風営紳士録2.0

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風俗営業許可店での立ち入り調査のポイント

名古屋コンカフェ摘発

 

皆さん、こんにちは!

東京都新宿区の風俗営業専門やたべ行政書士事務所です。

先週末7/2(土)、愛知県名古屋市中区にあるコンセプトカフェが風営法違反での家宅捜索を受けました。

記事タイトルの情報を補足すると、「ドン横」とは名古屋の繁華街・錦三丁目のランドマークとなっている「ドン・キホーテ」周辺を指し、このエリアで遊ぶ若者はドン横キッズと呼ばれているそうです。


出所:TBS NEWS DIGのHPより

新宿歌舞伎町・TOHOビル横に集まるトー横キッズを模したというところでしょうか。

また、コンカフェとは「コンセプトカフェ」の略称で、メイド・コスプレといったコンセプトに基づいて企画された飲食店を指します。

かつては、利用客をご主人様に見立てたメイドカフェなる呼称が一般的でした。

その後、韓流アイドル風執事やコスプレなどサービスが多様化したことからコンカフェと呼ばれるようになりました。

報道によれば、今回の摘発では風営法違反による無許可営業として摘発・逮捕されたとあります。

風俗営業許可が必要な接待が行われていたことが理由でしょうが、警察が取り締まるべきと判断した直接的原因は他にあると思います。

これまた報道ベースですが、「ホストクラブのようなサービスを行う件のお店にはドン横キッズはじめ18歳未満の少女らが客として出入り」していたそうです。

18歳未満が客として立ち入っていたという時点で、こうした厳しい取締りが行われることを覚悟しなければなりません。

青少年の健全な育成という目的が含まれることで、風営法による規制もより厳しく判断されることになるからです。

 

 

摘発における警察裁量

 

かつて東京・秋葉原でのコンカフェ・メイドカフェへの摘発が強化された際にも風営法違反における警察裁量について言及しました。

参考【メイドカフェに風俗営業許可は必要か?】

こちらの過去投稿で、風営法の「接待」にあたるかどうかは警察が「接待」と判断するかで決まると述べました。

つまり、警察が処罰すべきと判断すると風営法の「接待」と認定され、無許可営業者は処罰の対象になるということです。

今回の摘発店舗では、少女らが客として利用していたので、もうその時点で処罰すべきとの警察目的は固まっていたと思います。

また、東京・新宿歌舞伎町のトー横での未成年者への犯罪被害が社会問題化していたことも処罰感情に影響したと思います。

摘発された名古屋のコンカフェには、捜査員30名近くが家宅捜索を行ったそうですから、事前の内偵によって違反事実を掴まれていたはずです。

利用していた少女らは、「ホストクラブと同じだけど料金が安く、お酒も飲める。年齢に関係なく入れる」と話題になっていたそうです。

 

 

家宅捜索と立入り調査

 

ちなみに、今回のような家宅捜索を俗にガサ入れと呼びます。

犯罪捜査を目的に、犯罪の嫌疑を受けている事業者・店舗に対し、捜索差押令状呈示の上で直接強制として行われます。

これに対し、風営法に規定されているのは、立ち入り調査です(風営法37条2項)。

この立ち入り調査は、犯罪捜査の目的ではないことが法律上明記されています(風営法37条4項)。

あくまで、目的は「善良の風俗と清浄な風俗環境を保持し、及び少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止」し「風俗営業の健全化に資するため、その業務の適正化を促進する等の措置を講ずる」(風営法1条)ためです。

したがって、風営法を順守している店舗・事業者含めて、全ての風俗営業事業者(特定遊興飲食事業者含む)が対象になってきます。

ただし、立ち入り調査を不当に拒んだり、妨害すると百万円以下の罰金(風営法53条7項)が課せられるという間接強制として行われます。

下手に負けん気を発揮して立ち入り調査を頑なに拒んでしまうと、犯罪嫌疑をかけられ家宅捜索コースに乗ってしまいます。

家宅捜索される際の令状は司法官憲(裁判官)が発していますから、これを拒めば公務執行妨害としても普通に逮捕されます。

よくSNSで任意の職務質問を断固拒否して警察官に毒づく動画を目にしますが、風営法の立ち入り調査で同じことをしてはダメです。

立ち入り調査時点で不備があっても、その後しっかりと改善対応する姿勢を示すことで警察も柔軟に判断してくれることがあります。

立ち入り調査で不備を指摘され、自分では対応できない場合は専門家である行政書士にご相談下さい。

家宅捜索までいくと、かなりのダメージを受けますから、立ち入り調査でリカバリーできるよう日頃からしっかりと対応してください。

立ち入り調査への妨害を行って警察を怒らせ、家宅捜索コースに乗ってしまったケースの過去記事も紹介しておきます。

参考【歌舞伎町キャバクラで機動隊による強制捜査】

 

