風営紳士録2.0

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ソープランド摘発・性風俗営業はどうして許可ではなく届出なのか?

ソープランド摘発

 

こんにちは!東京都新宿区の風俗営業専門やたべ行政書士事務所です。

2019年9月18日に北九州最大のソープランド「バカラ」が、売春防止法違反の疑いで摘発されました。経営者やスタッフなど6名が逮捕されたとのことですが、これは性風俗サービスだけでなく、一般の風俗営業はじめ飲食・娯楽サービス業に関わる人が知っておいて損はない事例です。

今回はこの事例を題材に考えてみたいと思います。

摘発されたのは北九州・小倉にあるMAN-ZOKU PLAZAに入るソープですが、摘発理由は風営法違反ではなく、売春防止法違反です。いわゆる本番行為を行っていたとして摘発されたのですが、ここで疑問に思った方もいらっしゃると思います。

ソープランドって本番できるところじゃなかったの?

実は風営法関連の各種法令には「異性の客に接触する役務を提供」とだけ規定されており、本番行為が認められている訳ではないというのが建前です。

もっとも、売春防止法という別の法律で禁止しているので、建前でも本番行為を前提にしたサービスは禁止されていることになっています。

そして、この売春防止法が罰則をもって規制対象としているのが場所の提供を行っている者です。今回、摘発された経営者・スタッフは場所を提供した者として管理売春の疑いで逮捕されたのでしょう。

では、吉原を中心に全国に点在するソープランド全てが摘発対象になってくるかというと、それはないと思います。ソープランドだけでなく、デリヘルだって、エステだって、本番行為が行われていることは警察も承知の上です。ある種、黙認されているところもあるというのが、この手の商売です。

では、なぜ小倉のソープランドは摘発をされたのでしょうか。おそらくは売春行為だけに止まらない犯罪が絡んでいるのではないかと推察します。そして、このような別件での摘発を行うことは他の風俗営業でも往々にして見られるものです。

 

別件目的での摘発が続いたクラブ暗黒時代

 

では、どのような場合に別件での摘発を受けてしまうのでしょうか。

もっともありがちなのが殺人などの凶悪犯罪が絡む時です。殺人・薬物をはじめ、反社会勢力の資金源になっているような場合も、全容解明をするためにも摘発が行われることがあります。また巨額な脱税が疑われる際にも風営法違反・売春防止法違反でまずは摘発を行ってくるケースがあります。

2016年に風営法改正が行われ、特定遊興飲食店が新設されてクラブの深夜営業が認められるようになりましたが、そのきっかけとなった大阪のクラブNOON摘発ですが、ここでも傷害致死事件が発生していました。

 

半グレ抗争でのクラブ営業中に一般市民が巻き込まれた痛ましい事件は記憶に新しいところです。この事件の現場となったフラワーが入っていたロアビルの他店舗にも一斉に時間外営業での摘発が行われました。

 

オーナー経営者の脱税から店舗に摘発が入ったのが西麻布エーライフです。

 

いずれのケースも、風営法違反よりも、さらに別件の捜査目的があった事案であるように感じます。今回の小倉のソープランド摘発も何か同じような匂いを感じます。

そもそも、ソープランドをはじめとした性風俗に対して、国家が営業を認めるというのはどのような経緯でなりたっているのでしょうか。歴史的な経緯を振り返ってみましょう。

 

性産業の勃興

 

1978(昭和 53)年からのインベーダーゲームのブームでは、新宿歌舞伎町のメインストリートの1、2階の店舗が軒並みゲームセンターに変わってしまいました。

 

80(昭和 55)年頃になるとインベーダーのブームも下火になり、横町のゲームセンターは「本屋さん」に商売替えするところが出てきました。

 

「本屋さん」といっても、普通の書店ではなく、ビニールカバーで覆ったヌード写真集……いわゆる「ビニ本」の販売店です。その後、歌舞伎町の街は一層ピンクの度合いを増していくことになります。

 

関西から広がってきたという「ノーパン喫茶」、「愛人バンク」、「デート喫茶」、「ファッションマッサージ」といった得体の知れないピンク産業が深夜テレビで紹介されるや、新宿歌舞伎町は「怪しげな街」として全国にその名をとどろかせることになってしまいました。

 

トルコ風呂がトルコ大使館からのクレームにより「ソープランド」と名称を変更したのも、風営法が改正されるまさにその年、1984(昭和 59)年のことでした。

 

青少年の保護・育成を主目的とした新しい風営法――『風適法(風俗営業等の規制および業務の適正化等に関する法律)』には、歌舞伎町の商店主たちもいちおう賛成を表明はしたものの、街の経済にどんな影響が出るのかという心配も隠せませんでした。

 

『風適法』の施行によって、ゲームセンターが許可を必要とする業種になり、営業時間も制限され、また「ソープランド」をはじめとする性風俗関連の営業には届出が課せられる――そのことが、テナントビルを所有するオーナーにとって心配の種になりつつありました。

 

そんな中で、性風俗関連営業に対する法律上の扱いについて再考を求める動きが出てきます。

 

