風営紳士録2.0

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ナチスに学ぶ表現の自由とSNSの選挙活動

SNS時代の選挙活動

 

皆さん、こんにちは!

東京都新宿区の風俗営業専門やたべ行政書士事務所です。

今週末7/10(日)は、参議院議員選挙です。

既に期日前投票を済ませた方もいらっしゃると思います。

6年の任期途中に解散のない参議院議員の半数を選ぶ大切な選挙ですから、しっかりと意思を表明してください。

現在の選挙期間中、選挙カーだけでなく、SNSでも投票を呼びかける活動を目にします。

その際、よく耳目にするのが「1枚目には〇〇、2枚目には✕✕とお書きください」なるフレーズです。

国政選挙が選挙区と一緒に比例での投票も同時に行う意味ですが、いまいち正確に理解できていない方もいらっしゃると思います。

参院選での比例(2枚目)の投票は、政党・個人名どちらでも投票できます。

参院選での比例候補は全国が対象となるため、圧倒的な知名度や全国レベルでの職能団体や支持母体がなければ当選は厳しいとも言われています。

逆に言うと、全国的な知名度さえあれば、選挙区を回るどぶ板運動を行わなくても、海外に居住していても選挙活動が可能であることを意味します。

SNSが国民に浸透した今回の選挙では、その効果が分かり易く現れました。

現在、地上波のマスメディア以上に影響力をもっているのがYouTuberらのインフルエンサーです。

毎日投稿される動画やツイートに触れてきた視聴者にとっては、どんな候補者よりも親近感が湧きますし、何よりどういうことをやろうとしているかの意図が予想しやすい存在です。

野党では選挙区での地上戦を捨て、サイバー空間上でのバズり認知度に全振りする様相を呈してきました。

注目を集めるためなら、何でもやったるといった気概を個人的には感じます。


※山本太郎候補自身は、東京選挙区の候補です。

とはいえ、政治家にとって選挙は戦争と同じで、当選しなければそれは死を意味します。

野党として、弱者の戦略であるランチェスターの局地戦に持ち込むのは当然と言えば当然です。

法令に触れない範囲であらゆる手段を使い、何としてでも当選を勝ち取るとの姿勢は、それ自体が候補者に対する判断評価材料になるものです。

こうしたこと全てを含めて、7/10(日)にはしっかりと民意を示したいところです。

個人的には、海外からインターネットを通じて選挙活動を行っている暴露系YouTuber・ガーシーこと東谷義和候補にどのような民意が示されるかに注目しています。

 

 

ナチスのメディア戦略

 

SNSの浸透によって現代の選挙戦が変容していると述べましたが、メディアの発達によって民主政が変容してきたのは人類史の常です。

もっとも有名なのがナチス・ドイツでの国家社会主義ドイツ労働者党です。

ナチスでは民衆を動かすためのプロパガンダに重点を置いていました。

ヒトラーの著書『我が闘争』では、大衆扇動の原則として以下のようなポイントが示されていました。


テーマや標語を絞る
あまり知性を要求しない
大衆の情緒的感受性を狙う
細部に立ち入らない
信条に応じ、何千回と繰り返す

これらの重点ポイントを徹頭徹尾国民に浸透させるため、ナチスはテクノロジーを用いました。

1933年以降、ナチスのメディア戦略を担ったヨーゼフ・ゲッベルスが活用したものがラジオでした。

言うまでもなく、当時のラジオは現代のスマホであり、ツイッター・YouTube・TikTokといったSNSテクノロジーになぞらえることができます。

GAFAなどの大手テック企業では利用者拡大がネットワーク効果として最重視されていますが、当時のゲッベルスもラジオ受信機の迅速な普及が持つ意味の重要性を当初から見抜いていました。

低コストで大量生産が可能なラジオの設計・開発を要請するとともに、シーメンス、AEG、テレフンケンをはじめとするドイツ国内メーカーにドイツ国民ラジオの優先生産を命じたのです。

ラジオ放送は最も近代的で最も重要な大衆感化の手段と考え、低価格でラジオを流通させることが大衆感化の前提となると判断したのです。

しかも当時のドイツ国民ラジオは、ナチスのプロパガンダ放送は聴取できる一方で、海外の他のメディアは聴取できないように設計されていました。

これは皮肉なことに、現代のSNSが利用者の選好が反映され、自分の興味関心あることしかタイムラインに流れてこないようアルゴリズム設計されているのと同じです。

 

 

表現の自由と落選運動

 

1世紀近く前のナチス政権下でのメディア戦略に、現代のSNS選挙活動と同じ政策が用いられていたということです。

特に現代のSNSでのスマホ依存、ツイ廃化は、自己の意思決定で選択していることから抵抗感も抱きづらいものです。

表現の自由の重要性が叫ばれる時によく引用されるのが、フランスの哲学者ヴォルテールの言葉です。


「私はあなたの意見には反対だ、だがあなたがそれを主張する権利は命をかけて守る」

民主主義の根幹を成す表現の自由での「寛容の精神」を表した言葉として有名です。

でも、実はヴォルテール自身がナチス同様のゴリゴリの反ユダヤ主義者であったとも言われます。

そうした自身の政治思想への自覚があったからこその言葉と受け止めると更に奥深いものを感じます。

一方で、テクノロジーにはこうした自制が効きませんから、時として暴走します。

ナチスのドイツ国民ラジオや現代のアルゴ支配されたSNSなどは「反対意見」自体に触れさせないデバイスだからです。

選挙活動(公職選挙法上は選挙運動)として、特定の候補者を当選させるための活動だけでなく、当選させないようにする活動も認められています。

議席数に限りある以上、特定候補者が落選することは支持する候補者の当選につながるからです。

当落線上ギリギリのラインに居並ぶ候補者同士では、こうした落選活動が行われるのですが、これはナチスのメディア戦略と同じです。

議会に民意の声として届けること自体を封じてやろうという訳です。

こうした落選運動に熱を入れる方に限って表現の自由の重要性を説いたり、自由主義者を自称しているものです。

私自身は自民党支持者ですが、政権幹部で落選運動を推進するかのような発言を行うのが信じられませんでした。

それこそ民主主義をまったく理解できていない頭脳レベルと誤解されてもおかしくないので、ここは流そうとせずに猛省して貰いたいところです。

今回の参院選を過ぎれば、しばらく国政選挙はないはずです。

SNSによって扇動された衆愚政治となるか、テクノロジーによる新たな選挙戦の幕開けとなるか、しっかりと見極めて参りましょう。

やたべ行政書士事務所は風俗営業に携わる皆さんをいつでも応援しています!

それでは、また!

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