風営紳士録2.0

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性風俗の憲法訴訟で国から火の玉ストレート

火の玉ストレート!

 

皆さん、こんにちは!

東京都新宿区の風俗営業専門やたべ行政書士事務所です。

今週も一週間お疲れ様でした!

忙しさから後回しにされていた方は確定申告締切など忙しい1週間になったのではないでしょうか。

新型コロナの変異株が日本全国で猛威をふるい始めていますが、持続化給付金など補助金・助成金を受けるために確定申告書類が必須となったせいか、これまで一切申告していなかった方々も今年はしっかりと申告するようになったのではないでしょうか。

この確定申告を行っても給付金を貰えなかったと訴えた訴訟の口頭弁論がありました。

現在のところ、性風俗関連事業者は新型コロナ関連の給付金など公的支援が認められていません。

こうした給付金の不交付は憲法の保障する法の下の平等(憲法14条1項)に違反するのではないか、とする憲法訴訟の第一回口頭弁論が4月15日に東京地裁で行われました。

被告である国側は「性を売り物にする本質的に不健全な営業」であることを理由に、支援対象から除外することは合理性があって憲法の平等原則に反しないと答弁しました。

 

・・・「本質的に不健全」

 

ガーン、、、藤川球児ばりの火の玉ストレートを投げてきましたね(苦笑)

 

司法判断の行方は今後の本件訴訟を見守るとして、今回はこの事案を通して風俗営業が守るべきものを考えてみました。

 

 

風営法上の許可と届出

 

本件訴訟の報道がなされた際、「本質的に不健全」とは何事か!職業に貴賎なし、国が堂々と職業差別するとはどういうことだ!!といった反応がSNSでは多く見受けられました。

ただ、一方で「そりゃそうだろ、性風俗に税金使われちゃかなわん」といった声も潜在的には少なくなかったのではないか、とも思います。

性風俗事業者への税金投入に反対する声と言うのは発信が憚れることからSNS上では目にすることが少なかっただけではないでしょうか。

というのも、性風俗に対する国の評価というのは昔から一貫して火の玉ストレートであって、それに対する国民的議論につながっていないからです。

まず、本件で扱われる性風俗関連特殊営業が許可制ではなく、届出制ということを確認しておきましょう。

 

キャバクラ、ホストクラブなど・・・許可制

デリヘル、ソープランドなど・・・届出制

 

許可制は本来禁止されている行為を国が個別に解除する制度であるのに対し、届出制というのはある行為を行うにあたって事前に届け出ることを義務付けた制度です。

許可制は「許可する・しない」に関しての裁量が行政にあるのに対し、届出制は手続き書類などに不備がなければ行政は届出を却下できないと説明されています。

こうした講学上の概念からは、許可制の方が厳しく、届出制の方が緩い印象を持たれると思います。

一方で本来禁止されている行為を特別に許可されたという面からすれば、厳しい許可を与えられた事業者として社会的信用にもつながります。

このような観点から、デリヘル、ソープランドといった性風俗関連特殊営業は「許可」に馴染まないと国側は説明してきました。

 

「このような営業について、公の機関がその営業を営むことを禁止の解除という形での許可という形で公認することは不適当であると考えて、届け出制にし、実態を把握し、また風俗営業に比べて営業禁止区域等極めて厳しい規制をもって望むという立て方をしておるものでございます。」「地方行政委員会議事録第十三号」平成10年4月28日

 

もっとも、本ブログ読者の皆様であれば、ここでおやっ?と思ったはずです。

 

キャバクラ・・許可制

スナック・・・届出制

 

そう、スナックやガールズバーなどの深夜酒類提供飲食店営業(風営法33条)は届出制となっています。

キャバクラには「接待行為」が伴うことから厳しい許可制となっていますが、「接待行為」を伴わないスナックやガールズバーなどは届出制となっている訳です。

かといって、許可制を採用しているキャバクラに対しては国としてお墨付きを与えて積極的に営業を推奨しているのに対し、スナックやガールズバーは推奨していないという訳ではもちろんありません。

法律解釈の基本ですが、同一法律の同一文言は同じ意味として解釈するのが通常であって、条文ごとに多義的な解釈を入れるのはしっかりとした学理解釈や判例の裏付けが必要になります。

少なくとも、許可制の接待飲食店と届出制の深夜酒類提供飲食店との間に国としての営業推奨度合いとしての区別があるとは言えません。

もっとも、風営法全体としての国の本音を推し量ることは可能です。

その根拠は、法律の条文にあります。

 

 

風営法が守りたい法益

 

法律には、その法律が存在する理由としての実現したい目的があります。

これを講学上は保護法益と呼びます。

では、風営法の保護法益はなんでしょうか。

一般的に、法律は第1条にその法律が実現しようとする「目的」が定められます。

風営法第1条「善良の風俗と清浄な風俗環境を保持し、及び少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止するため」と定めています。

これを裏返せば、風営法で規制を行わないと「善良」「清浄」「健全」が害される恐れがある行為を列挙していることを示しています。

許可制・届出制の別を問わず、風営法で規制対象としている営業行為は全て「善良」「清浄」「健全」といった社会的法益を守るために規制が行われているのです。

今回の性風俗事業者に対する国の答弁が伝わると、「じゃあ、キャバクラはどうなんだ!深酒のバーはどうなんだ!」と批判コメントも多数寄せられていました。

残念ながら、風営法で規制している営業行為に対しては、すべからく「善良」「清浄」「健全」の社会的法益保護の見地から規制が必要な行為であるということです。

これは別に給付金交付を判断している経産省・中小企業庁の役人がどうとかの話ではありません。

我々国民の代表者が国会で審議して成立させた法律の第1条に「目的」として明示していることなのです。

納得いかなければ立法手続きを通じて法改正を行うべきであって、現行法としての「目的」実現のための規制を行うと言うのはある意味当然のことなのです。

もちろん、「本質的に不健全」という表現が強すぎて関係者を傷つけたという点は十分理解できます。

ただ、この表現も別に今回初めて発せられたものではありません。

20年以上も前から性風俗に対する評価として使用されていますが、別にその後も国民的な議論につながっていない表現です。

 

