風営紳士録2.0

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狂気の夏フェス強行でクラブ取締りも強化か

20年の闘いの果てに

 

皆さん、こんにちは!

東京都新宿区の風俗営業専門やたべ行政書士事務所です。

「狂気の夏」ももうすぐ終わりますね。

2001年のNYテロ直後から続いた米軍のアフガニスタン駐留が完全に終了しました。

米国史上、もっとも長かった戦争の終了と言われます。

後世の歴史家がどう評価するか分かりませんが、ベトナム戦争同様に米国にとっては暗い影を落とす闇歴史になってしまうように思いました。


20年間かけて積み上げてきたものが一気に崩れ去っていくように思えます。

築き上げるのは大変でも、壊れるのは一瞬です。

 

 

狂気の夏ここに極まる

 

崩れるのが一瞬というのは、風俗営業はじめ飲食・娯楽サービス業での信頼でも同様です。

米国によるアフガニスタン駐留と変わらないくらい長い歴史のあった夏フェスが終わりを告げました。

主催者がイベント開催終了を正式発表した訳ではありませんが、緊急事態宣言下での感染予防要請を結果的に無視した開催となり、事実上イベントは強制廃止に追い込まれると思います。

本イベントに対しては、音楽・エンタメ業界を応援してきた都議会議員の方からも落胆のツイートが投げかけられていました。

正直、6月までの感染状況からは想像できないような惨状になってしまったので、こうしたイベント・フェスは企画段階と実施段階にタイムラグが大きいので、ガチャのようなリスクに晒されていることは間違いありません。

ましてや、上場企業までもが「要請違反なんぞ駐車違反程度だろ」などと堂々と破っているような夏前までの社会的な雰囲気からすれば、この手のイベント・フェス運営会社にとってはどうせならやってみようという気持ちになるのも理解できなくありません。(注)グローバルダイニング社は「要請」違反に止まらず「命令」違反も行っているため、規範違反の程度はNAMIMONOGATARIより酷いことにもなります。

参考【風俗営業が「狙い撃ち」すべき手続的正義】

さらに言えば、財務的な体力がない零細資本の企業であれば、大型イベントが1回飛んだだけで倒産の危機に瀕するところもありますからね。

 

 

正義中毒は怪物を生む

 

中にはイベント主催者の国籍などにフォーカスした批判も出てきているようです。

前回エントリーで触れた小山田圭吾氏の出身・和光学園に対する差別ツイートでも触れましたが、こうした世論主導の社会問題が発生すると何らかの属性に原因を求めたがる人が一定数存在します。(注)左翼系過激派の学生運動が問題となったのは和光大学であって、小山田氏の在籍した和光学園ではない

参考【深淵を覗く時、深淵もまたこちらを覗いてる】

人間の属性に原因を求めるというと、遺伝を重視したかつてのナチスドイツの優生政策が有名ですが、こと現代の情報化社会ではSNSでこうしたヘイト投稿を目にすることが少なくありません。

いつもは冷静に分析されている専門家であっても、こと自分の主張を脅かすようなものには突如「バーカ、バーカ」と脊髄反射してしまう方もいます。

要するに自分にとって痛いところつかれて焦っているんだろうな、、、一般的にはそう受け止められてしまうのが関の山ですが。

NAMIMONOGATARIがそうであったように、その専門家が人生をかけて応援している産業に対し、最後の最後で自らが足を引っ張ることが無いようにしたいものです。

もちろん、これは自戒を込めての意味でもあります。

私も基本的に平和主義者ですが、こいつはと思った相手は絶対に許せないタイプです。

とはいえ、専門家として事実誤認や間違った情報発信、あるいはパクリがバレたときなどは、素直に謝れる人間でありたいものです。

それが出来ずにネット番長でツイ廃してるのが、一番クソダサいことですから。

 

 

憲法を主張するなら今

 

これまでのコロナ禍での行政対応に対し、憲法の経済的自由権などを根拠に「不要不急論で虐げてきた産業側が涙を流して犠牲になっているのですよ」などと擁護してきた専門家は少なくありません。

他方で、今回のような要請違反の実態を目の当たりにした途端、手のひらを返したように出演アーティストは謝罪しろだの、アーティスト同業者は批判しろだのと上から目線で説教する人もいます。

中には「フジロックなんかとはちょっと質の違う問題。最初から感染症対策に真面目に取り組む気が無かった」と断罪する意見もありました。

私もSNSで動画をみただけですが、これは今までの自粛我慢が切れて完全にはっちゃけてるなーと思いましたが、一方でこんな疑問も持ちました。

でも、正直六本木や渋谷のクラブではこんなの毎週末のことじゃないか、と。

NAMIMONOGATARIの画像に一般の方が反応するのは分かりますが、「夜の街」を知るような方々も過剰に反応されているのが気になりました。。。本当は「夜の街」の現実など知らないのであれば仕方ありませんが。

