風営紳士録2.0

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東京アラートで立ち入り調査もアラート発動

東京アラート発動

 

皆さん、こんにちは!

東京都新宿区の風俗営業専門やたべ行政書士事務所です。

東京都は新型コロナウイルス感染者が増加に転じたことから「東京アラート」を発動しました。

6/2に発表された新規感染者数34人のうち、8人は20~30代の若年層であり、夜の街での感染が疑われることからより一層の警戒感が高まっています。

小池知事の会見でも、やたべ行政書士事務所の地元である新宿エリアでの感染者増加が問題となっている旨の言及がありました。

これを受け、夜の街への営業自粛要請強化としての警視庁協力の下での見回り隊結成も報道されています。

見回り隊は休業要請への協力を呼び掛けるために実施され、感染拡大防止を目的としています。

この目的達成のため事実上の実効力をもたせようとなると、警察による立ち入り調査も同時期に実施される可能性があると思います。

もちろん、警察による立ち入り調査には法律根拠が必要ですから、感染拡大防止を目的としては実施できません。

ただ、現段階では営業休止要請に協力しなくとも罰則はありませんから、風営法令に違反している店舗に対する行政処分を同時に実施することで実効力を担保させるのではないかと考えました。

ステップ2に移行後直ぐの「東京アラート」発動を行った東京都としても、これ以上の経済後退は何としても避けたいところでしょう。

新規感染者の増加が進むようであれば、抑止効果として即効性のある警察の立ち入り調査を展開していく可能性は否定できないはずです。

本件に関しては、多くの識者から風営法改正論夜の街ロックダウンなどさまざまな提言が行われていますが、風俗営業専門の行政書士である私の立場からは、それでも営業を継続せざる得ない風俗営業事業者の方に向けて特に注意していただきたい項目を東京都に倣ってアラートを発動しておきたいと思います。

 

 

接待はアラート対象外

 

風俗営業事業者の方に特に念入りに確認していただきたいアラート項目は以下の通りです。

許可証
従業員名簿
照度
店舗構造

感染予防対策とは無関係ですが、こと風俗営業の立ち入り調査においてはこれらの項目こそが重要になってきます。

現在マスコミで話題となっている「接待行為」は敢えてアラート対象外と言わせてください(弊所独自基準)

なぜだと思いますか?

実際の警察の立ち入り調査で「接待行為」違反が指摘される可能性は低いからです。

もちろん、法令順守の観点からは「接待行為」も大切ですし、本ブログでも「接待行為」については考察してきました。

 

ただ、講学的見地からの法律解釈ではなく、風営実務見地からの予防対策と考えると「接待行為」の優先度は下がります。

なぜなら、許可証・従業員名簿・照度・店舗構造などと違って「接待行為」は立証が難しいので警察から指摘される可能性も低いからです。

もちろん、「接待行為」違反も立派な法令違反行為であり、感染症予防対策としては最重要項目であることは間違いありません。

ただ、許可証・従業員名簿・照度・店舗構造というのは客観的で違反事実の有無が比較的容易に事実認定できるのに対し、「接待行為」主観的なもので、事実認定が容易ではありません。

警察に限らず、法律による行政手続きで主観と客観が併存する場合は「客観 → 主観」の順序で処理されるのが通常です。

この順序に従って処理することが公正かつ適正な法律手続きの担保につながるだけでなく、行政側の思考経済にも合致するのです。

 

 

行政側の思考パターン

 

今回の休業要請に際し、「接待を伴う」「接客を伴う」などさまざまな表現が用いられたため混乱した事業者もいると思いますが、「接待」の事実認定には主観的要素が多分に含まれます。

仮に、今回の感染予防の見回り隊や政府ガイドラインとして「接待」の客観的基準を設定するとなると、やはり風営法上の店舗営業許可として「風営法1号の接待飲食店」を取得している場合を指すことになるでしょう。

ガールズバー、イケメンカフェ、ツンデレカフェなど一般的な名称は様々ありますが、一般名称だけで「接待行為」の有無を一義的に認定することは出来ません。

例え、実態として接待を伴う営業を行っていたとしても、深夜酒類提供飲食店の事業者は「接待行為」を行っているとは認めませんし、何より「接待行為」を行っていると自認すれば風営法令違反行為をも認めることになってしまいます。

そもそも脱法的に「接待行為」を行っている事業者に、順法以前の協力要請に応えることを期待するのも無理があると思います。

そうなると、順法意識がない事業者に対して協力要請を実効的に行っていくためには、法令違反行為摘発も目的に含めた立ち入り調査を行っていくと考えるのが自然でしょう。

では、警察が「接待行為」を客観的に判断していく際、まずどこを見るのでしょうか?

おそらく申請時に提出された「図面」になると思います。

テーブル・椅子の配置からどう考えても「接待行為」を行うような客席になっていれば、「接待行為」の疑いがあるなと形式的に判断するはずです。

もし、営業許可後の店内客室が申請時の「図面」と異なっていれば、事業者も言い訳もできませんし、公正な判断にもつながり、なおかつ面倒な主観面での事実認定も要らず思考経済にも合致します。

このような警察行政側の思考パターンから推論すると、許可証・従業員名簿・照度・店舗構造は狙われやすい重要項目としてアラート対象となると思います。

【追記】
6/4、政府は「接待を伴う飲食店」との表現に対し、キャバレーなどの具体的業態を明示することに加え、「対象となるのは、風俗営業法に定められた『接待』と同じで、歓楽的雰囲気を醸し出す方法により、客をもてなすものを想定している」と明言しました。


