風営紳士録2.0

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パチンコ店の風俗営業許可

P 店とは

 

業界の中ではパチンコ店を「P 店」と呼んでいます。

 

新人の行政書士や知人からは「パチンコ店の許可申請は大変でしょう?」と、よく聞かれますが、新人がベテランの行政書士に尋ねると、ほとんどの場合、次のような答えが返ってくるようです。

 

「P 店の申請は大変だよ。新人にはちょっと無理だねー。間違えると大変なことになるよ!」

 

「なんなら私のところへ持ってらっしゃい。やってあげようじゃないか」

 

そんな具合に、新人が営業努力をしてせっかく舞い込んできた仕事が、ベテランの先生のもとへ持っていかれてしまうことがよくあります。

 

東京都で登録している行政書士は 6,259 人、全国では約 46,312 人です。(平成 28 年 8 月末現在) そのうち半数以上は税理士や司法書士といった「他士業」を兼ねており、行政手続き業務が専門でない人が多くいます。

 

その人たちを除いた残りの約半数の中にも、役所を退官する時に無試験で資格を取得した、いわゆる「特任組」という人も相当数います。

 

その数を差し引いて、さらに建設業や運送業など、ほかの許可を専門にしているため風俗営業にかかわっていない人などを除いていくと、風俗営業に専門に携わっている行政書士は数が限られてきます。

 

読者の皆さんには信じられないことかもしれませんが、消費税を納める必要がない程度の売り上げしかない行政書士が大多数を占めているのです。

 

そんな背景がありますので、たくさんの報酬額が得られそうな P 店の許可申請を新人から奪い取ってしまおうとする先輩行政書士がいるのも事実です。

 

果たして P 店の申請は本当に難しいのでしょうか? 私の場合、新人から尋ねられたら、こう答えます。

 

「規模の違いこそあれ、マージャン店の申請と原則的に変わらないよ」

 

「難しく考えないで、やってみなさいよ」

 

逆に、規模は小さくても、性風俗店や、ポーカーゲームのように賭博に使用されそうな機械を備えたゲーム店の申請は、所轄警察署がとても嫌がります。

 

癒着があるとはいいませんが、規模の大きな P 店は優良な案件と認識されているようで、所轄の担当者も申請について協力的で、見方によっては最も簡単な許可申請ということもできます。

 

申請時の警察対応の注意点

 

風俗営業の許可申請窓口は、所轄警察署の生活安全課保安係が担当します。東京都の多くの警察署では、保安係の主任(巡査部長)クラスが許可の受付をしています。

 

警察署によっては保安係長(警部補)が担当したり、最近では嘱託の職員(定年退職した警察 OB)が担当するところもあります。

 

ひとくちに生活安全課といっても、その業務範囲はとても広く、麻薬や鉄砲、売春、賭博から、少年事件や産業廃棄物の不法投棄に関する事件まで、幅広く取り扱っています。

 

大きな事件があった場合は、生活安全課の職員全員が出払ってしまうということもたびたびあります。

 

新宿や池袋といった大きな繁華街を抱える警察署は別として、多くの警察署では風俗営業許可の受け付け担当は1人で、おおむね2年で担当が交代してしまいます。

 

許可の受け付け担当といっても、ほかの署員と同じように夜勤もあれば、許可申請店やパチンコ店の機械入れ換えの検査、パトロール、取り締まりなどの日常業務が多く、常に担当の席にいるわけではありません。

 

ですから、アポイントをとらずに申請に出向くと、せっかくいったのに申請の受け付けをしてもらえないということもあります。

 

風俗営業が専門でない行政書士の中には「二度手間、三度手間になってしまった」と怒る人がいますが、専門の立場からは「それはあなたの不勉強のせいでしょう」と言いたくなります。

 

本当は保安係の全員が申請受け付け業務をしてくれるといいのですが、申請の受理には専門的知識も必要になります。受け付けた申請書類は都道府県警察本部へ送るわけですが、書類に不備があると、本部から突き返されてしまいます。従って、責任の所在をはっきりさせるためにも担当が決まっていることが必要で、保安係の誰が受け付けをしてもいいというわけにはいかなくなっています。

 

それでも、許可を担当するのは初めてという人が着任することもあります。申請受け付け業務が初めての担当者は、前任者に聞いたり、マニュアルや古い書類を見ながら受け付け業務をします。そういう時には、法令の改正で必要のなくなった書類についても、「念のため」ということで提出を求められることがあります。

 

まして、パチンコ店の新規申請ともなれば、係長や課長まで出てきて、打ち合わせや書類の点検に多くの時間を割くことが少なくありません。

 

保全対象施設をめぐる人間模様

 

P店の申請には予期しないことがたびたび起こります。「出店妨害」もその一つです。――土地を購入してビルを建て、パチンコ店の内装工事をしているその時……隣のビルに突如、診療所の看板が現れ……ベッドを一つ設置した診療所が保健所に登録され……パチンコ店の許可申請ができなくなってしまった……その時、入床施設(ベッド)の廃止をめぐって、診療所側が要求した金額は、なんと5億円……!

 

パチンコ店の出店妨害には、やくざや同業者がからむことが多く、多額の金銭がやり取りされる場合があります。

 

また、住宅地近辺での出店に対しては、住民の反対運動が起こる場合もあります。

 

東京郊外のある駅前のパチンコ店代替わりでは、店舗を譲り受けて新規申請をしようとしたその時に、隣の歯医者さんに入床施設が一つ登録されてしまい、申請ができなくなってしまいました。

 

住民運動に協力したと思われる歯医者さんの言動に怒った P 店経営会社が訴訟を起こしましたが、訴訟の最中に強気の経営コンサルタントが歯医者さんにねじ込み、その結果、歯医者さんの奥さんが「脅迫されてノイローゼになってしまった」と逆に訴えを起こしました。

 

長い裁判の間に、この歯科診療所では口腔外科手術をして、患者さんの入院実績ができてしまい、そうなれば P 店の訴えは認められず、申請は不許可となり、結局、P 店申請会社は倒産してしまいました。

 

そんな出店妨害のほかに、P 店申請者の社長自身が過去のマージャン賭博のために申請を取り下げたこともありました。

 

多額の出資を必要とする P 店の出店では、許可申請をする経営者は特に神経質になり、私たち行政書士や建築会社、機械メーカーに対して大きなプレッシャーをかけてきます。

 

許可が下りなかったら大変なことになってしまいますから、建築業者に対しては「早く、早く」と毎日、尻をたたき、許可が下りるまでは、ひたすら突っ走ります。

 

P店の申請は、新規申請ばかりでなく、改装や構造設備の変更でも「変更承認申請」をしますから、その時も新装開店までの期間をできるだけ短くしようと、かなり無理な日程で申請作業が進められます。

 

このように、パチンコ店開店の裏側では、さまざまな人間模様が渦巻き、事件が起こっています。

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