風営紳士録2.0

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3密事業者への補償が共感を生みづらい理由

いつか見た風景

 

皆さん、こんにちは!
東京都新宿区の風俗営業専門やたべ行政書士事務所です。

先日ご紹介したライブハウス関係者による国への損失補償を求める記者会見がNHKで報道されていました。

 

ちょうどタイミングよく(と言ったら不謹慎ですが)東京都による臨時会見が行われ夜の街での感染拡大、風俗営業はじめ飲食・娯楽サービス業への来店自粛が発表されていたことから、メディアからの注目も集まったようです。

この手のロビー活動はどれだけメディアに広く報道され、SNSで情報拡散されるかが重要ですから、パブリシティとしてのタイミングは最高だったと言えるでしょう。

今回は東京都知事の業種・業態を名指しで注意喚起されたことから、危機に瀕する事業者・関係者に対して救済の手を差し伸べて欲しいという発信は世間にも広く知られたようです。

ただ、私の個人的印象では、風営法改正時のような共感は生まれていないように思います。あくまでSNSだけのレベルですが。

なぜ、共感が生まれないのでしょうか?

この会見を視聴していた時に、何とも言えない既視感を感じました。

それも、ごくごく直近に見た風景だな、と。

 

そう、それはこのニュースを聞いた際に感じたものと同じ風景でした。

【和牛は文化だ!】

コロナウイルスを巡る新型肺炎への経済対策として、国産和牛を購入するための「お肉券」を配布する構想を農林大臣が示したのです。

国民向けに「お肉券」の配布と説明していますが、要するに畜産事業者の売上減少を税金を投入して支えようということです。

このニュースを耳にした多くの国民の率直な感想はああ、これが族議員というやつか、というものではないでしょうか。

もちろん、経済政策として支援する事それ自体は当然の事でしょうが、なぜかこのようにとってつけたような錦の御旗として「文化論」が理由付けに使われると共感創出には逆効果と感じてしまうものです。

「和牛文化そのものが無くなってしまうおそれがある。」(江藤拓 農水相)

 

当然ながら、他の事業者も黙ってはいませんでした。畜産業者にやるなら俺たちも助けてくれよと「お魚券」「お米券」などと特定団体からの陳情を受けた提言が続くことになります。

 

族議員によるもっともらしい文化論といえば、現在の在宅勤務によるテレワークの足枷となっているハンコを巡り、竹本直一大臣によるこんなやりとりもありました。

『なぜハンコは無くならないか?』

 

 

金の匂いと共感創出力

 

このように「文化論」を振りかざしながら、その裏で公費投入カネの匂いがすると、共感は生まれづらくなります。

ライブハウスやクラブが潰れようが、税金が自分に回ってこない使われ方がされるなら断固反対という方々もいらっしゃいます。

もっと言うと、今回は風俗営業はじめ飲食・娯楽サービス事業者だけが辛い思いをしている訳ではありません。

ほぼ全世界の全産業が何らかの形でコロナウイルスと闘っている状況にあります。

ウイルスの集団感染経路として名指しされてしまったダメージは大きいでしょうが、今回は具体的に名指ししなければならない事態でもありました。

ナイトタイムエコノミー推進などを行っていた識者の中には、具体的な補償なしに名指しするのは良くないとの意見もあるようですが、大多数の国民の意見からすると少数派でしょう。

 

ただ、今回はどう考えても国民の生命身体の安全の方がどんな事業者の経済的利益より重要ですからね・・・

 

 

金求めずに関心を求む

 

一方で打算ではなく文化的価値の大切さもないがしろにしてはいけません。

世界各国では政財界のリーダーが真の意味での「文化」の大切さを訴えています。

 

【アーティストは今、生命維持に必要不可欠な存在】(独・文化相)

 

【業界失業者向けの111億円基金設立】(Netflix)

 

 

もっとも、政界のリーダーでもなければ、財界の富豪でもない一般市民は何をすれば良いでしょうか。

お金を出さずとも、まずは関心をもつことだと私は思います。

1980年代の『AKIRA』が予言したようなディストピアのような現代ですが、幸運なことに人類の英知であるテクノロジーが一般市民にも使えます。

まずは事業者に関心をもってあげて、SNSをフォローしてあげてはいかがでしょう?

そんなことか!と思われるかもしれませんが、評価経済社会と呼ばれる現代はSNSフォロワー数やチャンネル登録者数が事業者の信用力にもつながり、投げ銭や広告収入も可能になります。

東京都から名指しで警告され、やむなく営業中止に追い込まれた事業者の中には、逆にこのピンチをチャンスに変えようと果敢に挑む方もいらっしゃいます。

風営法改正時から事業者仲間を集めて勉強会など開催されてきた志高きライブハウスをご紹介します。店名がまさに今の時代を象徴していますね!

【四谷アウトブレイク】

 

明日4月1日から店舗は休業となりますが、一方でオンラインで面白い取り組みをするそうです。

 

また自店だけでなく、同じライブハウス仲間のYoutubeチャンネル一覧まで作成して公開してくれています。

店長の佐藤さんは休業する決断は「ダサイと思われる」なんて自嘲しておりますが、いえいえ何をおっしゃいますか!

お上に泣きつくよりもはるかにロックでカッコイイです!!

明日からのライブ配信、そして店舗再開を心より楽しみにしてます。

それでは、また!

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