風営紳士録2.0

ナイトタイムエコノミーから警察の取締りや法令改正情報まで、風俗営業の最新情報を発信中です!

幻想を抱かせる風俗営業に許可が必要な理由

進化する学習ウイルス

 

皆さん、こんにちは!

東京都新宿区の風俗営業専門やたべ行政書士事務所です。

早いもので今年も12月になりました。

やっとコロナを克服して「夜の街」風俗営業の繁忙期である年末年始がやって来たと思っていた矢先にオミクロン株の世界的流行のニュースが。

かつてのアルファ株流行時に、一部の経済推進派は「コロナはただの風邪」なんて揶揄していましたが、今回のオミクロン株は専門家も弱毒性の可能性を指摘しているようですね。

コロナウイルス同様に飛沫・接触感染で流行した2003年のSARSウイルスでは10%近くの高い致死率があった為、コロナほどの世界的な流行にはなりませんでした。

感染者が他人に感染させる前に重症化・死亡してしまうので、人から人へと感染させるウイルス拡散が難しかったからだとも言えます。

オミクロン株が感染力を増しつつ、毒性を低下させたのであれば、ウイルスとしての学習効果が働き、より広く拡散する為に進化したとも言えるでしょう。

宿となる感染者を殺さずに、行動範囲を広げさせ、ウイルス自体の拡散を広げることで世界的な増殖を果たすことが出来るオミクロン株は進化した学習ウイルスと言えるかも知れません。

実は、我々人間界でもこうしたウイルスと同じような増殖を行っているものがあるのではないか、と感じています。

 

 

毒性インフルエンサー

 

今週、人気Youtuberヒカルさんの会社が所有する車の車検切れが発覚したと話題になっていました。

本人自身もこの件に関して謝罪動画を発信しておりました。

ちなみに、車検切れで公道を走行すると6月以下の懲役又は30万円以下の罰金が科せられます(道路運送車両法第58条1項・第108条1号)。

なお、車検切れということは、自賠責保険にも加入していなかったということにもなります。

自賠責保険というのは、自動車所有者が必ず入らなければならない強制保険であり、未加入のまま公道を走行すると1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられます(自動車損害賠償保障法第5条・第86条の3)。

先日、木下元都議が無免許で事故を起こしたことで引責辞職しましたが、彼女もヒカルさんと同じように過失による不注意で免許を切らしていたと説明していました。

まあ、こうした発覚後の謝罪説明となると「ついうっかりの過失」であったことを強調してしまうのは人間の性として当然ですよね。

風営法違反の摘発だって、100%法令違反する気満々の故意だったことを強調する事業者なんていません。

ただ、人気Youtuberや東京都議会議員は一般市民と違って社会的影響力が違います。

あれだけ金持ちYoutuberであることを誇示していたヒカルさんでも車検・自賠責保険は負担なんだな、1400万都民を代表する議員であっても免許切れ運転しちゃうことがあるんだな、そうした規範意識の緩みが生まれてしまうことが彼らインフルエンサーの負の側面、いうなれば毒性ウイルスではないでしょうか。

そしてこうした毒性ウイルスは、致死量に達するような毒性ではなく弱毒性であるからこそ幅広く感染し易くなります。

こうしたステマ行為は、海外業者からのバック目当てか、仕手株での提灯買い同様に自らが仕込み済みの金融商品の相場を盛り上げて、売り抜けたい為にやっていることが殆どです。

 

 

毒性ウイルスの拡散法

 

私、やたべは所属する東京都行政書士会で風俗営業を扱う生活安全・保健衛生部に現在所属していますが、以前は企画開発部という新領域のビジネス創出を企画する部に所属していました。

当時の企画開発部では金融庁の関係者を招聘して、仮想通貨に関わる金融商品取引規制の在り方を考える機会を与えて頂きました。

日本でも金融商品取引法や資金決済法が改正され、「仮想通貨」から「暗号資産」へと呼称変更されたタイミングでしたが、当時の仮想通貨市場は2017年の急騰から一転して低迷し、現在のような盛り上がりには欠けていたように記憶しています。

行政書士業務というのは極めて幅広く、金融機関出身者をはじめ一部の方は金融商品取引法での届出登録などを扱っていることから、企画開発部で金融庁関係者を招いて勉強会を行っていたという経緯になります。

仮想通貨をはじめ、株・FX等の金融商品での投資と風俗営業、一見すると全くの畑違いの別物のように感じますが、ビジネスモデルの本質として共通するものがあることに気付きました。

それはどちらも「人間の欲」に直結したものを扱っている事業であるという点です。

両者のビジネスモデルの本質が共通することを象徴するような事件が今週重ねて報道されていました。

 

どちらも出会い系マッチングアプリを利用して、被害者をおびき寄せている点が共通しています。

この二つの事件が共通しているのはこれだけではありません。

それは、もし本当に投資で十分なリターンを得たり、目当ての異性と良い関係になっていれば、どちらも被害届は出されなかった可能性が高いということです。

被害者自身も「人間の欲」に従ってアプリを利用していることから、金銭欲や性欲、自己承認欲など、なんらかの対価となる欲を満たすことが出来れば被害を訴え出ていない可能性の方が高いということです。

