風営紳士録2.0

ナイトタイムエコノミーから警察の取締りや法令改正情報まで、風俗営業の最新情報を発信中です!

風俗営業のぼったくりと専門家のぼったくり

ゴールデンウィーク便乗値上げ

 

こんにちは、東京都新宿区の風俗営業専門やたべ行政書士事務所です。

 

あと10日間でゴールデンウィークですね!今年は改元タイミングでもあるので10連休です。皆さんのご予定はもう決まりましたでしょうか。

 

既に海外旅行は予約で埋まっていて、チケット入手も困難な模様です。ゴールデンウィークなどの繁忙期には予約が取りづらいだけでなく、料金も割高になります。

需要と供給のバランスから、高価格でも売れるものの価格はぐんぐん上がっていくのが経済原則です。実はここ数年、都心のホテルでは訪日外国人観光客の急増からゴールデンウィークなどの繁忙期や週末だけでなく、平日でも宿泊料が高騰しています。

 

隣室の声が聴こえてしまうような壁の薄いビジネスホテルでも一泊2万円以上の価格設定も珍しくありません。同一内容のサービスで価格が大きく変動するのを目の当たりにしたとき「ぼったくりだろ!」と思うことがありますが、需給バランスによって価格設定を変更させることは全ての産業であることです。

 

行政書士をはじめ専門家サービスとて例外ではありません。という訳で、今回は専門家の報酬額に対する感覚をお話ししてみたいと思います。

 

ぼったくりと高付加価値の違い

 

大阪ミナミでの半グレ集団のガールズバーがテレビのワイドショーなどで放映されていましたが、数年前、新宿歌舞伎町でもぼったくりバーが社会問題になりました。

1杯飲んだだけで数十万円を請求し、お金を支払うまで店から出さないとか脅迫で支払いを強要するといった事案が発生しました。法律知識がない店員などは、「警察は民事不介入だ!」などと誤った知識で取材カメラに息巻いていましたが、その後、ものの見事に悪質な店舗のメンバーは詐欺罪・脅迫罪などで逮捕・立件されていきました。新宿署はじめ新宿区の行政がぼったくり撲滅キャンペーンを真剣に取り組んだことも大きく寄与したと言えるでしょう。

 

一方で、北新地や銀座の高級クラブでもお会計は数十万円になることは珍しくありません。でも、もちろんこちらはぼったくりなどと社会問題になることはまずありません。富裕層相手というのもあるでしょうが、両者の一番の違いはサービスの対価として数十万円を支払うことをお客さんが認識・納得した上で利用しているかどうかです。お店側とお客さんが合意した価格であれば、基本的にどんなに高い価格でも問題はないのです。

 

経営学上では、カッコ良く「高付加価値サービス」などと表現されることもあります。なんてことはない、高い価格だから利幅・儲けの多いサービスということです。ただ、お客さんには高価格でも納得して買ってもらうことが必要です。従って、「高付加価値」の「価値」とはお金を支払うお客さんにとっての「価値」すなわち「顧客価値」である必要があります。

 

冒頭のゴールデンウィーク中での旅行チケット割り増し料金も「顧客価値」の表れです。普段だったら買い手が付きませんが、10連休を利用できるタイミングでの旅行チケットならば普段の倍でも買い手は見つかるのです。もちろんお客さんは高価格を喜んで受け入れている訳ではないでしょうが、それでも売り切れるのです。

 

 

需給法則が学べる登山

 

同じことは旅先でも起こります。富士山の飲み物の価格変化をご存知でしょうか。

 

富士山では平地で150円程度で販売されているペットボトルが5合目では200円→6合目では300円→7合目では400円→8合目では500円と値上がりしていきます。山頂に近づくほど運搬費用がかかることもあるでしょうが、一番は値上げしても売れる・需要があるから、その価格設定になっているのです。砂漠の真ん中であれば10,000円でも需要はあるかも知れません。

 

これは数百円セーブしてお手頃価格で入手するよりも、その場でのどの渇きを潤したいというニーズの方が勝っていることによります。あとペットボトル飲料水を荷物にして登山することを回避することも理由かもしれません。

 

500mlのペットボトル飲料水という商品価値は同じでも、それを受け取る側の顧客価値が違うから、値上げしていっても需給バランスが保たれているということです。

 

 

ぼったくり事務所とは?

