風営紳士録2.0

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民泊ビジネス最前線|民泊届出の申請と旅館業許可の申請

民泊ビジネス始動へ

 
 国土交通省の発表によれば、今月11月上旬段階での訪日外国人客数は既に昨年2016年の2404万人を突破したとのことです。首都圏のホテルはどこも高い稼働率となり、また、需給関係から一部のホテルでは宿泊料が高騰しています。
 
 日本政府としては訪日外国人数の目標を2020年までに4000万人、2030年までに6000万人として掲げています。そこで問題となるのは受け入れ体制です。
 旅館業法で規定されている事業用の宿泊施設だけでは足りず、民間の不動産を宿泊施設として利用するアイデアが法律化されました。
 
 実際の法施行は来春で、民泊に関する新しい法律の正式名称は「住宅宿泊事業法」といいます。通称、民泊法と呼ばれるこの法律は、新たに民泊を始める事業者に自治体への届出を義務付け、宿泊税を収めることを求めます。
 
 民泊法は年間での営業日数の上限を180日に定めているため年間での宿泊施設としての稼働率が50%以下となります。そのため事業として純粋に民泊だけで収益不動産として運用していくことは難しいと思われます。
 これを受けて宿泊客の客付けと、180日の民泊稼働日以外の不動産活用に対する企業の取り組みが既にスタートしています。

 

大手との取引に必要なこと

 
 民泊仲介の世界大手としてはAirbnbが有名ですが、JTBなどの大手旅行代理店なども、民泊法の施行をにらんで民泊仲介を手掛けるベンチャー企業などと提携し、宿泊客の客付け仲介事業に参入することを表明しています。

 
 また、貸し会議室などを展開するベンチャー企業なども続々と民泊事業への参入を表明しています。
180日の民泊稼働日以外をどう活用していくか、空きスペースの有効活用を仲介するための物件の事前登録なども開始されています。
 大手企業が参入してくることにより民泊ビジネスが本格的に活性化し始めることになるでしょうが、ここで大手企業と取引を行うためには何が必要になるでしょうか?
 
 これは「合法の民泊施設」として自自治体に正規登録されることが必要になると思われます。
 
 実は、現状の仲介サイト上で扱われている宿泊施設の7割近くは無許可の違法民泊です。
ところが、先に述べたJTBが提携したベンチャー企業「百戦錬磨(仙台市)」は合法的な民泊物件を扱う先駆けで、合法民泊の開発・運営ノウハウを競争優位性として見込まれ、JTBから出資を受けることにも成功しています。
 
 来年以降、民泊新法が施行された後、遵法経営によるガバナンスが求められる大手企業の取引を行うには、何よりもまず適正な届出を行い、正規の合法民泊施設として認められていることが大前提となってくるものと思われます。
 
 現状、Airbnbなどのアプリケーション上で仲介を成立させている取引も、正規の届出を行っている合法民泊施設かどうかが、登録対象の最低条件となってくることは間違いありません。
 
 大手企業と組んで事業を拡大させるには合法民泊施設となることが前提となる一方で、届出を行い登録されると税金徴収の対象として認識されることにもなるため、二の足を踏む事業者が出ることも予想されています。
 
 ただ、自治体としては、違法民泊施設が届出・宿泊税納付を怠った場合、遡って課税を行っていく構えのようです。
さらに、仲介サイトを運営する事業者に対して、徴収業務を委託することも検討されているようです。
 
 新法施行から届出準備の流れは、ちょうど昨年施行された改正風営法と同じような流れで、6月施行で受付開始はその3ヶ月前の3月ということになりそうです。
 
 

京都府の場合

 
 京都市は国の進める「民泊」事業については消極的な地域です。そのこともあってか、来年秋の「宿泊税」導入を発表しました。来年10月の導入を目指し、ホテルや旅館だけでなく、民泊への宿泊者にも幅広く課税することを念頭に置いています。

 
 一人一泊の宿泊料金が20,000円未満の場合は200円、20,000円以上50,000円未満が500円、50,000円以上は1,000円の3段階で課税します。
 
 9月21日開会の9月定例市議会に関連条例が提出されます。課税対象をホテルや旅館だけでなく、民泊施設を含めた全ての宿泊施設を対象としているようです。
 
 ただし、修学旅行による宿泊税については課税対象から除き、年間45億6,000万円程度の税収と東京都のほぼ2倍を見込み、観光面などの行政サービス向上に充てるとのことです。
 
