風営紳士録2.0

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密告・監視社会化する「夜の街」の風俗営業

緊急事態宣言再び

 

皆さん、こんにちは!

東京都新宿区の風俗営業専門やたべ行政書士事務所です。

都内での新型コロナウイルス新規感染者数が2000人を超えた7日、政府は緊急事態宣言を再び発出しました。

 

7日時点では東京、神奈川、千葉、埼玉の1都3県への限定ですが、関西でも感染拡大が続いていることから大阪、京都、兵庫も緊急事態宣言を要請するようです。

 

緊急事態宣言発出により、都道府県知事は特措法45条に基づく要請が可能となり、応じない施設管理者に対して要請に係る措置を講ずべきことを指示することができるようになりました。

今回の時短要請の対象は、酒類提供の有無に関わらず広く飲食店及び遊興施設等となっています。

かつては「夜の街」での接待行為での感染に焦点が当てられ、接待行為を伴わない飲食店は風評被害の被害者だとする論調もありました。

当然ながら風営法上の「接待行為」の有無でウイルスが感染状況と変化させるはずもなく、今回は広く飲食店全般が対象となることになりました。

具体的な法令上の判断基準としては、「食品衛生法の飲食店営業許可」を受けている店舗とのことです。

もし、仮に皆さんが時短要請違反として公表されるとすれば、必ず事前に「要請・指示」がなされます。

特措法45条は「要請・指示」を「公表しなければならない」と定めているからです。

この規定により公表されるということは、「国民の生命及び健康」並びに「国民生活及び国民経済」に対する負の影響がある店舗であることを公表されることであり、事業者として軽く考えない方が良いと思います。

決して青臭い正義感から言っているのではありません。

特に今後、金融機関からの融資や事業拡大のための新規許可取得を念頭においている事業者はリスクリターンをしっかりと計算して事業判断を行ってください。

 

参考【新型インフルエンザ等対策特別措置法】

第四十五条 特定都道府県知事は、新型インフルエンザ等緊急事態において、新型インフルエンザ等のまん延を防止し、国民の生命及び健康を保護し、並びに国民生活及び国民経済の混乱を回避するため必要があると認めるときは、当該特定都道府県の住民に対し、新型インフルエンザ等の潜伏期間及び治癒までの期間並びに発生の状況を考慮して当該特定都道府県知事が定める期間及び区域において、生活の維持に必要な場合を除きみだりに当該者の居宅又はこれに相当する場所から外出しないことその他の新型インフルエンザ等の感染の防止に必要な協力を要請することができる。
 特定都道府県知事は、新型インフルエンザ等緊急事態において、新型インフルエンザ等のまん延を防止し、国民の生命及び健康を保護し、並びに国民生活及び国民経済の混乱を回避するため必要があると認めるときは、新型インフルエンザ等の潜伏期間及び治癒までの期間を考慮して当該特定都道府県知事が定める期間において、学校、社会福祉施設(通所又は短期間の入所により利用されるものに限る。)、興行場(興行場法(昭和二十三年法律第百三十七号)第一条第一項に規定する興行場をいう。)その他の政令で定める多数の者が利用する施設を管理する者又は当該施設を使用して催物を開催する者(次項において「施設管理者等」という。)に対し、当該施設の使用の制限若しくは停止又は催物の開催の制限若しくは停止その他政令で定める措置を講ずるよう要請することができる。
 施設管理者等が正当な理由がないのに前項の規定による要請に応じないときは、特定都道府県知事は、新型インフルエンザ等のまん延を防止し、国民の生命及び健康を保護し、並びに国民生活及び国民経済の混乱を回避するため特に必要があると認めるときに限り、当該施設管理者等に対し、当該要請に係る措置を講ずべきことを指示することができる。
 特定都道府県知事は、第二項の規定による要請又は前項の規定による指示をしたときは、遅滞なく、その旨を公表しなければならない。

 

 

監視社会化する夜の街

 

もっとも、知事から「要請・指示」があるまでは店名公表されないかというと、そうとは限りません。

菅首相の会見に引き続いて行われた小池都知事の会見では、感染拡大の急所とされる飲食店を中心に「人の流れを止めること」を目的とすることが明言されました。

同時に飲食店などへの人のが流れが止まっているか、「市区町村と連携して見回り強化」の言及もありました。

 

飲食店であれば保健所、風俗営業・特定遊興飲食店であれば警察署がそれぞれの管轄地域内での店舗に対し営業活動状況をモニタリングしていくことになると思います。

参考【東京都の依頼で風俗営業許可店へ立入り調査】

 

参考【風俗営業を監視通報する自粛警察負のバトン】

 

もっとも、保健所や警察署などの行政による「見回り強化」というのはある意味で想定が可能です。

それよりも事業者がリスクとして認識しておくべきは、SNSによる情報拡散から批判対象とされる危険です。

実は風俗営業はじめ飲食・娯楽サービス関連の事業活動においては、公権力による規制より、世論による吊し上げの方が事業に及ぼす危険性が高くなりつつあると考えています。

しかも、発端は自粛警察による見回りではなく、お客さんや従業員の何気ないSNS投稿から始まる可能性が高いのです。

西村大臣の会見では、都内で新規感染者が2000人を超え、感染拡大が加速する7日の現状を2週間前のクリスマスの人々の行動に原因があるとの説明がなされました。

 

2週間前のクリスマスに外出し、店舗で楽しい時間を過ごした体験を共有しようとSNSに投稿される方も少なくなかったでしょう。

※緊急事態宣言発出以前の動画であり、法律に基づく要請違反はありません!

