風営紳士録2.0

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風俗営業でコロナ対策を偽ると処罰されるか

風俗営業の宣伝で誤認

 

皆さん、こんにちは!

東京都新宿区の風俗営業専門やたべ行政書士事務所です。

本日、このようなニュースが目に留まりました。

【大阪の風俗店「従業員全員がコロナ陰性」とウソ宣伝】

記事によると、客集めのため「ウイルス検査の結果、全従業員に陰性診断がおり、安全が確認されました」と偽って宣伝した疑いで、風俗営業事業者が不正競争防止法違反で摘発されたとのことです。

実際には店の入り口に消毒液を置いていただけだったそうですが、お客さんの不安心理を逆手にとって誤認させた疑いを持たれている訳です。

もっとも、現在コロナ対策を謳った宣伝は、風俗営業に限らずありとあらゆるサービス業で展開されていると思います。

では、今回のように偽りや行き過ぎた表現によって法律違反として処罰されてしまう境界・ボーダーは何でしょうか。

そもそも、風俗営業で不正競争防止法違反が問われること自体が異例なので、個人的に報道に少し違和感を覚えた次第です。

「コロナ対策は万全です!」と宣伝しておきながら、事実と異なっていた場合、他の風俗営業店も処罰されてしまうのでしょうか?

 

 

アイコスの広告で誤認

 

実は、もう一つ目に留まったニュースがありました。

【アイコス広告 課徴金5億円超】

こちらは以前も本ブログで紹介しましたが、加熱式たばこアイコスの広告で期間限定価格と消費者に誤認を与えたとして景品表示法違反による5億円超の課徴金命令が下されたというニュースです。

先の風俗営業事業者は不正競争防止法、こちらのアイコスは景品表示法と法律は異なりますが、どちらも利用者・消費者に対して「誤認」を生じさせたことが問題となっています。

ちなみに、今回のアイコスでの課徴金は景品表示法での課徴金制度導入以来、過去最高額であるとのことです。

 

 

莫大な課徴金の背景

 

どちらも「誤認」させたと言えばそうかもしれませんが、この手の期間限定価格安心・安全対策はかなり振れ幅の大きい、緩い許容範囲が設定されているように思います。

風俗営業といえばパネマジ、今風ならSNSでの盛り「誤認」してキャストを指名してしまうことだってあるでしょうし、季節イベントが通年開催されていてキャンペーン価格が定価になっている場合だって少なくありません。

有名どころのキャストのバースデーといえば、1週間くらいぶっ通しで行われ、期間中いつ行っても誕生日祝いとなります。

もちろん、風俗営業もアイコスも処罰されるだけの落ち度があったと思いますが、今回の摘発の裏には、実は「誤認」させたことだけではない、総合的な判断が働いているように思えます。

まず、アイコスについてですが、問題となった違反行為は2015年9月~2018年5月までに展開された「会員登録キャンペーン」です。

ご存知の通り、アイコスはデバイスと呼ばれる加熱装置自体が高額であるため、一度、デバイスを購入した消費者は競合他社にスイッチしづらくなるという移動障壁の役割を果たしていました。

従って、販売メーカーであるフィリップモリスとしてもかなり熱を入れてデバイス販売を通じた消費者の囲い込みを行っていました。

企業内での喫煙環境整備・マナー研修の体裁を取りながら、実質は新規客の囲い込みのためのデバイス即売会を開催していました。

やたべ行政書士事務所の所在する新宿エリアでの活動も盛んに行われていて、一時は街頭を歩く不特定多数人に対し片っ端から声をかけまくる強引な活動にまで至り、地域住民からクレームも発生していました。

その後、良識ある企業担当者の働きかけで新宿での行き過ぎた活動は自制されるようになりましたが、他にも非喫煙者経由での紹介など「会員登録キャンペーン」として囲い込みを強引に進めていたので、新宿エリアと同様に行き過ぎた活動からクレームに発展する事態があったのではないでしょうか。