「風俗関連営業、今回の改正で性風俗特殊営業につきましては、今委員御指摘のとおり、性を売り物とする本質的に不健全な営業で、風俗営業について今申しましたように業務の適正化あるいは営業の健全化というのは本来的になじまない営業であります。」「地方行政委員会議事録第十三号」平成10年4月28日

 

もっと言えば、職業安定法及び労働者派遣法に関する裁判例では、性風俗関連特殊営業を「公衆道徳上有害な業務」に該当するとまで評価しています(神戸地裁平成14年7月16日判決)

今回の訴訟は社会的意義のある訴訟でもありますから、しっかりと司法手続きを通じてはっきりさせて貰いたいと思いますが、一方で国の対応はこれまでの風俗営業行政と特段異なるところはないと私は受け止めています。

 

 

風俗営業の与える価値

 

ここからは自由勝手な私見となることをお許しください。

それを言っちゃお終いかもしれませんが、そもそも風俗営業が「不健全」であって何が悪いのでしょうか?

少なくとも私個人は「健全」な風俗営業などに魅力はまったく感じませんね。

「呑む、打つ、買う」というのが「不健全」なんて当たり前ではないですか。

酒やタバコはもちろん、夜遊びや肉食グルメだって健康的な意味では「本質的に不健全」です。

でも、忘れてならないのがこれらの「不健全」な活動は、底知れぬ魅力があるということです。

いい女とは欠点のある女だ、と言われることがあります。

それは欠点を克服するくらい魅力があるからです。

「本質的に不健全」ということは、それだけ欠点があるのにその欠点を克服するだけの魅力ある価値を提供している商売だということです。

「不健全」としつつも社会に必要な産業として許容しなければならない国の姿勢こそが、魔力をもったビジネスであると国がお墨付きを与えた証左だと私は思っています。

「本質的に不健全」だけど、それにも関わらず顧客を虜にしてしまうビジネスが風俗営業なのです。

ドラッグはじめ、違法行為で人間を虜にするものは数多あれど、合法行為として社会的に許容されていながらこの魔力を発揮できるものなど、そう多くはありません。

 

 

最低で最高の風俗営業

 

今回の原告は職業としての性風俗事業に対する国の評価を変えようと真剣に取り組んでいるのでしょうから、軽はずみな意見は適切ではないかも知れませんが、風俗営業の専門家としてこれだけは問いたいということがあります。

もし、国が「本質的に不健全」と評価するなら、事業者として風俗営業を止めてしまうのでしょうか?

国の評価によって止めるのであれば、とっとと止めた方が良いと思います。

読者の方に誤解なきようにお伝えしておくと、国は風俗嬢はじめ従業者としての個人セックスワーカーには給付金の交付を認めています。

参考【性風俗従事者に持続化給付金は認められるか】

 

行政裁量として給付対象から外しているのはあくまで性風俗をビジネスとして営む事業者だけです。

売春防止法だって刑事処分の対象としているのは、勧誘・斡旋・場所の提供など事業者側であることが前提です。

国としても生活苦などで仕方なく性風俗に携わってしまっているキャスト個人にはちゃんと給付を認めているのです。

ただ、ビジネスとして性を扱う事業者への公的支援だけは認められないと行政裁量で判断を示しているのです。

本件訴訟でどのような司法判断がなされるのか分かりませんが、仮に原告の言い分が全面的に認められたとしても、今後も性風俗関連の情報が昼間から地上波に流れることはないと思います。

コロナ禍の例外対応として給付が認められたとしても、民間金融機関が風俗営業への融資を緩和することも難しいと思います。

こうした厳しい社会の風当たりで辛い思いをするのが嫌なら、この際性風俗事業は止めた方が良いと私は思います。

社会の風当たりが厳しくても、確実にお金を儲けるために性風俗を始めたのではありませんか?

それとも、日本社会の評価を変えるために性風俗を始めたのですか?

性風俗事業を始めた原点に立ち返ってもう一度しっかりと考えてみてはいかがでしょうか。

不夜城・歌舞伎町では、風俗王と呼ばれた森下グループまでもが撤退戦略を迫られているのが現状です。

参考【名称公表より風俗営業を休止に追い込むもの】

 

コロナ禍発生から1年が経過し、ここから融資の返済負担が増大する事業者も少なくありません。

仮に公的支援が認められても国の評価で挫けるようでは生き残れない修羅場が訪れると思います。

「本質的に不健全」で上等じゃないですか!

性産業に限らず、キャバクラでウェイウェイしながらボトル入れるのも、クラブでバカ騒ぎするのも、人間が「本質的に不健全」な状態での顧客価値を提供しているからあれだけの高単価が成立するのです。

ましてや性風俗産業はどんな時代環境になっても確実な需要が見込めます。

コロナが収束すればさらに加速するはずです。

国が「本質的に不健全」だと思っても、それでも産業を潰さないのは社会に絶対に必要だからです。

性犯罪予防の重要な役割を担っている社会的エッセンシャル産業です。

「本質的に不健全」だけど社会に必要ってことは、最低だけど最高だってことです。

人を虜にする魔性をもったビジネスとして必ず復活してやりましょう!

なんとしてもこの難局を乗り切って、持続化給付金なんかの何倍も売上を叩き出してやりましょう!

やたべ行政書士事務所は風俗営業に携わる皆さんをいつでも応援しています!

それでは、また!

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