 

立入り調査のポイント

 

本題の立ち入り調査に関して、特に注意すべきポイントを挙げておきます。

以下の4点は、立ち入り調査の際に警察から指摘される可能性が特に高い箇所です。

許可証
従業員名簿
照明
店舗構造

なお、立ち入り調査で「接待行為」違反が指摘される可能性は低いので入れていません。

許可証・従業員名簿・照度・店舗構造などと違って「接待行為」は立証が難しいからです。

許可証・従業員名簿・照度・店舗構造というのは客観的で違反事実の判断が比較的容易です。

「接待行為」は主観的なもので、事実認定が容易ではありません。

摘発されたコンカフェがそうであったように、接待による無許可営業が問題されるのは、内偵後の強制捜査段階である可能性が高いと思います。

では、4箇所それぞれのポイントを述べます。

 

許可証のポイント

 

立ち入り調査の際、まず最初に行われるのが許可証の掲示確認です。

交通違反の取締りでも、違反行為を問いただす前に警察は真っ先に「運転免許証見せてください」と言うはずです。

自動車運転も、風俗営業も、本来は禁止された行為であり、個別の申請に基づいて許可されている行為です。

風俗営業での立ち入り調査においても、この原則に従ってまずは許可証の確認が行われます。

風営法では「許可証の掲示義務」が有るので、お客さんから見えやすい場所に許可証を掲示しなければなりません。

立ち入り調査の際、しっかりと説明できるよう普段から入口レジとかカウンター付近の壁などに許可証が掲示されているか確認してください。

なお、許可証の掲示は原本掲示になっていますので、額に入れて掲示しておくのが良いでしょう。

 

従業員名簿のポイント

 

許可証の掲示確認の次は従業員名簿の確認です。

警察の立ち入り調査でもっとも法令違反として指摘されやすいのが従業員名簿です。

ヘルプ・体験入店なども含め管理しなければならず、従業員名簿の管理は非常に面倒です。

だからこそ立ち入り調査時は一番狙われる項目となっています。

他店が手抜きしがちな名簿で法令順守姿勢をアピールして警察職員を安心させてください。

 

照明のポイント

 

照明での指摘として多いのが、スライダックスなどの調光器に設置し直されているケースです。

従業員名簿の確認と同様、照明スイッチも客観的かつ容易に確認できるため、立ち入り調査で確実にチェックされるので要注意です。

 

店舗構造のポイント

 

最後のポイントが、店内構造の見通しです。

衝立など見通しを妨げる内装設備に変更していないかがチェックされます。

仕切りを設けて見通しを遮るようになっていると違反として指摘されてしまいます。

厳格に言えば、申請時の客室図面に記載された位置とテーブル・椅子の同じは配置が求められます。

申請時の図面を確認し、変更されているようなら原状回復させておいてください。

事前の承認を得ないで構造設備を変更した場合、営業停止などの行政処分を受けることになります。

警察の立ち入り調査をあくまで任意の職務質問程度に軽く考えず、しっかりと対策を講じてください。

 

 

呼び出されても冷静に

 

以上、風俗営業許可店での立ち入り調査のポイントをご紹介しました。

これら以外にも違反を指摘されることはありますが、多くの事業者がひっかかるのが上記の4箇所です。

立ち入り調査の際、違反があれば警察への呼び出し状が渡されます。

呼び出しの際は、保健所の飲食店営業許可証、現風俗営業の許可証、従業員名簿等を持ってくるように指示されます。

立ち入り調査で指摘された違反への対応でお困りの際は、弊所やたべ行政書士事務所にHELP!のご連絡を下さい。

やたべ行政書士事務所は風俗営業に携わる皆さんをいつでも応援しています!

それでは、また!

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