元来、訴訟を多く抱えている世界的たばこ会社であれば、社内にもトラブルを未然に防ぐ予防法務のためのインハウスロイヤーを抱えています。

フィリップモリスも同様で、アイコスのキャンペーン期間中であれば、第二東京弁護士会所属の弁護士がリスク管理の責任者として在籍していたはずなので、「会員登録キャンペーン」の問題に関しても、消費者庁から行政処分が下される以前から何らかの兆候を把握していたはずです。

少なくとも、一歩現場に出て自分の目で見れば、コンビニでどのような宣伝がなされ、社員がどのようにコミュニケーションをしているか、弁護士でなくとも誰でも簡単に確認できたはずです。

既に消費者庁の指摘から時間もかなり経っているので、責任者はもう転職してしまっているかも知れませんが、ここまでの莫大な課徴金を課されると会社に対する損害も無視できないレベルです。

フィリップモリスは多国籍企業の子会社なので非上場ですが、上場していれば株主代表訴訟を起こされてもおかしくないレベルでしょう。

リスク管理の専門家が企業に居ながら、社会的責任を伴った企業としての取り組みが認められなかったので、消費者庁としても総合的に判断して過去最大の課徴金納付命令を下したのではないかと私は思います。

ちなみに、たばこ会社は酒メーカーと共に「夜の街」関連の支援産業でもあります。

たばこ・酒産業と風俗営業産業は非常に近しい関係にあり、今回のコロナショックでも飲食店などに向けて、いち早く支援を行っていました。

【さきめし SUNTRY】

 

 

風俗営業摘発の背景

 

次に、風俗営業事業者の方ですが、先に紹介したMBSとは別のNHKでは以下の様に報道されていました。

「うその宣伝をして客を集めていたとして、【再逮捕】されました。」

実は、不正競争防止法違反に先行し、禁止地域営業の風営法違反で既に摘発されていたのです。

本ブログの読者であれば既にご承知の通り、風営法違反の中でもっとも言い逃れ出来ず、摘発の可能性が高い違反行為が「禁止地域での営業」です。

これはまず言い訳が通用しません。

「従業員名簿不備」「接待行為違反」「照度違反」スピード違反だとすると、「禁止地域での営業」無免許運転です。

そもそもの違反行為に対する処罰の必要性が大きく異なるという訳です。

既にこの重大違反を犯していたのが先に紹介した風俗営業事業者でした。いや、正確に言うと「許可・届出」を得ていないので風俗営業事業者でもないタダのモグリ業者ですね。

このような法令を順守する気がない業者に対しては、警察としても厳しく取締りにあたります。

ましてや、時節柄「コロナ対策」として従業員の検査を行って陰性確認済みと偽っていたとなると、これはもう処罰感情として強く働くのも当然でしょう。

もっとも、「コロナ対策」としては手洗いするだけでも対策ですから、現状では風俗営業をはじめ飲食・娯楽サービス業の店舗が「コロナ対策は万全です!」と宣伝しておきながら、事実と異なって利用者に誤認を生じさせたとしても、それだけで直ぐに処罰の対象となることは現実問題としてなさそうです。

もちろん、「PCR検査で陰性確認済み」などのように客観的に事実確認できることで、サービス品質を大きく左右するような場合は問題ですが、少なくとも現実問題として立件される可能性を考えると風営法違反の方が遥かに重要だと思います。

もっとも、お客さん以上に従業員、キャストは本当の実情を知っている訳ですから、彼らに対して安心・安全な労働環境を提供する為にも「コロナ対策」に取り組むことは重要になってきます。

ちなみに、本日6/24の東京での新規感染者数は55人となりました。

言うなれば、これまでの「夜の街」関係者に加え、「昼の街」関係者でも職場内クラスター感染が確認され始めているといったところでしょうか。

とはいえ、風俗営業の中でも接待飲食店・ナイトクラブ・ライブハウスは、従来のスタイルでは濃厚接触による飛沫感染の危険性が高い訳ですから、宣伝目的ではなく本気の「コロナ対策」に取り組んでもらいたいと思います。

今のような状況下でもお店に来てくれるお客さんの安全のため、現場に立ってくれる従業員・キャストの安全のため、それぞれが出来る範囲で取り組んでいきましょう。

やたべ行政書士事務所は風俗営業に携わる皆さんをいつでも応援しています!

それでは、また!

 

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