風営紳士録2.0

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風営法の目的とグラドル撮影会中止の共通点

グラドル撮影会の中止

 

皆さん、こんにちは!

東京都新宿区の風俗営業専門やたべ行政書士事務所です。

埼玉県で開催予定だったグラビアアイドルの撮影会中止のニュースが話題です。

日本共産党の議員が中止決定したかのように炎上していますが、中止させる権限は議員にありません。

「(県営プール)貸し出し条件が守られていないこと」を理由にプール管理者側から中止の要請に、撮影会の主催者が従ったということです。

この点、主催者「はなまる撮影会」のツイートでは、使用条件を守っていなかったなどの中止に至った理由は言及されていません。

事実として「全面禁止の要請があり」中止になったとだけ説明してあるので、主催者側に落ち度がなかったようにも受け止められます。

真相は分かりませんが、主催者側としてもあくまで任意で中止を決断したのであれば、そもそも従わざる得なかった事情があったのではないでしょうか。

後出しジャンケンで要請したとの指摘もあるようですが、もし本当に実施したければ要請に従わない自由も主催者側にはあったはずです。

おそらく思いのほか、主催者側への同情票が集まっているため、要請に従わなくても良かったなと思っているのかもしれません。

県知事がコメントするほど世論の注目を集めたということは、日本共産党県議にとっても金星でしたが、同時にグラドルにとっても認知度を上げる好機として活かして貰いたいとも思います。

 

 

行政指導に応じる理由

 

今回のように行政側からある行為を行う又は行わないよう求めることを行政指導と言います。

行政目的を達成するため行政庁の意図する方向に導く行為ですが、法的拘束力はありません。

行政手続法では、行政指導に従わない場合の不利益取り扱い禁止を明記していますし、従う意思がない者への権利行使の妨げも禁じています。

ただ、現実問題として行政指導に一切従わないと不利益が生ずることは否定できません。

これは行政権の濫用として不当な処分が下されるというのではなく、事業者側に原因があって面倒なことになるという意味です。

つまり、貸し出し条件である施設の使用態様に虚偽があったとか、風営法に違反する時間外営業を行っていたなどの場合です。

自らの落ち度を自覚しているのであれば、行政指導段階で従っておいた方がその後の展開がマシになるので、多くは指導に従うのです。

撮影会主催も埼玉県内の公的施設だけでなく、その他の施設も一切利用できなくなるのでは下手に行政と戦うことは割に合いません。

高額な撮影料を返金しても中止すべきと主催者が判断する合理的な理由があったのだと推察します。

 

 

批判の矛先と情報操作

 

とは言え、今回の中止決定は県議会議員による働きかけの影響が大きかったことも想像に難くありません。

アンチ共産党の立場の中には、「いよいよ共産党が市民の敵であるといことがハッキリした事案である。」と断ずる意見もありました。

自分が忌み嫌うものへ脊髄反射的にクソリプするツイッターの功罪はさておき、要らぬ誤解を避けるため、行政行為の主体が議員ではないことは確認しておきましょう。

こちらの弁護士の先生が公平な立場で解説されていました。

県営プールの使用許可権者は、あくまで指定管理者である公園緑地協会であって、主催者もプール使用目的の説明を事前に行って予約したはずです。

直前での中止要請を批判するのであれば、指定管理者である公園緑地協会にこそ矛先が向けられるべきではないでしょうか。

 

 

風営法目的との共通点

 

今回の県議会議員による働きかけは、都市公園法を根拠に行われました。

ただ、繰り返しますが、具体的に都市公園法第1条を根拠に行政処分を行った訳ではありません。

法的義務を生じない行政指導において、何かしらの法令文言を根拠するときに重宝するのが各法令の目的条文です。

今回のようなイベントの中止要請と風営店舗への行政指導は酷似した構造を持っており、都市公園法・風営法共に第1条が根拠にされがちです。

都市公園法第1条
「この法律は、都市公園の設置及び管理に関する基準等を定めて、都市公園の健全な発達を図り、もつて公共の福祉の増進に資することを目的とする。」

風営法第1条
「この法律は、善良の風俗と清浄な風俗環境を保持し、及び少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止するため、風俗営業及び性風俗関連特殊営業等について、営業時間、営業区域等を制限し、及び年少者をこれらの営業所に立ち入らせること等を規制するとともに、風俗営業の健全化に資するため、その業務の適正化を促進する等の措置を講ずることを目的とする。」

どちらも「健全」という主観的な要素が条文の骨子になっています。

こうした主観的で多義的な解釈ができる文言と言うのは、行政指導の場面では重宝されます。

ましてや女子児童の水着撮影会となると、さすがに「健全」とは言えないとする感覚の方が世論一般にも近いのではないでしょうか。

少なくとも税金が使われる公的施設で開催するイベントとして疑問であり、実施するなら民間施設でやるべきでしょう。

利用料などの面で公的施設を利用するメリットはありますが、こうしてモニタリングされることに馴染まないイベントは割り切って開催する覚悟が必要です。

 

 

風俗営業と草の根運動

 

先日、取り上げた風営法違反のガールズバーなども、周辺住民からの苦情がきっかけになることが多いと説明しました。

参考【風営法違反になるガールズバー】

パチンコ出店の反対運動として、保全対象施設を利用した住民運動が展開された過去は有名です。

地域住民の声を拾い上げるのが地方議会議員であり、日本共産党と公明党はこうした草の根運動に長けています。

今回の県議会議員の動きが殊更に糾弾されるのであれば、全国でこれまでに行われた風俗営業排除の働きかけも再検証して貰いたいところです。

 

 

追記・中止要請の撤回

 
6月11日深夜、埼玉県大野知事のツイッターが更新され、一律の中止要請が撤回されました。
併せて、埼玉県らの決定が特定の政治団体等の意見に左右されたものではないことも付言されました。

この週末でのSNSの盛り上がりが行政を動かしたと言えるでしょう。

どうせなら、全ての撮影会の中止要請を撤回してあげて、今後はルールを守ることを条件に認めてあげた方が禍根が残らないようにも思いますが。

大野知事と対照的に、一切日和らずにストロングスタイルを貫く孤高のインフルエンサーたぬかなさんのコメントも最後に紹介しておきます。

やたべ行政書士事務所は風俗営業に携わる皆さんをいつでも応援しています!

それでは、また!

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