もちろん、同業者が同じようにいい加減な感染対策しか取っていないと思われるのが嫌だという気持ちは分かります。

ただ、こうした自称産業側の擁護論者がこれまで主張根拠としてきた憲法論との関係では、NAMIMONOGATARIは興行としての経済的自由に関わる活動であるだけでなく、表現の自由なども伴った精神的自由に関わる活動として、飲食店の経済的自由権以上にその制約は憲法上厳格に判断されなければならないはずなのです。

さらに、愛知県県有施設の開催として改正特措法に基づいて行政罰を科すには「要請」だけでは足らず、「命令」に至っていなければならないということも挙げられます。

 

今回のNAMIMONOGATARIは、事前に強く「要請」を受けていたイベントなので、開催状況を県職員が監視できたにもかかわらず、イベントは終日盛況のまま開催され、開催中の「中止命令」は出されませんでした。

NAMIMONOGATARI主催者としても、イベント動画拡散による炎上から直ぐに謝罪を行っていることから、当日開催中に行政から「中止命令」が出されれば従っていたと思われます。

感染対策への取り組み姿勢にこそ問題があったものの、規範違反の程度としては「要請」違反なだけですから、昨年のK-1主催者や新橋一揆の居酒屋と同程度だという事です。

しかも、別にゲリラ的に行ったイベントでもなく、要警戒していたなら行政も強制的に中止命令を出そうと思えば出せたのに、イベント終了まで出しませんでした。

どちらかというと、ツイッター中心にSNSでイベント動画が拡散されたことを受けて、愛知県として厳重注意を行ったと私は受け止めました。

決して、天邪鬼に奇をてらって意見しているつもりはありませんが、今まで産業者側を擁護していた方々が一斉に批判しているのが非常に違和感を覚えました。

 

 

偽善者のポジトーク

 

もっと、はっきり言いましょう。

あの動画に出ているような密集状態を危険な状態として糾弾すべきと言うなら、特定遊興飲食店として営業するクラブは一斉に営業停止処分にした方が良いはずです。

もちろん、クラブにも、ライブハウスにも、出来る範囲で感染予防対策を行っているところはたくさんあります。

でも、感染予防対策など一切お構いなしで超密状態で盛り上がっているクラブ・イベントも厳然と存在しています。

こうした超密イベントとNAMIMONOGATARIとの違いは、炎上動画が拡散されて世論の注目を集めているか否かという点だけだと思います。

繁忙時間のクラブに一度でも行ったことがある人なら分かると思いますが、クラブフロアが盛り上がっている時は常時NAMIMONOGATARI状態です。

まして、NAMIMONOGATARIは屋外ですが、クラブやライブハウスは屋内で換気が悪いところが少なくありません。

今さら綺麗事並べても仕方ありませんから言うと、私の知っているとあるクラブ従業者はこの春の時点で9割方が陽性者でした。

デルタ変異株による感染ではないかもしれませんが、こうした陽性者の方々は別に何とも思っていない様子でした。

だから平気でマスクをつけずに街中を闊歩しているのです。

私は風俗営業専門行政書士を謳っているので、要請違反と法令違反は明確に区分して情報発信しています。

ただ、NAMIMONOGATARIがこれだけ社会の批判に晒されている以上、特定遊興飲食店事業者の方々には最大限の注意喚起を行っておきたいと思います。

今週末以降、派手に営業している特定遊興飲食店は立ち入り、風営法違反の摘発対象になってくるはずです。

特にNAMIMONOGATARI出演者が参加するイベント、Hip-Hop系のクラブは十分注意して下さい。

要請違反でSNSで炎上しても逮捕されませんが、警察が風営法違反で検挙する時は逮捕されます。

今一度、違反状況がないかくれぐれも確認をお願いします。

参考【東京アラートで立ち入り調査もアラート発動】

「要請」だけでなく「命令」違反を行っている飲食店の方が規範意識は低いにもかかわらず、NAMIMONOGATARIの主催者の方が批判されるのは、つまるところ世論的に許せない一線を越えたからということでしょう。

ただ、私としてはこうした状況、多数意見から徹底的に袋叩きにされている状況で、それでも少数派に対して手を差し伸べるのが憲法だと思っています。

まあ、一般的な評論や専門家としては、世論や世間の同情票が集まっている流れに従って憲法論を持ち出した方がウケが良いと思いますので、仕方ないかもしれません。

ただ、もちろんそんな偽善者のポジトークのためだけに日本国憲法が存在しているのではありません。

繰り返しになりますが、こうしたNAMIMONOGATARIのような要請違反者を取り締まるには法令の根拠が必要です。

改正特措法による行政罰だけでなく、今週末以降の風営法などの行政刑罰でも、憲法の保障する人権への不当な侵害は決して許されません。

法令順守に従って、風営許可を取っている事業者の皆さんは正々堂々と営業を行ってください。

やたべ行政書士事務所は風俗営業に携わる皆さんをいつでも応援しています!

それでは、また!

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