被害者は金融商品取引法に違反していたからとか、風営法に違反していたから被害を訴えた訳ではないでしょう。

投資助言者を求めて出会い系サイトを利用する人も、バーで散財したくて出会い系サイトを利用する人も居ません。

被害者の本当の不満は、お目当ての異性への想いが叶わなかったことや騙されてしまったことへの憤りでしょう。

こうした「人間の欲」を引き出し、収益化させる技術として出会い系マッチングアプリは利用されています。

今回の様に事件化してしまうとSARS同様にウイルス自体が消滅してしまいますが、「人間の欲」を刺激する弱毒性ウイルスはテクノロジーによって日々拡散され続けています。

 

 

共同幻想ビジネスの闇

 

実はこうした恋愛感情を利用したデート商法などは昔から存在していました。

有名なのはココ山岡のダイヤモンド販売ですが、絵画販売などでもうら若き女性が街ゆく非モテ系男子に声をかける情景はよく目にしたものです。

テクノロジーの進展によりこうした商法はサイバー空間に主戦場を移しましたが、ビジネスの本質として「人間の欲」に直結したものを利用している点は変わっていません。

かつての恋愛感情を利用したデート商法は異性の魅力を前提とした労働集約型でしたが、現在はマッチングアプリを始めとしたテクノロジーによって集客も効率化・最適化されています。

金銭欲や恋愛感情だけでなく、自己実現・自己成長欲求を利用したオンラインサロンなども隆盛を誇っています。

とある著名なインフルエンサーがこのようなことをツイートしていました。

「『欲しい』『持っていたい』っていう共同幻想を作ることが何より大事。幻と書くけど実は価値のうち重要な一種が『幻想』です。ブランド品も高級車も芸能人も共同幻想の一種です。けっして否定的な意味合いではありません。」

なるほど、専門的には無形資産だのブランドの資産価値だのと語られますが、つまるところ「幻想」を抱かせることこそが消費者に大枚をはたかせる極意というのは本質を言い当てていると思います。

企業そのものや製品・サービスへの「幻想」もあれば、インフルエンサーとしての人への「幻想」もあるでしょう。

消費者が集団となって「幻想」を共有し、「共同幻想」を抱くようになれば、対価としても高価格が許容されます。

だからこそ、「幻想」を崩すような情報は厳にコントロールすべきですし、インフルエンサーは細心の注意を払い続けているのでしょう。

「共同幻想」を崩さぬよう、ヒカルさんや木下元都議が「故意」ではなく「過失」であることを強調するのは至極当然でしょう。

ただ、こうした「共同幻想ビジネス」の負の側面として、ひとたび逆回転し始めると「幻想」度合が強ければ強いほど厳しい批判に晒されてしまうということです。

 

 

風営許可が必要な理由

 

もっとも、「幻想」を抱かせてビジネスをすること自体は悪いことでもなんでもありません。

人生に潤いを与える風俗営業はじめ飲食・娯楽サービス業などは、非日常体験としての「幻想を抱かせる」ことこそが利益の源泉になっているとさえ言えます。

こうした「幻想」事業は高付加価値で儲かりますが、大前提として絶対に守らなければならないルールがあります。

適正な営業許可・届出を行って法令を順守して行うということです。

改めてマッチングアプリを利用したぼったくりバーの報道を見てください。

マッチングアプリを利用したことや色恋感情を利用したこと自体で逮捕されているのではなく、無許可営業で逮捕されています。

サービスの価格設定がぼったくりかどうか、投資教育が詐欺行為に当たるかどうかは、立証が難しく警察も慎重に対応します。

それに対して、風俗営業許可を取得していない、あるいは許可を取っていても風営法に違反する営業を行っているというのは事実認定の難易度が下がります。

投資助言にあたる行為であれば金融商品取引業者として届出登録されているかどうかは直ぐに判別できます。

逮捕された元アイドルの方は自らも課金し、従属的な下っ端としてこき使われていたといいます。

もし、正規の届出を行った登録金商業者でのアシスタントとして投資教育に携わっていたなら、社会的評価は全く違ったはずです。

もし、正規の風俗営業許可を取った接待飲食店で芸能界で培ったコミュニケーション力を発揮した接客をしていたら、詐欺の下っ端なんかよりも遥かに稼げていたはずです。

客観的には同じような活動を行っていても、法令上の許可・届出を得て行うか、許可・届出を行わないかで、天国と地獄ほどの違いが生じるのが風俗営業許可が必要な理由です。

真摯な反省と謝罪の気持ちを深めているということですので、どうか罪を償い人生をやり直してください。

「ついうっかり」違法金融商品の勧誘を行う感覚、「ついうっかり」車検切れ・免許更新していなかったという感覚は、風俗営業事業者の風営法違反の心理と近いと思います。

そして、どちらも問題が発生した時のダメージが大きいのも共通しています。

決して、法令違反行為を軽く考えてはなりません。

特に現在、事業が成功している人であればある程、絶対に油断しないでください。

「共同幻想」を抱かせている恋愛感情が覚めたり、投資相場が崩れた瞬間から、逆回転地獄が始まりまってしまいます。

選ばれし人々には、インフルエンサーとしての影響力を正しく使うことで、世界をより良い方向に導いて頂くことを願います。

やたべ行政書士事務所は風俗営業に携わる皆さんをいつでも応援しています!

それでは、また!

関連記事一覧

  1. この記事へのコメントはありません。

CAPTCHA