パチンコ店もマージャン店も、バーもクラブも、新たに営業を開始するには、営業所の場所的要件や、申請者の人的要件など厳しい条件が付けられ、厳格に審査されます。

 

しかし、もっと怪しげなピンク産業である性風俗関連営業には、非常に簡単な届出制が採用されることになりました。極端な話、ヤクザでも届出をすれば営業ができるのです。「ピンク産業が届出制で、まともなバーやマージャン店がどうして許可制度なんだ?」

 

商店主の間から、疑問の声が上がりました。

 

 

許可と届出

 

1985(昭和 60)年2月 13 日施行の「風適法」で初めて「風俗関連営業」という用語が定義されました。

 

それ以前の「風営法」の枠内にあった個室付き浴場業・モーテル営業に、新しく性風俗を売り物にした営業としてストリップ劇場、ラブホテル、モーテル類似、アダルトショップ、ビニ本屋、個室マッサージなどを加え、これらを総称して「風俗関連営業」と呼ぶようになったわけです。

 

その後の著しい風俗環境の変化を踏まえ、1999年の4月からは「風適法」の改正により、「風俗関連営業」は「性風俗特殊営業」の「店舗型」と「無店舗型」、そして「映像送信型」に新しく分類されることになりました。

 

85年の改正法では、キャバレー、バー、マージャン店、ゲームセンターなどの許可基準が厳しく規定されました。しかし、なぜか世間一般で「ピンク産業」と呼ばれている「風俗関連営業」については、届け出だけで営業が認められることになりました。法改正以前から営業している店舗は、既得権の範囲内で営業が存続できたのです。

 

ピンク産業が「許可制」でなく、「届け出制」となったため、多くの人が驚き、疑問を持ちました。

 

しかし、よく考えてみれば、法改正の裏には、ピンク産業に許可を与えるのではなく、届け出をさせて営業実態を把握し、ゆくゆくは廃業に追い込もうという意図があったように思われます。

 

実際、届け出に必要な書類などは非常に簡単なものだったのですが、新規の届け出については学校・図書館・入院施設のある医療機関などの周囲 200 メートル以内を営業禁止区域としたところに、新規の届け出を阻止しようという思惑が現れているようです。

 

日本一の繁華街である新宿歌舞伎町には、新宿区役所があります。その区役所の1階の一角に、ほんの資料室ていどの大きさの「図書館」が設置されました。また歌舞伎町の中心、新宿コマ劇場の裏には旧都立大久保病院がありました。そのため、歌舞伎町のほぼ全域でピンク産業、つまり「風俗関連営業」の届け出は受理されないことになりました。簡単に言ってしまえば、85 年以降の新宿歌舞伎町のピンク産業は、ほとんどが「もぐり営業」ということになっています。

 

性産業と外国人

 

「風俗店一斉捜査・容疑者9人逮捕/新宿で警視庁・入管――警視庁と東京入国管理局は25 日夜から 26 日未明にかけて東京都新宿区歌舞伎町1丁目の風俗店5店を風営法違反(禁止区域内営業)容疑で逮捕し、個室マッサージ店経営○○○○(53)と中国人の性風俗店従業員△△△(43)両容疑者ら計9人を同法違反や出入国管理法違反(不法残留)の疑いで現行犯逮捕した」(2001 年 9 月 26 日、朝日新聞)。

 

……この記事は、新宿歌舞伎町に巣くう、もぐりのピンク産業の実態の、ほんの1例を示すに過ぎません。

 

怪しげな看板を掲げる怪しげな客引きたちにとっては「風適法」など眼中になく、実際、許可も受けず、届け出もされていない不適法な店舗がどれくらいあるか知れません。

 

時々、私の事務所にも、たどたどしい日本語で「マッサージ店の警察の許可を取ってください」と電話がかかります。指圧マッサージや整体の診療所に警察の許可など必要あろうはずがありません。

 

繁華街には韓国、中国、台湾、タイなど多国籍のマッサージ店が夜通しネオンをともして営業しています。

 

夜よなか、ましてや明け方の繁華街にマッサージをしてもらいに行く人が、どれほどいるというのでしょうか? そして「明け方のマッサージ店で強盗事件発生」という新聞記事を見ることになります。深夜のマッサージ店で何十万、何百万もの売上金が狙われるということは一般常識では考えられないことですから、そこで不法な性風俗営業が営まれていることは火を見るより明らかです。

 

警察の取り締まりが行き届いていないというのも事実ですが、そもそもビルのオーナーや不動産業者が、借り主の身元や業種についてしっかりした選定や見極めをしていないことが繁華街を荒廃させる一因になっているといえます。

 

たくさんの犠牲者を出した 2001 年の新宿歌舞伎町のビル火災事件でも、その後の調査によって、無許可営業や賭博、暴力団、不良外国人、さらにテナントの複雑な権利関係、店主のいいかげんな経営方針など数多くの問題点が浮き彫りになってきています。

 

この事件を契機に、ゲームセンターばかりでなく、マージャン店、パチンコ店も含め、健全な庶民の娯楽場としての風俗営業のあり方や社会的地位の向上について、再考する必要があると思います。

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