手続的正義とマスコミ的正義
メシウマネタの消費
皆さん、こんにちは!
東京都新宿区の風俗営業専門やたべ行政書士事務所です。
昨日投稿したガーシー実家への家宅捜索の件。
ひろゆき夫妻をはじめ、ガーシーが攻撃していた相手からはブーメラン、因果応報と批判されていますね。
私も奥さんってだけで攻撃の対象にされて、精神的苦痛を与える、追い詰める、家にも行くと脅されて、その犯人は捕まりもせず逃げ続けているので今も恐怖と不安は消えない。「なんで家族ってだけで?」って思ってるな。https://t.co/P2IOqvrHj2
— 西村ゆか『だんな様はひろゆき』5万部突破🫶 (@uekky) March 24, 2023
SNSでは、悪党を気取っていた人間が泣き入れるメシウマネタとして消費されているようです。
そんな中、少し気になるツイートを目にしました。
本日25日に配信されたこちらのYahoo!ニュースを引用する形のツイートです。
報道直後、捜査権の濫用であると批判する投稿のリプ欄でのやりとりの延長のようです。
「昨日、必死でガーシー氏擁護してた奴がいたけど、やっぱり普通に正当な家宅捜査だったじゃないか」とコメントが付されていました。
マスコミ的正義で自己RT
なぜ、気になったのかというと「正当な家宅捜査だったじゃないか」とコメントされていた方が専門家だったからです。
なお、正確には「家宅捜索」(刑事訴訟法218条)であり、「家宅捜査」というのは法律用語ではありません。
もちろん、日常会話としては伝わりますし、専門家と言っても弁護士などの法律専門家ではないので、この点が気になったわけではありません。
ちなみに、法律用語として誤用される常連は他にも「被告人」と「被告」、「勾留」と「拘留」、風営法でも「遊技」と「遊戯」などがあります。
私が気になったのは、Yahoo!ニュースの報道をもって「正当な家宅捜査だったじゃないか」と断じていたことです。
リプ欄でやりとりした相手にマウントを取りたかったのか、自己RTまでしていました。
手続的正義と法律専門家
法律の世界、特に刑事手続の世界では「適正手続」によって真実を追求していくとする絶対のルールがあります。
日本国憲法35条
1項 何人も、その住居、書類及び所持品について、侵入、捜索及び押収を受けることのない権利は、第三十三条の場合を除いては、正当な理由に基いて発せられ、且つ捜索する場所及び押収する物を明示する令状がなければ、侵されない。
2項 捜索又は押収は、権限を有する司法官憲が発する各別の令状により、これを行ふ。
警察・検察はもちろん、裁判官といっても人間である以上、間違いは犯します。
そうした人間観の下で、適正な法定手続によって事実認定することを絶対のルールにしているのが日本の刑事手続です。
「裁判官の発する令状により、差押え、記録命令付差押え、捜索又は検証をすることができる。」(刑訴法218条1項)と法律では定められています。
令状が発付されていなければ、「不当な家宅捜索」となることは言うまでもありません。
もっとも、引用元の漫画村・星野ロミさんのツリーにある通り、令状発付は「疎明」で足りるとされています。
日本の有罪率は99%←検察「有罪の確信があるものだけ起訴するから」
日本の令状発行率は99%←警察「???」
何故だと思う?嘘つき。 pic.twitter.com/sWgyKfPrUC— 星野ロミ 漫画村を作って捕まった人 (@romi_hoshino) March 24, 2023
24日のガーシー実家への家宅捜索も、捜索差押令状を取って行われたことは間違いないでしょう。
一方で、強制捜査の内容が適正か、すなわち「正当な家宅捜索」かどうかは、司法手続きを通じて判断されることです。
警察側の発表を受けて報道されるYahoo!ニュースをもって「正当」かどうかが判断されるわけでは断じてありません。
おそらくは被疑者親族の被疑事実・強制処分の事実を報じたニュースをもって、真実が明らかになったとドヤりたかったのでしょう。
専門家としての矜持
もちろん、報道内容が実体的真実を言い当てている可能性は高いと思います。
また、法律素人の方がマスコミ報道をもってSNSで被疑者を断罪するのは仕方がないことでしょう。
ただ、自身を専門家として自認し、法令解釈を情報発信している者であるなら、手続的正義には留意すべきだと思います。
国家資格をもたずに、法律コンサルティングを行っている専門家はたくさんいます。
法令や商慣習を我流で解釈し、こうすれば合法でビジネスができますよと法の間隙を突く提案している方もいます。
法律コンサルティングは、一歩間違えるとクライアントの人生を狂わせる危険性があることは理解されていると思います。
私も風営法に携わる専門家として、ビジネスの新規創出や新たな試みを応援するスタンスです。
ただ、だからこそ専門家としての法令解釈や情報発信は慎重になるべきとも考えています。
手続的正義について書いた過去記事ですので、よろしければこちらもご覧ください。
やたべ行政書士事務所は風俗営業に携わる皆さんをいつでも応援しています!
それでは、また!
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