 

あたり前のことを長々と述べてしまいましたが、この経済の原則を頭に入れて、専門家サービスや専門家の報酬額も確認してみると本質が見えてきます。

 

時節柄、イメージしやすいよう税理士事務所の決算申告を例にとりましょう。

例えば、あくまで定型的な決算申告業務でも、ネットで検索すると数万円~数十万円の報酬額の開きがあったりします。特に低価格をウリにSEO対策を強化してネット集客広告しているような税理士事務所であればHP上は最低価格を掲出しておいて、実際の面談時にあれこれ理由をつけて高価格を後出しで提示します。

 

 

アポイント後の面談時の情報で、依頼企業の状況を確認してから金額を提示しているようでいて、実は相手の懐具合や緊急度を探ってから価格を提示しているケースが少なくありません。特に決算申告という会社経営者であれば避けて通れない問題は高価格設定の絶好のチャンスです。また依頼者側も金額に拘らずに目の前の問題解決を優先したいケースも少なくないのです。

 

もっとも、これは行政書士でも同じです。営業開始予定日までたっぷり時間的余裕がある申請であれば専門家に対して価格交渉する余地はあると思います。ただ、風俗営業許可など許可が下りるまでに2ヵ月近くかかるものはただでさえ空家賃を発生させながら許可結果を待つことになります。申請作業は一日でも早く済ませたいと考えるのは皆同じです。

 

そこで行政書士の側も迅速に対応することをウリにします。ところが行政書士でも「特急案件」として別料金を請求する場合もあります。実は測量・製図などは自身で行わず(行えず)外注に出すためこのようなオプション料金を上乗せしている事務所もあります。

 

風俗営業許可だけでなく、会社設立でも、行政庁に対する許認可関係は割り増し料金を支払うことによって審査期間(標準処理期間)が短くなることはありません。あくまで専門家が作業量を高めて申請までの時間を短縮させるための割増料金でしかないのです。

 

では、どのような場合に割増料金を請求するでしょうか。

 

おそらく自身が不慣れな専門外の仕事の場合、割増料金を請求する傾向にあるのではないかと私は思います。これは皆さんの仕事でも容易に想像がつくと思いますが、単一業務を大量にこなしていれば素早く処理できるようになるのはどの仕事も同じです。一方で受任してから手引書を確認しながら作業するのでは効率が低下してしまいます。効率が低下すれば、他の仕事での売上がたたないので、その分の機会損失を受任中の仕事に上乗せした報酬額を算出するようになります。

 

このような感覚で報酬額提示している専門家が多数派だと思います。なので、事業者の皆さんが専門家を価格で比較する際は、専門特化しているかどうかは確認された方が良いと思います。専門特化していない総合何でも屋型の専門家だと、専門家自身の不慣れや経験の少なさを補うための金額を料金に上乗せされている可能性もあるからです。

 

前述した税理士の決算申告などは低価格を売りにネット集客しておきながら受任に持ち込めるかどうかに全精力を注いでいるような事務所が新宿にもあります。大人数のスタッフを抱えている場合、人件費を捻出するために仕方がないことなのかもしれませんが、お客さんの無知を利用した価格交渉は必ず後で知られるところになります。

 

どんなに安い報酬額でも、受任後にやっぱり決算申告できませんでしたというのであれば立派なぼったくりでしょうし、お客さんが依頼した問題の解決を行い、お客さんが納得して支払うのであれば高額報酬もぼったくりとは言えないと思います。

 

ただ、広告上は低価格を売りに集客しておいて高額報酬を請求するのはお客さんの時間を奪うぼったくりですね。風俗営業や飲食店と違って、専門家サービスは正式依頼前に専門家と面談することが可能です。お金よりも貴重な時間をぼったくられないよう、しっかりと見極めてください。中には提示している金額の5倍以上を要求しようとするとんでもないぼったくり事務所も存在ます。

専門家を値踏みする際の禁句

 

最後に専門家特有の注意点をお伝えしておきます。

 

よく家電量販店などで「他店より1円でも高かったらスタッフに申しつけください」というのがあると思いますが、あれは専門家に対しては発しない方が良いと思います。

 

「誰々さんのところはいくらでやってくれると言ったよ」などと言って比較すると専門家はどのような思考になるか分かりますか?

 

小売や卸売と決定的に異なるのが専門家サービスは専門家自身が製造者でもあり販売者でもあるということです。しかも一人の人間で完結している場合、あからさまな価格比較を面と向かって言われると「じゃあ、そちらでどうぞ」と思われるのが目に見えています。口にしなくても、腹の中でそのように思われると、結果的にお客さんが対価として受け取るサービスの価値が最大化されなくなります。

 

自営業者の弱みであり強みでもあるのが、特定のお客さんに気に入られる必要がないということがあります。嫌な客・合わない相手とは一切付き合わなくてよいと考えている一方で、専門家としてのプライドにかけて受任した仕事での結果に拘るという職人気質が専門家の一般の感覚だと思います。どうぞご参考にしてください。それでは、また!

関連記事一覧

  1. この記事へのコメントはありません。

CAPTCHA