風営紳士録2.0

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風俗営業許可申請の実査における暗黙知

風営許可の最大の関門

 

こんにちは
新宿の風俗営業専門やたべ行政書士事務所です

新しくバーやクラブ
麻雀店等の開業をしようとするとき
所轄警察署を経由して都道府県公安委員会へ
風俗営業許可の申請をしなくてはなりません

風俗営業許可の申請をすると
申請店舗の実地検査が避けて通れません

今回は申請の山である実地検査(実査)について
私のかつての体験談も含めてご紹介します

 

 

風営許可での実査内容

 

風俗営業許可の実地検査では
店舗構造・設備に関して
以下のような観点で検査されます

  1. 提出された申請図面のような店舗の配置になっているか?
  2. 衝立などによる店内の見通しが悪くなっていないか?
  3. 照明による店内の明るさが基準以上か?

とある県で申請した案件の実査時のことです
そのお店は一階路面店で
健康麻雀を行おうとしているお店でした

ガラス面には健康麻雀の店名などを
カッティングシートで貼る予定でしたが
警察の実査時にはまだ貼られていない状態でした

実査当日、生活安全課担当者から
「窓はこの状態で営業するの?」と確認です

工事の遅れで2~3日中に
店名などのシートを張りますと説明すると
「それではシートが張ってから来ます」とのこと
「店内の照度が正しく測れない」
「営業のできる状態になっていない」
「外部から店内が見えてはいけない」

これらが理由でした

せっかく実査に来て頂いたので
配置や寸法、照明器具の配置など
他の部分を検査してもらい
他は全て問題ありませんでしたが
どうしても譲れないのが照度の測定でした

風俗営業許可の遊技関係の申請では
店の照度10ルクス以下は不可となります

10ルクスの明るさというと
新聞が読める程度のかなり暗い状態です

照明などを設置して明るくしている麻雀店では
まず問題になることはありません

試しに店内の照度を測ってもらうと240ルクス
基準の24倍もの明るさがありました

窓ガラスにシートが貼られたとしても
突然10ルクスを下回るはずもなく・・・

それでもカッティングシートが貼られてから
再度照度検査を行うこととなってしまいました

 

 

警察による実査の実態

 

マニュアル通りの対応ではなく
もっと臨機応変に対応してくれないのか!?

素人であればそう叫びたいところでしょう
でもこれこそが風俗営業許可申請の実査で
もっともありがちなケースなのです

実査といっても行うのは機械ではなく人間です
照度について神経質になる担当もいれば
照度についてはかなり緩く判断する担当もいます

この時の風俗営業許可申請の実査は
リーダー格の担当官(たぶん係長でしょう)が

「営業する状態でなければなりません」
「そもそも検査は営業のできる状態
 即ちお店が出来上がっていなければだめです」

と言って譲りませんでした

担当官がこのような言い方をし始めると
もう実査をクリアすることはほぼ不可能です
仕方なく次回の実査までお預けとなりました

 

 

地域による実査の違い

 

当時、私も麻雀店は相当数こなしていたので
実査を通せないのは本意ではありませんでした

また一発で通せないとしても
補正(後からの修正)で対応させるなど
専門家として報酬をいただく以上
素人が本人申請するより確度が高くなければ
存在する意味がありません

ただ、この時は普段の経験値とは異なる
管轄警察の事情が作用していました

この申請時には警察担当者が4人参加しました

東京都内での風俗営業許可申請の実査で
4人も来るのはかなりな問題があるお店か
担当が暇で仕事がなかったり
風俗営業申請が稀にしかない管轄地域で
研修がてら参加するケースだけです

申請が稀にしかないということは
風営法の許可基準を理解していない場合や
実査は珍しいから経験の為にも
みんなで行こうということにもなるのです

 

 

風営許可申請の暗黙知

 

皆さんのお仕事でもそうでしょうが
OJT研修を兼ねて部下や後輩に手本を示すとき
あるいは上司の目がある現場では
柔軟な対応やマニュアルから外れた判断は
誰だってやりづらいものです

勝手な判断を行い
裁量を逸脱していると評価されかねません

またリーダーの係長が主張すれば
それはその場の雰囲気で逆らえない
絶対の判断になってしまうものです

こういった属人的な情報や
その場での担当官の空気感は
何度も店舗実地検査を経験していないと
なかなか知りえないものです

このような申請の現場を経験しないと
知りえないような情報や知識を
暗黙知(あんもくち)と呼びます

職人の世界などはまさに暗黙知の世界です
マニュアルなどで手っ取り早く学ぼうとしても
師匠から技を盗むように学ぶことでしか
体得できない技術が大切とされています

はっきり言ってインターネット全盛のこの時代に
申請に必要な情報の入手自体は難しくありません

電子申請で自動化が要望されている行政だって
申請窓口に行って訊けば親切に教えてくれます

ただ、今回ご紹介したような
管轄地域による特殊事情や担当者の属人的情報は
インターネットの公開情報では把握しきれません

また、実査時に間に合わせなければことと
間に合わなくても補正で対応可能なこと
管轄警察署のクセ、浄化担当の性格などは
情報として可視化される類のものではなく
我々、専門家が蓄積している暗黙知です

時間と予算が無限にあるならば
専門家などに頼らずに
じっくり準備して営業状態になってから
申請することがベストです

ただ、そうではないからこそ
専門家を使う意味があると思います

今回ご紹介したような自らの経験値こそが
我々、専門家にとっての財産です

風俗営業許可申請について何かあれば
是非、専門家の暗黙知をご利用ください

やたべ行政書士事務所は風俗営業に携わる皆さんをいつでも応援しています!

それでは、また!

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