか
実際の店舗営業の「実態」に基づいて
法律に違反していないかが判断されます

 

とはいえ客観的に判断できる時間外営業と異なり
「接待」の有無というのは主観的判断も伴うので
判断が難しい所でもあります

 

判断が難しい「接待」にフォーカスをあて
今回は「接待」に関しての警察が基準としている
解釈運用基準なるものを考察してみましょう

 

 

風俗営業許可における「接待」の定義

 

風俗営業許可における「接待」とは
「歓楽的雰囲気を醸し出す方法により
客をもてなすこと」をいいます

 

より平易な言葉で「接待」を説明すると
会話やサービス等の慰安や歓楽を期待して
来店する客に対してその気持ちに応えるため
営業者側が積極的に行うおもてなしのことです

 

通常の飲食店であっても酒食の提供だけでなく
おもてなしの心をもった接客が行われますが
風俗営業許可における「接待」の場合
このような通常のおもてなしではなく
特定の客又は特定のグループ客に対して
単なる飲食行為に伴う通常のサービス提供を
超える程度の会話やサービス行為等を指します

 

居酒屋では五百円しない
通常のビールが二千円でも成立するのは
「接待」こそが付加価値を生み出す源泉となり
顧客も価値を認めているからです

 

風俗営業店の場合「サービス料 10%」などと
「接待」にあたる対価を明示しています

 

ただ「サービス料」は提供した
酒食の割合で表示されていますが
風俗営業店をはじめ高級飲食店では
「サービス料」にあたる部分の対価を
商品価格に盛り込んであり
結果として高い価格になっています

 

「接待」を伴わない飲食店であっても
高級店では高単価で酒食が提供されますが
利用客は会話やサービス等の慰安や
歓楽をメインに期待して来店している訳ではなく
やはり料理や酒を中心にお店の空間
サービスを一体的に楽しむ目的であるため
風俗営業許可の「接待」にはあたりません

 

 

風俗営業許可における「接待」の主体

 

風俗営業における「接待」の主体はどうでしょう

営業者であるママや雇用されているホステスが
「接待」の主体にあてはまることは当然ですが
「接待」の主体はこれらに限られません

 

例えば、インバウンド対応として
外国人観光客向けに芸者を呼んで接待させる場合
風俗営業許可の「接待」に該当します

 

直接の雇用関係は必要ないので
営業者から委託を受けて「接待」する
キャスト、コンパニオン、ホステスなど
名称の如何を問いませんし
性別なども関係ありません

 

さらに営業者から明示的に委託を受けなくとも
黙示的な了解の下で客を装った者が
「接待」を行う場合も含みます

 

これは特にクラブのVIP客に対し行われます
いわゆる「客付け接待」と言われる行為です

 

特定遊興飲食店営業許可を取得したクラブでは
「深夜営業」が許されますが
「接待」を行うことは認められません

 

クラブには純粋に音やダンスを楽しむというより
男女の出会いを求めるニーズにも応えます

 

特にナンパ箱といわれるクラブでは
出会いの場を提供するという役割が殆どです

 

週末ともなると店内が混雑するため
着席してくつろげるVIPルームは
収益を生み出す空間として機能します

 

ここでより多くの消費を行ってもらうため
サービスとして容姿端麗な女性客を
「接待」のために男性客の席に案内することが
常習的に行われている場合があります

 

営業者としてはあくまで無償サービスとして
行っているだけで「接待」をしている訳ではないと
主張したいかもしれませんが
さきほどの「接待」の定義で説明した通り
客が何を期待していて
営業者がその期待に応えようとしているか
営業の実態に照らして「接待」を判断します

 

VIPシートチャージと高額ボトルオーダーが
収益ポイントになっているようなクラブでは
いわゆる太客への「客付け接待」が
売上を大きく左右しているため
ここで「接待」が行われていると判断されるのは
避けられないでしょう

 

読者モデルやコンパニオンなど
容姿端麗な常連客はエントランスから
VIPルームチャージまで全て無料で案内

 

こんなケースは少なくありません
ほぼ間違いなく「接待」が認定されます

 

クラブやライブハウスなどの箱モノ商売は
装置産業なので常に集客を維持していかないと
ビジネスとして成立しません

 

そのため芸能人や若い女性など
集客効果が見込める客は
無償で対応する店舗が多くあります

 

行き過ぎて風俗営業許可の「接待」にあたると
指摘されないよう事業者としての
バランス感覚が問われるところです

 

 

警察の「接待」判断の虎の巻

 

それでは具体的にどのような行為が
「接待」あたると判断されるのでしょうか

 

警察庁が定めている解釈運用基準によって
「接待」が細かく説明がなされています

(1)談笑・お酌等

「特定少数の客の近くにはべり
継続して、談笑の相手となったり
酒等の飲食物を提供したりする行為」
「接待」にあたるとしています

 

ここの部分の「接待」の解釈は
深夜酒類提供飲食店営業の届出だけで
営業しているバーとの境界として問題になります

 

ガールズバーなどではカウンター越しのみで行い
客の隣に座ることは行わせないことにより
「接待」を行っていないと説明する
事業者がいらっしゃいます

 

