風営紳士録2.0

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風俗営業許可店に携わる外国人

外国人の就労

 

戦後 73 年。「鬼畜米英」なんて言っていた時代は、遠い過去。世界中、ほとんど至る所の国々から多くの外国人が日本にやってきて、さまざまな仕事に就いています。

 

パチンコ店や、マージャン店の経営者には在日韓国人・台湾人の人たちが多く、すでに2世の時代ではなく、3世、4世の時代になっています。

 

その人たちは当然、永住の許可を取っていたり、帰化によって日本国籍を取得して日本で生活していますが、そんな在日の人ばかりでなく、現在は中国、タイ、フィリピンなどのアジア諸国やイラン、パキスタン、ブラジル、ペルー、果てはアフリカの諸国からも日本にやってきて、あらゆる職業に就いています。

 

皆さんがご存じのお相撲さんやサッカー選手、コックさんやタレント、通訳といった業種ばかりでなく、風俗営業の分野にも、あらゆる国の人が進出して働いています。

 

私の事務所にも、ガーナ人からのバー許可申請やパキスタン人の帰化申請、イラン人の自動車解体業申請、ベラルーシの女性との結婚……と、その国はどこにあるの?――というような国々の人たちからの各種の依頼が持ち込まれます。

 

(ちなみに、ガーナは西アフリカ、ベラルーシは旧ソ連圏の国です)

 

風俗営業の許可でいえば、特にタレントのショーを見せ物にするフィリピンクラブの相談が多くありました。

 

外国人歌手やダンサーは、「興業」(エンターテイナー)という就労ビザで在留資格を取得した上でショーに出演するのですが、客席についてお酌をしたり、お客と一緒にカラオケを歌ったりするのは、入管法上の違反になります。

 

あくまでも「興業」の資格で仕事をする場合、本来のタレントとしての歌手やダンサーとしてショーに出演することしか認められません。

 

フィリピンクラブが大好きな男性諸氏にとっては、隣に座らせて話をしたり、お酌をしてもらうことが違反でダメだとなったら、さぞかし味気ないと思われるでしょう。

 

しかし、法律では、歌手やダンサーの接客行為は認められません。以前は、警察も入管も多忙な仕事の中で厳格な運用はせず、おおめにみていたような節もあるのですが、ここ数年は取り締まりが厳しく、芸能プロダクションやクラブの廃業が相次ぎました。

 

エンターテイメントと外国人

 

東京入国管理局は、千代田区大手町と北区西が丘にあった庁舎を平成 15 年2月、現在の港区港南に移転しました。

 

移転後間もない頃、私も入管への申請業務があり、申請の順番を待っていると、「Entertainer(エンターテイナー)」の列に、有名外国人格闘家が並んだではありませんか!通訳かマネージャーとおぼしき女性と連れ立っての申請のようでした。

 

周りにいた韓国や中国の若い子たちは、予想しなかった有名人の出現に大喜びし、携帯電話のレンズを向けて、パチリ。そして、私の隣にいた一人が、「彼って、スポーツ選手じゃなくてエンターテイナーなんだ……」とひとこと。

 

確かに、テレビの芸能番組に引っ張りだこだったその頃、その外国人選手は格闘家というよりはタレントのようで「、Entertainer=芸能人」と、その人は変に納得したようでした。

 

しかし、入国管理局での外国人の在留資格「Entertainer」はもともと「興業」を意味するのであって、歌手やダンサー、芸人ばかりでなく、スポーツ選手やサーカスの動物飼育係員なども、この「エンターテイナー=興業」の在留資格を取得して日本で活動するのです。

 

繁華街に多くみられる「フィリピンクラブ」のような外国人のショーを開くクラブでは、タレントプロダクションが入国管理局で芸能人の招聘(しょうへい)手続きをし、許可を受けてから、クラブへの出演をさせることになります。

 

新規のクラブでは当然、警察の風俗営業許可も必要になり、入管、警察それぞれの基準を満たさないと、営業が開始できません。

 

基準を満たしてクラブ出演が決定すると、外国人たちは「興業」の在留資格で歌やダンスのショーに出演することになります。この在留資格は、歌手やダンサーとしての活動だけができるもので、風俗営業の接客行為は絶対にできません。

 

お客さんの隣に座ってお酌をしたり、一緒にカラオケを歌ったりすると、即、入管法(出入国管理及び難民認定法)違反になってしまいます。

 

許可をもらった在留資格と違った活動をすると、「資格外活動」ということになり、退去強制の対象になります。そして、雇用した店はもちろん、招聘したプロダクションまで罰則の対象になってしまいます。

 

 風営法と入管法

 

外国人のショーを開くバーやクラブは、『風営法』の許可申請手続をしただけではタレントを呼ぶことができません。入国管理局へ、タレント招聘(しょうへい)のための申請をしなくてはならないのです。

 

警察が窓口となる風俗営業の許可申請でも、普通のバーやクラブの申請とは違った設備基準が設けられており、ステージの広さや、タレントの控え室の広さまで基準が決められています。

 

その控え室は、最低9平方メートル以上なければならず、9平方メートルではタレントを5人までしか呼べません。6人以上のタレントを呼ぼうとすると、控え室を1人につき 1.6 平方メートル以上広げなければなりません。

 

そして、その控え室は、原則的にステージから直接出入りできなければならないことになっています。それは、タレントが客室で接客業務に就いてはいけないという基準からくるものです。

 

一方、入管法の基準では、タレントに支払う給料は月額 20 万円以上となっています。そして、その 20 万円の給料には 20%の源泉所得税、4万円が課税されます。短期間の外国人労働者には2割りという多額な納税が義務付けられているわけです。

 

1カ所 10 人で 10 カ所のクラブにタレントを派遣している芸能プロダクションは、最低1人4万円×10 人×10 カ所で、400 万円の源泉税の納付義務が生じてきます。

 

その源泉税をきちんと納付していないと、次からのタレント招聘が入管から許可されなくなり、プロダクションとしての機能が停止することになります。

 

実際にタレントに支払われているギャラは、月額 500 ドルくらいと聞くことがありますから、法律の基準と現実との間に大きなギャップがあることになります。

 

派遣元の外国プロモーターや日本のプロダクションの手数料、日本に来てからの住まいの提供や食費の負担など、多くの経費がかかることは事実で、それが搾取に当たるのか、入管法の基準にそぐわないのか、それぞれの立場によって捉え方は異なるわけで、考えさせられることが多くあります。

 

入管法や『風営法』での基準や規則は、国際関係や人権保護という観点に立った、「人身売買や売春の強要などが起こらないように」という配慮からくるものです。

 

それにしても、20%の源泉所得税というのは、とても大きいですね。

 

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