風営紳士録2.0

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新宿区長選に学ぶ多様性で共感を生む難しさ

現職・吉住区長が再選

 

皆さん、こんにちは!

東京都新宿区の風俗営業専門やたべ行政書士事務所です。

11月13日に新宿区長選挙が実施され、現職の吉住健一区長が再選を果たしました。

在任中に直面したコロナ禍での「夜の街」歌舞伎町への対策に下された審判とも評価できるでしょう。

3期目を迎える吉住区政で、新宿の未来を輝かしいものに導いてもらいたいものです。

参考【天赦日と一粒万倍日が重なる夜に街は甦るか】

 

 

よだかれん候補の善戦

 

一方で、日本初のLGBTQ首長を目指した依田花蓮候補も善戦したと思います。

たしかに、吉住健一区長と争った過去の候補者と比較すると得票数は落ちています。

ただ、LGBTQのみならず、依田花蓮候補のビジュアルやキャラクターを加味すれば、歴代の候補者とは明らかに異質の存在です。

本来の依田花蓮候補個人を知らない方がポスターだけ見れば、単なる泡沫候補と思われても不思議ではありません。

そんな依田花蓮候補ですが、野党7党1会派から推薦を得て、野党統一候補として力強く応援を受けておりました。

現職区長を交代させることが野党共通の目的とは言え、34万人都市の首長として依田花蓮候補を推薦したことは非常に潔く、好感を持ちました。

今回の区長選挙も28%と低投票率でしたが、逆に言うとこの28%は確実に投票行動を取るコアな住民でもあります。

こうしたコア層に対して、区長候補として依田花蓮候補を推薦した事実は深く記憶され、来年2023年4月23日の統一地方選挙に強く影響するはずです。

 

 

一線を画す行政書士会

 

一方で、今回の区長選への関りとして興味深かったもう一つの団体が我が行政書士会です。

依田花蓮候補は現役の行政書士ですが、行政書士会からの推薦・応援は一切受けずに選挙戦を展開していました。

行政書士会から推薦を受けないことが依田花蓮候補本人の意思によるのか分かりません。

しかし、少なくとも選挙演説では行政書士の徽章が象徴する「調和と真心」に繰り返し言及していたので、行政書士であることそのものは全面に打ち出していたと思います。

 

行政書士法自体が議員立法で成立していることもあり、行政書士会は推薦依頼を受けた候補者、特に行政書士である候補者にはほぼ確実に推薦を出す緩めの政治団体です。

もっとも、今回は首長選挙ですから定数1人なので、2人以上に推薦を出すこと自体が難しかったのかもしれません。

加えて、行政書士会は「役所との共生」を打ち出しているため、区長選挙は最重要ロビー活動のひとつです。

対立候補も応援したうえで、当選後は勝ち馬に乗ろうとしては団体としての信用力が落ちる危険性もあります。

こうした事情で、現職・吉住健一区長には行政書士会からの推薦・応援がなされていましたが、依田花蓮候補には推薦・応援が行われていませんでした。

そのような逆境の中、野党7党1会派から推薦・応援を取り付けた依田花蓮候補はやはり只者ではないなと感じ入りました。

しかも、共生を謳う「役所」である吉住区政へかなり辛辣なネガティブキャンペーンも展開していましたから。

旧統一教会によるロビー活動が社会問題となっていますが、行政書士会の政治団体もロビー活動を行う団体であることは間違いありません。

もっとも、落選決定後の依田花蓮さんの再起にかける力強いメッセージからは、行政書士会など既得権益集団のしがらみなど必要とせずに戦い抜いていく気概も感じました。

行政書士会と言っても、宗教団体と同様、政治に影響が与えられるのは会員数の多さに比例した投票集客力と表裏一体です。

こうした既得権益集団の代弁者には甘んじないという姿勢を貫くからこそ、野党7党1会派からの推薦を受けたのかも知れません。

ちなみに、こちらで吉住健一区長に当選祝いの花束を贈呈している女性も司法書士会政治団体の代表者です。

 

 

多様性はパワーなのか

 

今回の新宿区長選挙と同じタイミングでアメリカ中間選挙も実施されました。

トランプ前大統領が属する共和党が、バイデン政権の民主党に対して巻き返しを図るレッドウェーブが起こるのではないかと噂されていました。

しかし、結果は民主党が善戦し、共和党のレッドウェーブは起こりませんでした。

新宿区長選挙での投票率の低さやアメリカ中間選挙での開票不正疑惑など、選挙制度には解決すべき課題もありますが、それでも民主政においてはある種絶対的な結論をもたらすものです。

2016年にトランプ大統領が大番狂わせで当選した際も、メディアには現れなかった無言の声、特に白人貧困層の声が投票に現れたと言われました。

トランプ大統領初当選の時は、メキシコとの国境沿いに壁を作るとのスローガンで、無言で賛同する人が投票しました。

 

今回は共和党の巻き返しの予想を裏切り、無言の声が民主党を選んだ訳です。

その流れの中で、マサチューセッツ州ではLGBTQを公言している民主党系知事が誕生しました。

おそらく、依田花蓮候補もこうしたメッセージに近いものを発信したがっていたのだと推察します。

今回の新宿区長選挙では、ツイッターなどを中心に「ハッシュタグ#新宿区長選」がトレンド入りしていました。

おそらくはSNS選挙戦略に長けた陣営が意図的に流しているであろうカラフルに彩られたプロパガンダがTLを流れるのを多く目にしました。

ただ、同時にド派手なビジュアル・キャラクター扱いされることを嫌がるLGBTQの方もいたでしょう。

しかも、現区政や区長個人に対するネガティブキャンペーンが選挙終盤は過激になり、LGBTQ=エクストリーム左派という分かりやすい構図にされていました。

この辺に関して、渡辺みちたか区議が的を射た分析をされていました。

行政書士会が誰を推薦するのかを選ぶのも、こうした無言の声や感覚が影響していたのではないかと想像します。

「多様性は、パワーだ!」

これは依田花蓮候補が政治スローガンにしたもので、今回の選挙期間中もツイッターなどを中心にSNSで多く見かけました。

同時に、SNSでの盛り上がりに反して、現職・吉住区長が勝利した背景には、SNSでの相手陣営への執拗な攻撃が辟易とされたことがあったのではないでしょうか。

れいわ新選組を飛び出し、無所属新人として立候補と言いつつ、選挙戦はれいわ式の攻撃スタイル一色だったことで賛同者の一部が離れたのではないかと思います。

多様性を謳っている側、小さき声として位置づけられた当事者側の人間から共感されていなければセンターピンを失います。

反トランプのアメリカ共和党員と同様、「お前と一緒にされたくない」と感ずる身内にこそ共感を生み出させることが実は一番難しいのかも知れません。

政治スローガンなどで意図的に「多様性」の枠を設定してしまうと、枠内にカテゴライズされた人間から反発されるという難しさがあるのではないでしょうか。

いずれにせよ選挙は終わりました。試合が終わればノーサイド!両者ともお疲れさまでした。

今日からお互いが違う立場で新しい新宿の未来のために取り組まれることを望みます。

やたべ行政書士事務所は風俗営業に携わる皆さんをいつでも応援しています!

それでは、また!

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