行政書士が廃業する最大の理由
合格から登録手続きへ
皆さん、こんにちは!
東京都新宿区の風俗営業専門やたべ行政書士事務所です。
行政書士試験の合格証が届き始めたようです。
これから更に上位資格を目指す方もいれば、行政書士として開業を目指す方もいると思います。
今回は行政書士をはじめとした士業開業を目指す方に向けたメッセージです。
行政書士は単位会と呼ばれる所属団体に加入することが強制されます。
入会金のほかに毎月の会費(東京であれば約7千円)を求められますが、会員登録後は単位会が提供するサービスも享受できるようになります。
どうせ会費を支払わなければならないのであれば、是非、単位会が提供するサービスや情報をフル活用してください。
ちなみに、私やたべも東京都行政書士会の初級業務研修講師として風俗営業や旅館業を担当させていただいています。
新人の皆さんにとって、これから単位会に対して行う入会手続きこそが、行政書士としての申請業務の第一歩でもあります。
正式な登録までの時間がかかりますから、ご自身のスケジュールに合わせて計画的に手続きを済ませてください。
単位会とは別に、民間主催の開業セミナー参加を検討されている方もいると思います。
悪く言うと、ひよこ狩り・ひよこ喰いセミナーですが、全てが悪いものとは限りません。
自分にとって必要と思ったものは自己投資だと考え、積極的に参加するのは良いと思います。
ただ、数万円以上の高額セミナーはしっかりと見極めてください。
開業から廃業手続きへ
ここからは偏見混じりですが、それでも開業を考える新人の方には是非とも参考にしてもらいたいことを書きます。
行政書士登録すると送られる月刊会報誌の最終ページには、いつも相当数の退会廃業者の名前が載ります。
当初はやる気に満ち溢れ、開業セミナーや積極的なSNS発信を行っている新人の方が意外と早く廃業しているように感じます。
もちろん、環境変化や自分の適性の見極めなどで、キャリアチェンジするのは悪いことではありません。
ただ、開業当初の期待値が高すぎると、行政書士の業務特性を知るにつれ、やる気がなくなってしまう傾向があるように思います。
独立して行政書士専業に絞って挑戦したけど、家族を養ったり、生活を維持するだけの収益をあげられなかったために廃業するというのは、正直まだ分かります。
でも、副業もしくは本業として行政書士を行い、他での収益も確保しているにも関わらず廃業される方もいます。
例えば、アメブロの公式ジャンルで上位に入っているファッションがオシャレな予備校人気講師の方。
この方も東京会で登録し、実務従事されていましたが、数年前に廃業されています。
マンパワー的にも、自分の適性としても受験指導に集中した方が良いと考えたのでしょう。
ただ、実務に従事している講師の方が、受験生へのモチベーションアップなどでの付加価値は高まったはずです。
また、ホームページ制作サービスなどと相乗効果をもたせ、スタートアップ向けコンサルティングを行い、ビジネス誌でも何度か紹介されていた方も廃業しました。
さらにこれは異色でしょうが、ナイトタイムエコノミー振興の旗手として2015年の風営法改正運動にコミットしていた弁護士の方も、弁護士兼業で行政書士登録しましたが、直ぐに廃業しました。
廃業する最大の理由
このように、少なくない行政書士が毎月廃業していく最大の理由ってなんだと思います?
正直なところ、毎月の会費が負担なんだと思います。
もちろん、これは邪推ですが、更新制度のない行政書士をわざわざ廃業させる理由なんて他にあるのでしょうか。
会社員時代と違って、独立開業すると直ぐに意識が向くのが固定費の負担です。
有料セミナーなどは、変動費なので懐事情を見ながら調整できますが、固定費はそうはいきません。
そもそも、行政書士事務所なんて、自宅開業してしまえば事務所の固定費なんて限られています。
せっかく取った資格なんだから、行政書士として名乗れるよう登録維持させておきたいと考えるのが普通の感覚です。
経営者感覚ゆえの廃業
月額7千円だろうが、7万円だろうが、それに見合うリターンが見込めるなら必要な費用負担をいとわないのが経営者です。
法定業務を行わなくとも、士業であることが付加価値となるようなビジネスをされている方なら尚更でしょう。
ちなみに、事業再構築補助金をはじめ、アベノミクス以降での補助金バブルでもこの傾向が見て取れます。
それにも関わらず、廃業するのは月額会費が負担となった、すなわち月額7,000円 / 年間84,000円の損益分岐点を超える収益構造を行政書士事業で確立できなかったから、ということだと思います。
あくまで行政書士事業として負担できなかったというだけで、他の事業では収入はあったとしても、赤字事業である行政書士からは撤退するという判断は経営者として当然でしょう。
そう考えると、開業当初にまずはやらなければならないのは、これから確実に発生する費用を洗い出し、行政書士事業で完結できるよう損益分岐点を超える収益構造を考えることです。
個人的には、安定的な需要が見込める許認可業務で確立できるのが理想だと思います。
逆に成年後見や法教育などの民事法務は、社会貢献的性格が強いため固定費回収の収益源としては向いていないと思います。
また、会費という固定費の範囲内で享受できる情報・サービス(単位会の研修など)を最大限活用することも良いでしょう。
セミナー交流会は後回し
売上が立つようになってから自己投資としてのセミナーや交流会に参加しても決して遅くありません。
開業を目指す皆さんがこれから必ず目にするコピーがあります。
「金儲けでなく仲間と出会うためのセミナー」
「本気の人以外参加しないで下さいセミナー」
「実務を学ぶ機会がない士業向けのセミナー」
もちろん、これらのセミナーは100%収益活動としてやっています。
粗悪なセミナーは講師のレベルが低く、意味のないワークや受講生の自主セミナー発表などで、やってる感だけ出し、何の役にも立たないものもあります。
こうした粗悪セミナーに限って、無料セミナーからの申し込みクロージングに命を懸けていますから、意外なほど当初の印象は良いものです。
さっきまで30万円で紹介していたのに、「今日、このセミナーに参加してくれた皆さんだけ特別価格の15万円で紹介します!」とか、ありえないディスカウントが始まったらイエローシグナルです。
行政書士として最初の仕事が単位会への登録申請だとすれば、次の仕事はこうした仕入れや投資判断の見極めです。
製造業と違い、目には見えませんが、良質な仕入れをしなければサービス品質が劣化するのは士業も同じです。
自分自身でしっかりと見極めて、独立への第一歩を進めてください!
やたべ行政書士事務所は風俗営業に携わる皆さんをいつでも応援しています!
それでは、また!
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