風営紳士録2.0

ナイトタイムエコノミーから警察の取締りや法令改正情報まで、風俗営業の最新情報を発信中です!

手に職付ければ安定して稼げるのは本当か?

現象ではなく本質を捉える

 

皆さん、こんにちは!

東京都新宿区の風俗営業専門やたべ行政書士事務所です。

こちらは、職人である大工が半減していることを報じた日経電子版の記事です。

こうしたニュースを目にすると、若者よ、職人も良いもんだぞ!などと言いたくなります。

ガード下の赤提灯で学生相手に説教するおじさんならこんなところでしょう。

「意味不明な大学/学部に行ったって時間とお金の浪費だろ」
「手に職付けりゃ、普通に安定して稼げるんだぜ」

よしシェア拡散じゃとなると、「まず記事を読んでみませんか?」とアラートが出ます。

ヘッドラインに脊髄反射してしまうツイ廃向けサービスでしょうか(苦笑)。

でも、冷静に記事本文を読んでみると、なるほどそりゃ若者でなくても敬遠するよなと思ってしまいます。

「大工の平均年収は、雇用労働者364万円/一人親方424万円」
「社会保険未加入が多く、長時間労働も目立つ」
「日本の人口減により、住宅新築需要の漸減」

電気工や鉄筋工よりも平均年収も低く、高齢化も進んでいる大工を目指す若者が減っている現象。

これは当然の現象でしょうね。

若者だって馬鹿じゃありません。

時代の変化の中で、どの世界に身を置くべきか考えているはずです。

実際に「手に職付けて安定して稼いでる」おじさんの実体験なら傾聴に値します。

でも、大抵の場合は職人を経験したことがないおじさんが語っていることが殆どです。

自分で経験したことがないことを耳学問・空想で語っているのです。

転職や独立しようとする部下に「やめておけ!上手くいく訳ない」と言う転職・独立経験がない上司と同じです。

 

 

手に職付けることと稼ぐこと

 

「三把刀(さんばとう)」という言葉をご存知でしょうか。

料理人が使用する包丁、理髪師が使用するハサミ・剃刀、仕立て屋のハサミ。

これら三種の刀を使える者は、いかなる国や土地、どんな時代でも仕事に困らないという中国の教えです。

「手に職付ければ」食いはぐれることがないことを象徴する職業技術とされています。

ただ、これだけで安定して稼げる訳ではないのは今も昔も変わりません。

何より、対価を支払ってくれるお客さんが存在しなけければ稼げません。

お客さんの需要があるということは競合も居ますから、その中で選ばれなければなりません。

お金を支払うだけの価値を認めさせる必要があるということです。

「手に職付けること」と「安定して稼ぐ」ことはイコールではないのです。

需要が縮小している業界を若者が敬遠するのは、当然であり、賢明な選択です。

成熟市場では競争が激しく、衰退市場では付加価値(高価格)が望めないからです。

 

 

実社会で意味をもつもの

 

それでも、大工をはじめ「手に職付けて安定して稼ぐ」職人を目指す志高い若者もいるでしょう。

我ら行政書士界には、建設業許可申請を基幹業務としている同業者がたくさんいます。

「安定して稼ぐ」には、「軽微な建設工事」だけでなく建設業許可を取っていくことが必要でしょう。

許可要件の一つに「専任技術者の設置(リンク先参照)」がありますが、これが認められる実務期間は高卒と大卒で異なります。

外国人の在留許可などでは如実ですが、実社会では「大学で学位を修めたこと」は必ず意味をもちます。

「意味不明な大学/学部」などと他人を蔑んでいる人は、他ならぬ自分自身が学歴に過度な幻想を抱いていたのが裏切られ、「意味不明」な現状に甘んじているのが受け入れられていないだけなのだと思います。

 

 

時代の変化に適応する

 

時代の変化によって手に職付けた技術が陳腐化するのは、なにも大工職人だけではありません。

現在、話題の大規模言語モデルの人工知能ChatGPT。

このChatGPTを開発した研究機関OpenAIの研究者が先日発表した論文では、労働市場への影響が述べられていました(日本語版サマリーはリンク先参照)

経験・トレーニングが必要で、教育水準が高い職業ほど影響が大きいそうです。

具体的には、プログラミングとライティング(執筆)だそうです。

ChatGPTを使って、自然言語でプログラミング作成しているデモを目にしたことがある人もいるのではないでしょうか。

落合陽一さんによれば、プログラム作成のコーディングは労働単価が100分の1まで低下する可能性があるそうです。

300万円で受託していたプログラム開発が3万円となり、配管工職人の一つの作業と同じ価格帯になるとの予測も紹介していました。

要するに、どういう「職」を選択するかが問題なのです。

赤提灯のおじさんのアドバイスを真に受けて、コモディティ化される職業技術を身につけても、それこそ「意味不明な職業人」となってしまいます。

また、こうした時代の変化、イノベーションに抗うことも得策ではありません。

ラッダイト運動というと遠すぎますが、ついこの間まで「読み・書き・そろばん」と言われていたのをご存知の若い方もいると思います。

 

 

結局、何すればいいのか?

 

安定した需要が見込まれること
市場が成長し、競合との競争が過度でないこと
テクノロジーにより陳腐化されないこと

こうした条件を満たした職業技術で「手に職付ければ」生き残れるのでしょうか?

もちろん、そんな都合よい仕事に巡り合えるとは限りませんよね(笑)

ただ、私がいつも感じることは自分の内なる声に従え、ということです。

別な言い方をすれば、「好きを仕事にしよう」です。

参考【やたべ流専門の選び方!好きを仕事にしよう】

自分の好きなことは、お客さんが何を求め、幾らくらいの対価を支払うかといった顧客理解が深まるはずです。

得意や才能だけだと、ChatGPTのような破壊的イノベーションで覆る可能性があります。

自分が好きなことというのは内面から出てきているので、外的影響を受けづらいものです。

好きなことをベースに、時代の変化やテクノロジーを味方につけるテック大工なんて素敵じゃないですか。

加えて、いろいろな意見に触れながらも、自分の頭で考える批判的思考は大切ですね。

ツイ廃おじさんの説教プレーを参考に、自分の頭で考え、未来を切り拓いていきましょう!

やたべ行政書士事務所は風俗営業に携わる皆さんをいつでも応援しています!

それでは、また!

関連記事一覧

  1. この記事へのコメントはありません。

CAPTCHA