NHKより

もっとも、これらの変更は風営法許可・届出対象外の一般飲食店への客足の戻りの鈍さに対する配慮であって、風俗営業における「接待行為」の有無を厳格に取り締まる流れにはなりづらいと個人的に予想します。

ガールズバーが注目を集めていますが、ダンスクラブのVIP席でのギャル付け男女の出会い目的の相席居酒屋・スタンディングバーなど、「接待行為」を脱法的に行っている業態は枚挙に暇がありません。

かつて、ダンスクラブに対する取締まりが大々的に行われた際も、端緒となったのはあくまで時間外営業という客観的違反を前提に摘発が行われました。

仮に「接待行為」への摘発が行われるとしても、「図面」「店舗構造」などの客観的資料を警察が重視することは変わらないと思います。

 

 

立ち入り調査ステップ

 

ステップ0:許可証

警察立ち入り調査の際、まず最初に行われるのが許可証の掲示確認です。

交通違反の取締りでも、違反行為を問いただす前に警察は真っ先に「運転免許証見せてください」と言うはずです。

自動車運転も、風俗営業も、本来は禁止された行為であり、個別の申請に基づいて許可されるものです。

風俗営業での立ち入り調査においても、この原則に従ってまずは許可証の確認が行われます。

風営法では「許可証の掲示義務」が有るので、お客さんから見えやすい場所に許可証を掲示しなければなりません。
立ち入り調査の際、しっかりと説明できるよう普段から入口レジとかカウンター付近の壁などに許可証が掲示されているか確認してください。

なお、許可証の掲示は原本掲示になっていますので、額に入れて掲示しておくのが良いでしょう。

現実的には、従業員を含め誰かに持ち去られてしまうのが嫌と考え、コピーを掲示しているケースも少なくないようですが。

いずれにせよ、立ち入り調査の最初に行われ、全ての前提となる確認となるのでステップ0と言えるでしょう。

 

ステップ1:従業員名簿

許可証の掲示確認の次は従業員名簿の確認です。

警察の立ち入り調査でもっとも法令違反として指摘されやすいのが従業員名簿です。

立ち入りの際、従業員名簿を見せて欲しいと言われて直ぐに見せられる状態にありますか?

この答えがYESの方は、経営者として合格です!

なぜなら、この従業員名簿を常に最新の状態に保つことは面倒くさいからです。

ヘルプ・体験入店なども含め、接待飲食店などの従業員名簿の管理は非常に骨の折れる作業です。

ただ、だからこそ立ち入り調査時は一番狙われる項目となっています。

従業員名簿自体が存在しない場合は論外ですが、立ち入り時に店内にいる者が名簿にあるかチェックすれば客観的かつ効率的に違反行為を発見できるという訳です。

 

ステップ2:照度

照度測定器で計測するというよりも、スライダックスなどの調光器が設置し直されている場合などに指摘されてしまいます。

実際の立ち入り調査では、従業員名簿の確認と並行して行われることになると思いますが、照明スイッチの場所確認は確実に行われる項目です。

なお、照度違反も接待行為同様に客観的に判断される傾向にあります。

モノタロウサイトより

接待飲食店であれば開業申請時の実査で照度検査も経験していると思いますが、実査完了後にスライダックスに変更している場合が少なくないと思いますのでこちらも要注意です。

 

ステップ3:店舗構造

さらに、店内客室で見通しを妨げる衝立等ができていないかの内装設備の確認も行われます。
風営法の理解がない方がもっとも犯しがちで違反発覚時のダメージが大きいのが店舗構造の変更です。

厳格に言えば、申請時の客室図面に記載された位置とテーブル・椅子の配置が違うだけでも違反ですが、より気を付けなければいけないのが客席間の仕切りなどの設置です。

「新しい生活様式・ソーシャルディスタンス」に合わせて、隣席との飛沫感染防止に仕切りなどを設置し、見通しを遮るようにしてしまえば、間違いなく違反として指摘されてしまいます。

しっかりと申請時の図面を確認し、違反があれば原状回復させておいてください。

事前の承認を得ないで構造設備を変更した場合、営業停止などの行政処分を受けることとなりますので、警察の立ち入り調査を見回り隊のパトロールと軽く考えずにしっかりと対策を講じてください。

 

なお、ステップの中で、もし違反があれば警察への呼び出し状が渡され、何も問題なければ呼び出し状は出しません。

呼び出しの日時を記載した紙を渡され、保健所の飲食店営業許可証、現風俗営業の許可証、従業員名簿等を持ってくるように指示される流れとなります。

立ち入り調査で呼び出し状を渡されてから焦って対応するのではなく、現在のような休業要請期間などを有効に活用して準備を行ってください。

 

 

新宿の夢は夜ひらく

 

現在、米国では黒人人種差別問題が激化して、社会分断の危機に瀕しています。

日本はここまでではありませんが、昨夜の小池知事の会見を見ていても、夜の街で働く風俗営業をはじめ飲食・娯楽サービス業への厳しい目が社会の分断を招きつつあると個人的に感じております。

ついこの間までは「夜の経済」などと持てはやされていましたが、コロナによって本当に変わってしまいました。

ただ、この状況下で夜の街に働く皆さんは、本当に夜の街を愛していることは間違いありません。

夜明け前がもっとも暗いといいますが、暗闇の中でも希望を忘れずに前向きに行きましょう。

やたべ行政書士事務所は風俗営業に携わる皆さんをいつでも応援しています!

それでは、また!

 

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