風営紳士録2.0

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風俗営業事業者が6月以降に気をつけること

本物の自粛警察出動か

 

皆さん、こんにちは!

東京都新宿区の風俗営業専門やたべ行政書士事務所です。

5/25に緊急事態宣言が解除され、東京都での休業要請もステップ0からステップ1へと緩和され、来週6/1からはステップ2へと進むことになりました。

とはいえ、夜の街における「接待を伴う」遊興施設の多くは休業要請解除の目途が立っていません。

そのような中、5/29に実施された東京都知事の会見で、夜の街における「接待を伴う」遊興施設に対する今後の対応が述べられていました。

営業を継続している風俗営業事業者だけでなく、東京都からの休業要請に従って営業を自粛している事業者にとっても今後の事業環境を考える上で関係すると思いますので紹介します。

日テレ記者:歓楽街で営業を継続しているお店に対策は講ずるのか?

小池知事:パチンコ時の巡回チームのようなものを組んで注意喚起していきたい

 

発言の一部だけを切り取っていますので、正確な文脈は動画でご確認ください。

質疑の主旨は「6/18の政府ガイドラインに従って対応を決定する」というものでした。

小池都知事の言及した巡回チームが実際に出動するとなると、パチンコ店巡回時で見られた一般職員による実施よりも夜の街での風俗営業向けチームとなると思います。

もっとも、風俗営業許可店での巡回となると、普通に考えれば所轄警察の生活安全課が中心となって行うことになると思えますが、どうなんでしょうか。

 

 

業態ごとの格付け

 

ここで改めて東京都からの休業要請が解除される予定日ごとに施設を列記しておきます。

【ステップ2:6/1以降はOK】
スポーツジム
サウナ
エステサロン
日焼けサロン
脱毛サロン
ネイルサロン
整体院
DVD/ビデオショップ
DVD/レンタル
ホテル
旅館

 

【ステップ3:6/19以降はOK】
パチンコ
マージャン
ゲームセンター
カラオケ
バー*
スナック*
パブ*
ダーツバー
ネットカフェ
漫画喫茶
のぞき
ストリップ
個室ビデオ
アダルトグッズショップ
*接待なしの場合のみ

 

【ステップ無し:6/19以降もNG】
ライブハウス
ダンスクラブ
高級クラブ
キャバクラ
ホストクラブ
ソープ
デリヘル

 

ステップ分けへの考察

 

【ステップ無し】として列挙された遊興施設は、6/18にまとめられる政府ガイドラインに従った対応が講じられるとのことです。

クラスター発生歴がある遊興施設に対しては、厳格な休業要請を求めるステップ格付けがされていますが、同じくクラスターを発生させたスポーツジムの場合はステップ2に格上げされ、来週6/1からの休業要請解除が認められました。

ステップが一段階変わるだけで営業可能日数が変わってきますので、その分経営に対するインパクトも大きく変わってきます。

特に【ステップ無し】とされた遊興施設に関しては、暗澹たる思いになっている事業者の方も少なくありません。

ここでステップを変えたもの、運命の分かれ道となった要因はなんでしょうか。

当然ながら、ウイルス感染・クラスター発生の危険度ということになるのでしょうが、遊興施設の区分としては「接待」を伴うか否かに収れんしてくるのだと思います。

【ステップ3】に格付けされたバー・スナック・パブにおいても、「接待を伴わない場合」として条件が付されています。

「接待を伴う」と飛沫感染の可能性が高まるからという理屈なのでしょうが、スナックと高級クラブでどこまで飛沫感染の違いがあるのでしょうか。

感染症の疫学的見地から分類格付けするのは合理的だと思いますが、風営法上の接待行為の有無で分類するのは非常にナンセンスな話です。

なぜならば、風営法の営業分類によれば、高級クラブは接待行為可能な「風俗営業1号許可」となり、スナックは接待行為不可能な「深夜酒類提供飲食店」となりますが、両者の飛沫感染の危険性には殆ど差はないと思われるからです。

もっと言ってしまえば、「風俗営業1号許可」の高級クラブはお客さんの隣に座って「接待」するので新しい生活様式に馴染むのに対し、「深夜酒類提供飲食店」であるスナックはカウンター越しでお客さんの正面に立って「接客」するので飛沫感染の可能性が高まるとも言えます。

「深夜酒類提供飲食店」では「接待」とならないよう必要以上のお客さんとの談笑は行わないこととされていますが、常識的に考えて一般的なラーメン屋や定食屋以上の会話が交わされることは誰もが分かりきっていることです。

 

 

風営法改正は必要か

 