 既に宿泊税を導入している東京や大阪では、10,000円未満の宿泊料金については非課税。50,000円以上については東京が200円、大阪が300円となっており、「京都の1,000円は高過ぎる、この課税によって京都への宿泊者が激減する」との声も上がっているようです。
 
 とはいうものの、一泊5万円以上の宿泊料を払える人にとっては、観光資源の保護や整備のための千円の税負担は気にしないでしょう。
 
 そのことで京都での宿泊が激減してしまうという危惧は、少し心配しすぎのように思えます。
 
むしろ、観光収入ばかりに目を向けるのではなく、地元で生活している市民への行政サービスも怠らないようにするべきでしょう。
 
 京都市の観光客はこの12年間で1000万人も増加しています。違法民泊や交通機関の混雑などの問題が市民生活に影響を及ぼしていることからも、民泊業者からも宿泊税を徴収するのは当然で、ゴミの処理やら地域の安全対策にも税が使用されるはずです。
 

東京都の場合

 
 新宿区でも年内に民泊についての条例制定を目指しています。その際「住居専用地域においては、月曜日から木曜日までは住宅宿泊事業を行うことができません。」という新宿ルールを作るようです。

 
 また、民泊税の導入も考えているようですが、既に東京都において同様のホテル税が存在しているため、どのような形にするかは検討中のようです。
 
 なお、国家戦略特区特定事業として一足先に民泊がスタートした大田区でも、スタート当初は3件のみの低調な申請数に止まっていました。180日の営業日数などの基準が高いこともあり、なかなか申請が増える状況にはありませんでした。

問い合わせ事案

 
 やたべ事務所にも民泊申請をしたいという方から相談がありました。大田区でも他の地域でも構わないので民泊事業をしたいと言うのです。大田区の民泊が難しければ旅館業法の中の「簡易宿所」申請でも構わないというのです。
 
 当初、議論されていた民泊を旅館業法の「簡易宿所」に組み込み、要件緩和により参入しやすくしようという政府の計画も知っていました。
 
 不動産業者なのかな?と考えてみても、話しの節々でちょっと怪しい臭いが・・・
 
 相談者の質問には「寮として使用してもよいのか?」とか「警察への申請がいるのか?」というような的外れの質問もありました。「実は将来旅館業もしたいのだが、取りあえず簡易宿所の許可を取りたいんです。」とのこと。現在は許可基準が厳しいため、民泊の制度が進み、簡易宿所も取りやすくなったら是非取りたいとのこと。
 
 ここで長年の経験から来る直感がピーンときました!無店舗型デリヘルとセットで運営し、ラブホ代わりに活用するつもりかな?と尋ねてみるとズバリ的中!
 
 空き家対策、観光地政策、文化交流、地方創生なんてなんのその(笑)。新しいツールができたと大乗り気でいろいろと訊いてきました。フーゾク業者の情報収集とアイデアとバイタリティーには見習うべきものがあります。恐るべし!
 
 民泊については「安く泊まりたい人」と「空き部屋を貸したい人」、それにそれを「仲介する人」「運営管理をお手伝いする人」の皆さんがwin-winの関係のような制度として話しが盛り上がっていますが、現に使用されているマンションなどからの苦情も出ており、問題の整理が検討されています。
 
 ゼロ金利のこの時代に、ワンルームを一人一室1万円前後で民泊として貸し出しできたら、月額5~8万円で賃貸に出すより収入は俄然多くなります。投資物件で購入した人が民泊での運用を考えるのも判らなくはありません。
 
 しかし、利益と効率ばかり考えていると、住居としてのアパートやマンションの賃料が高騰し、地方から進学してくる学生さんの住居費や、一般の住居環境にも大きな歪みが出てくることも当然予測できます。
 
 「隣は何する人ぞ?」都会の匿名性を良しとしてきましたが、あなたの隣家がデリヘルの部屋として使われたり、テロリストのアジトになったり・・・そんな怖~い現実が起こらないとも限りません。
 
 新宿区でもバランスの取れたルール作りを期待したいところです。それでは、また!
 

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