風営紳士録2.0

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年越しイベントの中止と風俗営業の涙と笑い

ロッキングオンの英断

 

皆さん、こんにちは!

東京都新宿区の風俗営業専門やたべ行政書士事務所です。

前回の投稿で年越しイベントの自粛要請についてご紹介しましたが、本日12/21(月)に大型のイベント中止が発表されました。

老舗の音楽雑誌のロッキングオングループが企画・制作するCOWNTDOWN JAPANは、18年目となる日本最大のカウントダウン音楽イベントで、例年100組を超えるアーティストが出演する人気イベントでした。

 

当然ですが、主催者としてもかなり悩んだうえでの苦渋の決断だったようです。

以下はCOUNTDOWN JAPAN公式サイトからの転載です。

「開催まで一週間を切り、設営は始まっていませんが、フェスの準備はほとんど終わっています。あの非日常空間を創り出す装飾物、CG、一年かけて準備した膨大なものが参加者の皆さんの目に触れることなく終わってしまうのは、本当に悔しいです。感染拡大防止のために、長い議論を行いながら数々の対策も考えていました。開催しても感染は拡大させない、参加者の皆さんと共にフェスと音楽を守るぞ、という闘いを社会にアピールしたかったです。

言うまでもなく、出演アーティストの方々の準備も進んでいました。ライブが行えない状況の中での貴重なチャンスに賭ける気持ちは、打ち合わせの中で痛いほど伝わって来ました。フェスを止めてはいけない、ライブを止めてはいけない、音楽を止めてはいけない、その気持ちは強くなるばかりです。それは音楽ファン、アーティスト、そして我々のような関係者すべての思いです。来年は、音楽にとって希望の見える年となることを祈りたいと思います。」

 

誰のせいでもありませんが、「本当に悔しい」との言葉が染み入ります。

これだけの規模、関係者が関わった大型イベントであり、一年近く準備期間があったことからも、感染状況を踏まえながら中止になる可能性も想定して進めていたと思います。

開催直前での発表タイミングからすると、第3波襲来によるGoToトラベル停止や東京都の年末年始コロナ特別警報発出、医療緊急事態宣言などが中止の決定に影響したように思います。

COUNTDOWN JAPANに限らず、フジロックやサマーソニックなどの音楽フェスは、連日開催されることが少なくないことから宿泊や周辺の観光需要などにもつながっていました。

GoToキャンペーンひとつとってみても、政府の政策判断が特定業界だけに止まらずにさまざまな産業へと波及効果を生んでいることを感じさせられます。

 

 

憲法の義務を負う国民

 

さて、COUNTDOWN JAPANが中止になる一方で、旧来通りのオフラインイベントも都内では数多く開催されます。

特にダンスクラブ、ライブハウス、キャバクラ、ホストクラブなど、「夜の街」関連と呼ばれる業種・業態の店舗ではクリスマス~年越しにかけては重要な書き入れ時となります。

本日12/21に開催された西村大臣と尾身会長の会見では、カウントダウンイベントのオンライン開催が進められていましたが、如何せん「夜の街」関連ではオンラインの壁を越えるのはなかなか難しいように感じます。

ところで、本日行われた会見では「夜の街」だけでなく、酒類提供が含まれない「昼の街」、要するに一般的な飲食場面でも感染拡大が広がっていると警鐘が鳴らされていました。

第2波と呼ばれる夏までの感染拡大では集中砲火を受けていた「夜の街」ですが、現在の第3波での感染は一般的な飲食場面ではないかと推認されています。

とはいえ、風俗営業などへの取り締まり強化に関しては安心は出来ません。

というのも、会見では西村大臣が強権的な対応の在り方について言及していたからです。

感染拡大防止に向けた取り組みの実効性に関するこちらの発言部分に注目してください(35:40頃)

 

【日本国憲法12条】後段「国民はこれを濫用してはならないのであって、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ」

【西村大臣発言】「国民は権利及び自由の濫用をしてはならないのであって、常に公共の福祉のためこれを利用する責任を負う」「今の状況では、緊急事態宣言に至らない段階においても、地域の感染状況を踏まえたそれぞれの知事の感染拡大防止の取り組みについて一定の法的枠組みを設けて実効性を高めることを検討したい」

正確な内容は動画でご自身で判断頂くとして、西村大臣の言わんとするところを私なりに意訳させて貰えば以下3点です。

1.自粛要請に応じず、感染拡大防止への対応を怠る店舗は自由・権利を濫用しているので公共の福祉のために制約されるべき

2.経済的ダメージが大きく、世論が反発する緊急事態宣言は出したくない

3.緊急事態宣言なしに、知事に感染拡大防止の法的強制力を与える立法措置を講じたい

 

本ブログはあくまでも、風俗営業はじめ飲食・娯楽サービス業に携わる皆さんへの情報提供を目的としているので、分かりやすさを優先しているので意訳の乱暴さはご容赦ください。

立法措置を講じた後は、協力要請などのお願いではなく、法的強制力ある処分ができるように検討しているということです。

法律家ならずとも、少しでも憲法を学んだことがある方なら、大臣が憲法12条を根拠として国民の義務を強調すること自体に違和感を感じると思います。

そもそも、憲法は自由の基礎法であり、制限規範なので、立法事実の理由付けとして国民の義務を強調するのは一般的ではないからです。

もっとも、東大法学部を出ている西村大臣がそんなこと知らないはずありませんし、話されている内容それ自体は不条理なことは何もないと思います。

ただ、非常に嫌な予感がします、、、これまでの経緯があるだけに。

【穢れた夜の街の風俗営業に「特別な夏」到来】

【東京都の依頼で風俗営業許可店へ立入り調査】

【風俗営業への立入り強化を菅官房長官が宣言】

真っ先に目をつけられ、強権的に実効性を高める取り組みが行われるのが「夜の街」の風俗営業関連になるのではないかと。

繰り返しになりますが、年末年始にカウントダウンイベントや終夜営業を行う事業者の皆さんは、くれぐれも法令順守及び感染拡大予防を徹底して頂きますようお願いします。

 

 

風俗営業の涙と笑い

 

感染拡大に暗い気持ちになりがちな一日でしたが、前向きに勇気を貰えたのもまた風俗営業に生きる人からでした。

まあ、どこの世界でもいるものですね。

以前の投稿でも触れましたが、SNSが発達した現代では姑息なチートは直ぐにばれてしまいます。

誰にもバレていないと思っても、他ならぬ自分自身は分かっているので、その状態にあることが、美学・メンツを重視する人間であれば耐えられないはずです。

【デジタル評価経済社会の虚像と風俗営業の顔】

 

あ、やべぇ失敗しちゃったな~と思ってからが本当の人間力が問われるところ。

今回の件だって、組織としてやっている以上は誰か一人だけが決定的に悪いというのではないからこそ、誰だって責任転嫁したくなるのは人間の性。

でも、真っ先に謝罪したROLANDさんは逆に男を上げたんではないでしょうか。

『THE CLUB』閉店の時も、今回の対応も、さすが風俗営業のトップに立っただけの人ですね。

 

歌舞伎はいつだって貴方を待っていると思いますよ。

 

もう一人、勇気もらったのは今年のCOUNTDOWN JAPANに出演予定だったこの人。

「涙のあとには 笑いがあるはずさ 誰かが言ってた」

2021年はたくさんの笑いがあるといいですね!

やたべ行政書士事務所は風俗営業に携わる皆さんをいつでも応援しています!

それでは、また!

 

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