夜の街でのクラスター封じ込めを目的として風営法を改正して強制的に営業停止すべきと主張する意見もあります。

夜の街での風俗営業をはじめ飲食・娯楽サービス業の遊興施設で感染しても、感染者が利用したことを認めたがらず、感染経路特定に支障をきたしていることが理由に挙げられています。

感染経路を特定させたいとの理由は分かりますが、そもそも風営法は飛沫感染の危険性など一切関係なく業態を区分けしているので、風営法の業態枠組みで飛沫感染の危険性を格付けすることの実効性は慎重に検討した方が良いと思います。

性風俗は除き、風俗営業の「接待」と一般的なサービス業の「接客」とで、飛沫感染の危険性は変わらない・あるいは危険性が逆転していることだってあるはずです。

ステップ2に格上げとなったスポーツジムが提供しているエアロビ・ダンス教室と、ダンスクラブやライブハウスの飛沫感染の危険性はどこまで違うのでしょうか。

このような差を生んだ最大の理由は、飛沫感染の危険性や感染経路特定の難易よりも、そもそも国民感情に受け入れられるかどうかだと思っています。

はっきり言うと、夜の街の風俗営業に対する休業要請は、今回のコロナ感染に関係なく支持される要素が社会にあったからだと思います。

スポーツジムは上場企業もあり、健康志向の国民感情に合致するなどステップ2に格上げを支持する要素が多くありました。

風俗営業など夜の街に対しては、休業要請などと甘いこと言ってないでどんどん厳しく取り締まっていけ!という国民感情が少なくないと思います。これはパチンコ・喫煙規制がコロナ禍での感染対策に乗じて必要以上に叫ばれているのと同じです。

このような国民感情を「世論」と言いますが、これに敏感に反応するのが政治家です。

小池知事もスポーツジムは緩和すべきと即座に判断したのでしょう。

そもそも、ロードマップを示すのに【ステップ無し】なんてことあり得るでしょうか。

もっとも困難に直面し、犠牲となっている業態だからこそ、しっかりとロードマップで位置づけすることが重要で、ロードマップのステップ自体から排除されたのでは当事者としてはやり切れない気持ちとなったはずです。

ただ、世論の多数派は風俗営業は犠牲になってもしっかりと封じ込めを行ってもらいたいというのが実情でしょう。

世論に支えられれば取り締まりが行われる素地が出来ますし、取り締まることで支持が増えるならそれをやるのが政治家です。

 

 

6月以降の留意点

 

6/18の政府ガイドラインに向け、事業者団体による自主ガイドラインも発表されています。

接待飲食店としては自民党・岸田政調会長にロビー活動を行った日本水商売協会もガイドラインを発表していました。

SankeiBizより

当初はイロモノとして取り上げられることが多い団体でした。

もっとも、政府の批判ばかりしていないで、このように他の産業・業界と同じように政府・専門家からの呼びかけに応えようとする姿勢が少しずつ世論を変えていくのではないでしょうか。

今の局面では声をあげること、国民の関心を集め世論を動かすことが重要です。

 

アフターコロナを考えた企業の取り組みとして、テレワークの継続があると思います。

企業経営者の本音としては、若干パフォーマンスが落ちたとしても、オフィス賃料を抑えられるなら、アフターコロナの名の下に固定費削減につながる在宅勤務体制に切り替えようとする計算が働いているはずです。

どさくさ紛れかも知れませんが(失礼)ピンチをチャンスに変えられるところはどんどん変えていくことが事業者に求められます。

環境変化に適応していくためにも、冒頭に述べた行政による夜の街での巡回対策として、営業継続中の風俗営業事業者の方は改めて法令違反がないよう厳重に確認してください。

某ニュースで分かったように、検察・警察行政は裁量の下で政策的に行われる訳ですから、新規感染者が微増傾向にあれば世論が追い風となって厳しい取り締まりが行われる可能性がないとも限りません。

休業要請に従わずに営業していて悪質な法令違反がバレれば間違いなく飛びます。

そんな小池知事からの巡回自粛予告がなされた日でしたが、6月を迎える気持ちよい青い空に6本の飛行機雲が流れていました。

医療従事者に感謝と敬意を示すための航空自衛隊ブルーインパルスの飛行ですが、コロナの試練に直面しながら前に進もうとする人全てに希望を与える飛行だったと思います。

暗いニュースばかりが流れていたタイムラインで久しぶりに明るく前向きな気持ちになれるニュースでした。

ステップなど示されなくともあきらめない!

STEP IT UP NOW!!

やたべ行政書士事務所は風俗営業に携わる皆さんをいつでも応援しています!

それでは、また!

 

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