まあ、クラブに行って盛り上がればこうなるのが自然でしょうし、これこそがクラブカルチャーの価値創出の場だとも思います。

「オンプレミス」と呼ばれるナイトクラブやライブハウス、キャバクラ・ホストクラブでのアルコール消費による経済効果だって無視できません。

実際にモエヘネシーディアジオ(MHD)のようなパリピ向けの製品を販売するメーカーではこうした店舗向けのリテールサポートや営業活動に力を入れています。

余談ですが、ライブハウスではドリンクチケット付きで入場料を取るのは「興行場許可を脱法させて飲食店として通す為の裏技だ」といった意見を目にすることがありますが、そもそも興行場のような規模感のライブハウスであれば下手な飲食店より飲料の売り上げが高いケースが少なくありません。

かつては新宿歌舞伎町にありましたが、現在は恵比寿に構えるLIQUIDROOMなどは、コロナ前の全盛期には神宮球場よりもビール売り上げが高いことで有名でした。

これはビールメーカー営業担当者から直接聞いた話なので嘘ではないと思います。

こうした「夜の街」の実際を知っている方々にとっては、精神的な文化的価値だけでなく、そこで生み出される経済的価値についても自明のことなのでしょうが、マスコミやSNSでは話題性ある部分だけが切り取られて拡散します。

お客さんや従業員の何気ない投稿は、その場の楽しさに共感できる人間だけでなく、自粛強化を強く望む人々の目にも触れることになることを事業者は強く意識した方が良いと思います。

公権力の職員と違い、SNSでの監視は24時間休みなく働き続けます。

Youtubeのようなアップロードするのに時間を要するメディアだけでなく、Twitterやインスタ、TikTok、LINEなどのメディアで気軽に投稿できるからこそ、ほころびが広がりやすい社会にもなっています。

まさにジョージオーウェルが描いた『1984年』の世界で人々を監視するビッグブラザーこそが現代のSNSだと私は思っています。

 

今回は法律に基づく要請(緊急事態措置)とは別に、麻雀・パチンコ・ゲームセンターなどの遊技場、劇場、映画館などにも法律に基づかない時短の呼びかけ、働きかけを行うことも発表されています。

「人の流れを止める」という目的達成のためには、20時以降のあらゆる施設の稼働を止めてしまいたい所なのでしょう。

もっとも、協力金の支払いは法律に基づく要請が出された店舗のみとなり、麻雀・パチンコなどの遊技場等の呼びかけ対象店舗の時短には協力金は支払われません。

一方で、小池都知事の言及された「見回り強化」は、法律に基づく要請対象の飲食店のみならず、麻雀・パチンコ・ゲームセンターなどの遊技場などの営業活動に対しても呼びかけ、働きかけが行われていきます。

これからの緊急事態宣言下では、SNSを介した情報拡散は良い意味でも、悪い意味でも店舗の事業運営に影響を及ぼす傾向が強くなると思います。

 

 

時短と補償はセットか

 

とはいえ、法律に基づく要請だろうが何だろうが、やはり時短営業には応じられないという立場も存在します。

20時閉店というのは、多くの接待飲食・特定遊興飲食にとっては事実上の休業要請となります。

今回の時短要請への協力金は最大186万円(6万円/日×31日間)ですが、店舗の規模感関係なく一律に設定されているため、固定費のレベルによっては受け入れたくても受け入れられない事業者もいらっしゃると思います。

こうした現状から、時短・休業要請への補償として十分ではないとする声も上がっています。

 

実は、政府はこうした声を意識しているのか、これまで「補償金」という言葉は使わず、「協力金」「給付金」という言葉で表現しつづけています。

法律に明るい方は察しがついていると思いますが、「補償金」と「協力金」では意味するところが異なります。

「補償」というのは、読んで字のごとく「補(おぎな)い」「償(つぐな)う」ことです。

他人に与えた損害を金銭で償うことを意味し、国家が国民の人権制限をした場合にも認められるもので、憲法29条3項の財産権の保障として規定されています。

ただ、現行の特措法では「補償」の規定はなく、現在政府が次期国会に提出する改正案でも「補償」ではなく、要請に応じて協力したことへの「給付金」としての色彩が強いのです。

そもそも、固定費負担が異なる店舗規模を無視して一律の金額設定をしている時点で、損害状況に応じた「補償」でないことは明らかですが。

一方で、過料や店名公表などの制裁面では規制を厳しくするとのことです。

 

法律上の規定がなくとも、憲法29条3項の規定を根拠に直接「補償」を主張することも成り立つのでしょうが、憲法が保障している「正当な補償」(29条3項)として飲食店の営業損失を埋め合わせさせるというのはなかなか厳しいものがあるようです。

ましてや、「オンプレミス」と呼ばれる店舗での経済活動となると、酒屋で1万円で販売されているお酒が10倍20倍の販売価格で消費されていますから、さすがに完全補償という訳にはいかないでしょう。

思えば以前ご紹介した西村大臣の憲法12条の引用にあった「公共の福祉」による人権制約は、今回のコロナウイルス対策としての営業自粛は本来は補償不要の内在的制約であることを示唆したかったのかも知れません。

 

実演家が表現活動を通じて文化を創造するように、法律に携わる専門家は自らの専門知識を活かしてこうした社会課題に対する問題提議を行っています。

やたべ行政書士事務所でも、本領を発揮できるのは申請手続きですので、緊急事態宣言期間を利用しての許可・届出申請や各種変更手続きなど、是非お気軽にご相談下さい。

やたべ行政書士事務所は風俗営業に携わる皆さんをいつでも応援しています!

それでは、また!

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