ただ、この説明は警察には通用しません

解釈運用基準によれば
「近くにはべり」とだけ規定しているだけで
カウンター越しなのか隣に座るのかは
「接待」の判断基準として問題としていません

 

カウンター越しだから「接待」ではない
ガールズバーなら安心して大丈夫
という訳にはいかないのです

 

ただ、現実問題として
カウンター越しと客隣での「接待」では
物理的な状況証拠として明確に差があります

 

カウンター越しであれば
「接待」認定を避けられギリギリ容認される
というのは現場の知恵として育まれたのでしょう

 

もっともカウンター超しに
客と同数の女性バーテンダーを配置していれば
まさに「接待」と客観的に判断されるでしょう

 

これに対して、ごくごく普通のサービスとして
通常のバーや飲食店と同じようにお酌したり
カクテルをつくったりしても
提供後に速やかにその場を立ち去る場合や
店内で待機していて
客の注文に応じて提供するだけの行為と
交わされる社交辞令的な挨拶や世間話は
「接待」にはあたらないとされます

 

なんか読んでいるだけで
バカバカしくも思えてきますが
「接待」への該当性を判断するとき
この解釈運用基準はとても重要です

 

警察行政の現場ルールをしっかりと理解し
「接待」行為にあたるかどうかのルールを
守ることが経営の安定につながります

 

 

(2)ショー等

 「特定少数の客に対して
 専らその客の用に供している客室
 又は客室内の区画された場所において
 ショー、歌舞音曲等を見せ又は
 聴かせる行為」は「接待」にあたるとされます

 

ホテルのディナーショーのように
不特定多数の客に対し、
同時にショーや歌舞音曲等を見せ
又は聴かせる行為は「接待」にはあたりません

 

ここで注意しなければならないのは
「特定か不特定か」という点と
「区画された場所かそうでないか」という点が
「接待」にあたるかを分けているということです

 

前述したVIPルームでの客付け行為もそうでしたが
特定の客に対して行っている時点で
「接待」にあたる可能性が高まります

 

区画された場所、
すなわち店内の一角に設けられた個室や
VIPルームなどが想定されますが
そこにいる客だけを対象にした
サービス行為を行う時点で
「接待」にあたる可能性があることは
理解しておいた方が良いと思います

 

特に特定遊興飲食店においては
出演アーティストをVIP客だけに
特別にサービスさせたりするケースも
あると思いますのでご注意ください

 

(3)歌唱等

「特定少数の客の近くにはべり
 その客に対し歌うことを勧奨し
 若しくはその客の歌に手拍子をとり
 拍手をし若しくは褒めはやす行為
 又は客と一緒に歌う行為」
「接待」にあたるとされています

 

逆に客の近くにはべらず距離を置き
不特定の客に対して歌うことを勧奨するのは
「接待」にはあたらないことになります

 

同様に不特定の客の歌に対し拍手をし
若しくは褒めはやしても
「接待」にはあたらず
カラオケの準備を受ける行為や
歌の伴奏のため楽器を演奏する行為なども
「接待」にはあたらないことになります

 

 

(4)ダンス

「特定の客の相手となって
 その身体に接触しながら
 当該客にダンスをさせる行為」
「接待」にあたるとされています

 

「客の身体に接触しない場合であっても
特定少数の客の近くに位置し
継続してその客と一緒に踊る行為」は
「接待」にあたるとされています

 

なお、解釈運用基準では
「客にダンスを教授する十分な能力を有する者が
 ダンスの技能及び知識を修得させることを
 目的として客にダンスを教授する行為」
「接待」にあたらないとしています

 

 

(5)遊戯等

「特定少数の客と共に、
 遊戯、ゲーム、競技等を行う行為」
「接待」にあたるとされています

 

客一人で又は客同士で行っている分には
直ちに「接待」にあたりません

 

 

(6)その他

 「客と身体を密着させたり
 手を握る等客の身体に接触する行為」
「接待」にあたるとされています

 

ただし、社交儀礼上の握手や
酔客の介抱のために必要な限度での接触等は
「接待」にあたりません

 

ありがちな客の口許まで飲食物を差出し
飲食させる行為は「接待」にあたります

 

 

まとめ

 

いかがでしたか?
「接待」というとつかみどころがありませんが
警察の解釈運用基準に従って
実際の場面を想定しながら
「接待」の定義、主体を考えてみると
どのような「接待」が許可対象となり
どのような行為は「接待」にあたらないか
イメージが持てるようになると思います

 

気を付けなければならないのが

客の隣に座ってもバッグを持たせれば
「接待」にあたらないから大丈夫とか

カウンター越しに接客するぶんには
「接待」にあたらないとか

風俗営業の世界では「接待」に関する
都市伝説とも言える噂がたくさんあります

 

ただ、そのようないい加減な基準で
「接待」にあたるかどうかを
警察が判断していたとすれば
その方が警察行政として問題です

 

繰り返しになりますが
大切なのは営業としての「実態」です

 

どんなに辻褄が合うように説明したところで
「実態」として風営法から逸脱するような
営業がなされていると
痛いしっぺ返しがきます

 

目先の売上を追うばかりに
営業停止処分を受けることのないよう
十分気を付けてください

 

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